フロンの規制

2003年7月中旬、日本ゼネラルモーターズから、ACDelco開発のR12仕様カーエアコンシステム用代替フロンガス「REF-12 Plus」(容量200g、オープン価格)が販売されることが明らかにされました。R12仕様のカーエアコンシステムに完全適合し、既存システムの部品交換など一切不要で、R12の代替冷媒として即使用可能とのこと。GM車に限るわけではありませんので、これは期待できます。皆様からの使用情報をお待ちしています。
W201を始め旧型の車のエアコンに使われている冷媒、通称「フロン」と呼ばれていますが、このフロンは、日本独自の呼び方となっています。世界的には「フルオロカーボン(Fluorocarbon)」と呼ばれます。
そして、このフロン、どのようなものかと言いますと、メタン(CH4)やエタン(C2H6)などのハイドロカーボンの水素をフッ素(F)や塩素(Cl)等のハロゲンで置換した化合物のことを言います。R12などの ChloroFluoroCarbon (CFC)、R-22などの HydroChloroFluoroCarbon (HCFC)、R-134aなどの HydroFluoroCarbon (HFC)と区分されていて、CFCがいわゆる特定フロンに該当しています。
従来型のエアコンで使用されている冷媒は「R12」、現在生産されている車両に装着されるエアコンの冷媒やレトロフィットキットなどにより新たに置換されることになる冷媒は「R134a」であり、その番号は世界的にAmerican Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers (ASHRAE) で定められている冷媒番号そのものにあたります。先頭の"R"は冷媒(Refrigerant)の頭文字からきています。
単一冷媒の場合には、Rに続く添字が2桁であればメタン系を、添字が100番台であればエタン系を、200番台であればプロパン系を示しています。つまり、R12だとメタン系、R134aだとエタン系ということになりますね。冷媒としてはその他にも、共沸混合冷媒や非共沸混合冷媒といった混合冷媒があります。

そして、環境保護のためのフロン規制により、特定フロンに該当するCFC(R12を含む。)は1995年末ですでに生産が中止されています。また、指定フロンに該当するHCFCも補充用の冷媒を除いて2020年末には全廃されることになっています。

種類 特定フロン 代替フロン
CFC HCFC HFC
CFC11,12 HCFC22,123 HFC134a
生産規制 1995年末生産停止 指定フロン
・1996年 規制開始
・2020年 実質生産停止
・2030年 全廃
( EU案では2010〜2015年全廃に
向けて前倒し規制も。)
規制なし

以下では、フロンのオゾン破壊係数 (ODP) や地球温暖化係数 (GWP) を 見てみましょう。
各物質がオゾンを破壊すると考えられる能力を定数化し、R-11を1.0としたときの重量当たりの相対値で示される値がODP(オゾン破壊係数 Ozone Depletion Potential)、地球の温暖化に寄与する能力を定数化し、R-11を1.0としたときの重量当たりの相対値で示される値がGWP(地球温暖化係数 Global warming Potential)となります。

  フロン ODP GWP
特定フロン CFC−11 1.0 1.0
CFC−12 1.0 2.8 〜3.4
フロン系代替品 HCFC−22 0.05 0.32 〜0.37
HCFC−123 0.02 0.021 〜0.027
HFC−134a 0 0.24 〜0.29

こうしてみると、R-12はかなりの悪者になりますね。環境のためにも、R12をR134aに置き換えるレトロフィットキットを装着するべきなのかも知れません ...

さて、このR134aを実際にレトロフィットキットとして使う場合にどうなるか? R134aはR12に比べて2〜3割ほど冷却能力に劣るとされています。そのためにR12の場合よりもエアコンシステム内の圧力を高めて使うことが多いようです。これがまた痛み始めたシステムに負担をかけ、各部に漏れなどの悪影響を与えたりするわけですね。当初、R134aの分子サイズがR12よりも小さいことから従来のR12用システムのホースでは漏れを生じてしまって使うことができないという説もありました。が、現在ではホースに染み込んだR12用のオイルがシールの役目を果たしているので、ホースやOリングに痛みさえなければ実質的な漏れの問題はないとされています。そのオイル、R12とR134aとでは異なるものが使われており、R134aでは PGA (PolyAlkyleneGlycol) をベースにしたオイルが使われます。吸湿性が強く、その点では取り扱い注意のオイルですけれど、R12で動いていたシステムでもホース類の交換なく使えるとのこと。ただ一方、一部のR12用エアコンシステムで使われているホースやOリングの条件(ゴム材質や動作環境?)によってはこのオイルにより変質するといった事例も報告されているようです。ちなみに、ドライヤーの置き換えが必要とされるのは、乾燥剤がR12ではXH-5だったのに対して、R134aではXH-7かXH-9と異なるためだとか。

米国 Environmental Protection Agency から Ozone Protection Regulations: Motor Vehicle Air Conditioning (英語)といった資料も公開されていますので、ご参考にどうぞ。

なお、2002年10月から「フロン回収破壊法」が施行となっています。冷媒R12,R134aの別に関わらず、エアコンを搭載した車両を排気する際には「自動車フロン券」の購入が必須となります。車両1台につき2,580円で、郵便局またはコンビニエンスストアで購入可能です。フロンを大気中に放出すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金とのことなのでご注意を。
詳細は自動車リサイクル促進センター(JARC)へ。


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