練鉄術

このシナリオは単純なシナリオです。
もしよろしければ、ひまなときつかってやってください。
ゴブリンとの交渉がネックなので、ゴブリンとの交渉ができない状況(メンツ) ではできません。

1:ゴブリンと村
    PC達が道を歩いているところからスタートです。

    PCたちの前方遠くでゴブリンたちが酒樽をかついで脇道に入っていくのが見えます。距離は”たくさん”。追いつかせない宣言です。
    その後、道を少し進むと村が見えてきます。
    村は裕福でもなく、かといって暮らしに困るわけでもなくといった普通の村です。
    村には酒場兼宿屋があり、PCたちが村につくのは、だいたい3時少し前ころです。
    村のひとたちは各々の仕事を行っています。

    PCたちが酒場でたむろっていると、酒場の親父が話を持ちかけてきます。
    話とは、
      「ゴブリンがこの村にきて酒を買うようになったのだが、その代金として支払われている金細工を彼らがどうやって手に入れているのかを調べて欲しい。」
    ということです。

    細かいことを聞くと、
      ・1年ほど前からこの村にゴブリンが数匹やってきて酒を買うようになった。
      ・彼らは代金を金細工(スプーン、ペン置き、はさみ等 日常品)で支払う。
      ・一回に100−500ガメルくらいで、酒とつまみを買っていく。
      ・自分は代金に見合った品物を渡している。
      ・半年ほど前に都市(片道5日+)で換金したときには普通に換金できた。(金は本物で、盗品扱いもされなかった。)
      ・村の若い狩人(レベル1)があとをつけたが、途中ではぐれてしまった。
    などが解る。

    村人などに聞き込むと、あまり悪印象はない。
    村人の一部(子供を持つ母親等)にはあまり好まれてはいないが、ゴブリンたちは悪さをしないし、たまに野菜や干し肉もいい値段で買っていく(お代は酒屋のわたしたおつりから)。
    GMはここでこのゴブリンたちが一種異常で、共存可能な状態にあることを強調してください。


2:洞窟まで
    たぶんPCたちは、
      1:村人に話を聞く。
      2:次にゴブリンが訪れる日を特定して待ち伏せをかける。
    というパターンをとると思います。

    その他の方策として、
      ・ゴブリンをつけた狩人に話をきき、だいたいの位置を特定し向かう。
      ・依頼を受けない。
      ・都市に行き、調査を行う。
      ・その他
    があると思います。
    順に、
      ・狩人は途中までしかつけられなかったので位置の特定ができない。
      ・あきらめる
      ・都市まで行って調べても、盗難事件などは無かったということがわかる。
    と対処して下さい。

    酒場兼宿屋の親父は、次にゴブリンがくるまでの一週間、宿屋代をただにしてくれることにすればうまく行くと思います。

    ゴブリンたちが来たときに直接聞き出すと、
    「おれたちは親分の命令で買いにきているだけごぶ。そういうことは親分にきいてほしいごぶ。」といいます。そしてついてくるよう促します。

    ゴブリンが来たときにいきなり戦闘をしかけると(ゴブリンからは絶対しかけない)すぐゴブリンは全滅します。そして数日後、エルフ(カーツェル)がゴブリンシャーマンやホブゴブリン、ゴブリンたちを連れてきます。カーツェルは”強い”のでPCはあっさり捕まります。以後は3と同様にして下さい。

    ゴブリンの後を尾行する/足跡をつけると途中でロールを何度か行って下さい。

    迷っても、その都度ゴブリンの姿を見かけたりして最終的には洞窟につきます。


3:白いダークエルフ、カーツェル
    PCたちが洞窟の近くまでいくと、洞窟に2匹のゴブリンが見張りに立っているのが見えます。
    PCたちが隠れられる位置から洞窟まではかなりの距離があり、(数百メートル)何らかの方策をとらないと姿が見えてしまいます。

    PLたちが実時間で10分以上悩んでいるようなら、GMは話を先に進めて下さい。
    PCたちが相談している/乗り込もうとすると、後ろの方から物音とともにホブゴブリンやゴブリンを数匹従えた一人の老エルフが現れます。

    戦闘中であるなら、「若いものは元気でないといかんなぁ」とPCをけしかけるようなセリフをしゃべります。
    PCたちが戦闘モードでないならそのまま交渉に入ります。

