暗闇の騎士
ラスボスがデュラハン一体であるため、レベルには気を付けて下さい。
1:依頼
PCたちは街にいて、酒場でこの依頼をうける、もしくはたまたまティレン村に通り掛かる、いずれでもいいです。
シナリオはティレン村にたどりつくところからはじまります。
ティレン村では、現在アンデッドが出没しています。その退治が仕事です。
ティレン村は山あいにある風光明媚なところにあり、村人は狩猟、農家の兼業で日々の暮らしをささえています。村全体としては、ほどほど豊かで少量ながら温泉もわき、暮らしやすい村です。
PCたちは村で歓迎をうけます。
村人はPCたちにばけもの退治の依頼をします。
ばけものは、二カ月前に突然この村に姿を見せました。
漆黒の鎧、片手に自分の首(兜つき)を持ち、腰には剣をさげています。そして、全身から妖気を漂わせ満月のもと、村の家々に姿を見せます。
- ここで知識ロールをしてください。成功すればデュラハンだとわかります。
デュラハンが村人の家の前に現れると、家のドアは音もなく開き戸口に首のない騎士が立っています。ふつうの村人は気絶してしまいます。デュラハンは二ヶ月前から満月の日に限って村人の家を尋ね歩いています。
特定の村人の家にいくのではなく、満月の夜(一月に3ー4日)にこの村のどこかの家に現れています。
PCたちはこの村の温泉宿に宿泊することになります。ちなみに満月は二日後として下さい。
この村は温泉宿、道具屋、村長の家、村人の家から成っています。
それぞれで聞き込める情報は、
- 温泉宿:老夫婦が経営。本来は湯治客が2ー3人はいるのに、ばけもののおかげでいまは客がPCだけなので愚痴をこぼす。ばけものは見ていないし、宿も道楽半分なのでこの村の特産物などの話しか聞き出せない。
- 道具屋:一番最初にばけものが現れた家。戸口でノックの音がして、扉を開けてみるとばけものがいたそうです。彼はそのまま気絶してしまいました。彼の知っているのはそれだけです。
- 村長の家:先月、ばけものがやってきました。村長の奥さんは気絶する直前に、ばけものが何かしゃべっていたようだったといいます。内容は聞き取っていません。
- 村人の家:ばけものの訪問をうけた村人は気絶するかパニックして逃げ出すかのどちらかです。うち何人かは、ばけものがなにかしゃべっていたといいます。
ばけものの訪問を受けていない家は次に訪問されるのは自分ではないかとハラハラして、PCたちに「どうか守って下さい。」と、土下座でもしそうな勢いで頼み込みます。
襲われた家に共通点はありません。
2:騎士道精神にのっとったデュラハン
満月の夜、星も見えないほど月が明るく輝く夜、青白い光とともにデュラハンがどこからか現れます。
闇にとけこんでしまいそうな漆黒の鎧に身を包み、自分の首を小わきに抱えています。兜の瞳にあたる部分は赤く爛々と光っており、全身から放たれる青白い燐光と不気味なコントラストを織りなしています。
PCたちが待ち伏せをしているなら、彼の発する妖気ですぐに見つけることができます。
彼はPCたちをみかけると、「グローマイナス卿の屋敷はどこですか?」と丁寧に尋ねてきます。地獄から響くような声で。
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PCたちが「グローマイナスは何者か?」と問うと、「昔の友」と答え、「知らないのなら他の方を当たります」と手近な家に向かいます。
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PCたちが答えないなら彼は手近な村人の家に向かっていき、ノックをしてからドアを開けます。村人は気絶します。
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PCたちが戦おうとするなら、彼は、「無関係の人間を巻き込む訳にはいかない」と言って虚空に姿を消します。
次の日、PCたちがグローマイナスのことを村長に尋ねると、数年前までこの村にいたことがわかります。現在は片道2週間ほどかかる隣のまちに住んでいることを教えてもらえます。