    彼は自分をカーツェルと名乗ります。
    自分がこのゴブリン達を仕切っていると言います。
    PCたちの用向きを聞くと、金細工はこの洞窟の中で見つけたものだということを教えてくれます。
    そして、同時に錬金術士アゼルアイアルのことを話してくれます。これは魔術師であれば知っているかもしれない話です。

      錬金術士アゼルアイアルは、”化学者”としての錬金術士でなく、本当に鉛から金をつくり出そうと研究していた学者です。
      文献ではその試みは完成し、特別な研究室として空中に浮く島を与えられたそうです。
      しかし、事故により墜落し、現在では所在が解らなくなっています。
      もし研究室を発見すれば、金だけでも一財産と見られています。

    カーツェルはこの洞窟こそがアゼルアイアルの住処につながる洞窟だといいます。
    ゴブリンたちが持っていた金細工はすべて本来、卑金属製のものがアゼルアイアルの錬金術で金になったものらしいと言います。

    カーツェルは洞窟の中にPCを招待します。洞窟の中は崩れた建物のあとが みられます。
    カーツェルによると2年前の地震で洞窟が崩れ、補修作業をおこなっていると見つけたという。
    そして、研究結果保存室と書かれたこわれかけのプレートのある部屋で金に変えられた様々なものを見せてくれます。トン単位でありそうな勢いです。


4:カーツェルの依頼
    最後にカーツェルは大きな扉の前にPC達を案内します。
    「この扉の向こうにメインの研究室などがあるフロアがある。しかし、このとびらを開けられないのだ。」
    PCたちが調べると解りますが、とびらは寄せ木細工のようになっており、ある組み合わせではめないと開かないようになっている。

    「君たちを冒険者と思って頼みがあるのだ。この向こうを調べるのを手伝って欲しい。我々にはそういった技術がないのだ。」
    とカーツェルは依頼します。報酬は、中にあったものの半額を提示します。
    「我々はさっきの保存室の分だけで当分は左うちわだからな。」

    組み合わせを解くヒントとして扉に文字が書いてあります。


5:遺跡
    遺跡のなかは壁が発光して明るいです。
    かべはセラミックのような手触りのよくわからない素材でできています。

    マップはこちら

      部屋1:大きな部屋です。10*15メートルくらい。
          中にはゴーレムなどの魔法生物がいてPCたちに襲いかかってきます。
          部屋を調べると難しい難易度で隠し扉が見つかります。他には鉄のがらくただけです。

      部屋2:部屋の前にプレートがあり、”警備員室”と書かれています。
          中にはとくに目新しいものはありません。

      部屋3:休憩室と書かれたプレートがあります。
          ティーカップやスプーン、ティーポットなどがありますが、全て鉄製です。
          鉄製ということを強調して下さい。
          
      部屋4:この部屋の入り口には鍵がかかっています。
          中にはいると巨大アリが数匹襲いかかってきます。

      部屋5:ここはそこそこ大きな部屋で、フラスコやビーカーなどがあります。
          誰かがここで実験を行っているような気配があります。
          ただし、今ここには誰もいません。

      部屋6:ここがアゼルアイアルのメイン研究室です。
          彼は中にいます。ただし、ゴーストとなった骸骨姿です。
          周りには鉄製のいろいろなものが転がっています。
          PCたちが彼に話しかけると、彼はきちんと受け答えします。

          彼の話によると、錬金術が成功したのは一回きりで、たまたま成功した。
          それから研究を進めていたら、事故でまわり全ての金属が金に変わってしまった。
          そのため、彼は現在金から鉄を作り出す練鉄術の研究を行い、成功した。
          彼の研究成果により、かつて金だったもの(今は鉄)はたくさん転がっている。
          この研究所内に金はひと欠けもありません。
          カーツェルは練鉄術の基礎理論とやらでアゼルアイアルと盛り上がっています。

      部屋7:この部屋は部屋1と同じくらい大きな部屋です。
          なかには鉄製のいろんなものがあります。
          ここにモンスターを配置してもOKです。


6:おわり
    カーツェルはPCたちにお礼として金細工をいくらかくれます。
    カーツェルとゴブリン達はアゼルアイアルの研究を手伝うそうです。
    アゼルアイアルはこれから、変な実験をまた行うでしょう。

    村に帰り、今までのことを伝えると、村人は安心します。
    お礼としていくらかの金細工をくれます。



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