正確な場所は解りません。グローマイナスは温厚そうな人のいいおっさんだったそうです。
3:事実と真実
その日の夜、満月のもとデュラハンがまた現れます。改めて、PCたちが立ちふさがる様なら
「おまえ達はなぜ私の前に立ちふさがるのか?」 と尋ねてきます。
PCたちはおのおの理由があるでしょう。
PCたちはなぜデュラハンが満月の夜にこの村に現れるかを尋ねるでしょう。以下のことを説明してください。
およそ3ー4年ほど昔、
彼はもちろん人間であった。ある小国で騎士として名誉と誇りとともに生きてきた。もちろん騎士団にはライバルであり、友がいた。美しい妻、かわいい子供、平和な国。幸福に包まれた暮らしであったが、不幸は突然のように訪れた。
かれは、友がある商人からワイロをうけとっているところを目撃した。彼は、その事件のことで友をなじった。
その夜、彼の家に盗賊が押し入り、妻を人質にとられた彼は盗賊たちに斬り殺された。薄れゆく意識のなか、彼はグローマイナスが家に入ってくるのを見た。
彼の魂は、消え去ることを拒否し、アンデッドとして生き残ることになったのである。
アンデッドとして復活し、行動し始めたころ、すでに友、グローマイナスは街から消えていた。
彼は真実を知るため、グローマイナスを探している。
マスター用の真実
このデュラハンは満月、それも晴れの日にのみ行動できるため、彼自身は3ー4年と思っているが、本当は30年以上経過している。
グローマイナスは出来心からワイロを受け取ったが、彼に言われて反省し、その夜、彼に詫びるために家に赴いた。そこでグローマイナスは盗賊が彼を斬り殺すところを目撃、盗賊を討伐したが彼はすでにこときれていた。
グローマイナスは、その後、彼の妻子を養ってきた。
彼の子供は、成長し、父親と養父のいきさつをグローマイナス本人から聞き、騎士でなく商人として身をたてることに決め、紆余曲折の末成功する。現在はラーズグロー商会という商会を経営しており、いくつかのキャラバンをもつそこそこの商人である。
グローマイナスは、彼の子供を一人前にするべく借金までして奔走していたため、一つところに落ち着いていなかった。
現在は、義理の子供のもとで悠々自適の生活をしている。ちなみにボケている。
デュラハンは、PCたちにグローマイナスの居所を探ってくれないかと依頼する。依頼料は数十万ガメル相当の物品と言う。
PCが隣町に住んでることを伝えると、家のありかも探ってくれと依頼する。
4:新たな依頼
隣街で酒場などにいっても、グローマイナスという騎士は見つからない。戦士と言っても見つからない。グローマイナスはこの街に住み始めたころ、すでに50才であり、この街のひとは隠居した商人とおもっている。盗賊ギルドも然り。
PCたちが夜、酒場などにもどってくると、街のひとが冒険の話をせがんでくる。PCたちの話をきいて街の人のひとりが、「そういうことは、騎士マニアのじいさんがいるんだが、そのひとに聞いてみちゃどうだい?」とラーズグロー商会の隠居さん(グローマイナスその人)を紹介してくれる。ボケているということも。彼は毎週火曜日の午後、ある酒場にお茶を飲みにきて、昔自分が所属していた騎士団のことを喋っているそうです。
次の火曜日、グローマイナスに会うといきなりボケていてPCのひとりを仲間と勘違いします。
ボケているので話はよくはわからないです。グローマイナスはPCたちを気に入ったといって商会につれてかえります。
商会の主人(グローマイナスの養子)は、PCたちの話を聞き、真実をPCたちに告げます。
5:対決
満月の夜、デュラハンがPCたちの前にあらわれます。
PCたちがグローマイナスのことを教えるなら、彼はグローマイナスのところへ行き、成長した自分の息子から真実を聞きいた上で、老いたグローマイナスにいいます。
「真実はどうあれ、私はもう自分では死ぬこともままならないのだ。グローマイナス、明日の夜まで待つ。私を滅ぼしてくれ。」
商会の主人は、PCたちを雇いたいと言います。雇われるならデュラハンと戦い、デュラハンは滅ぶまぎわに「ありがとう。報酬だ。」といって自分の持っていた魔剣をのこします。凝った細工が施してあり、売れば数十万ガメルになるでしょう。
PCが教えないなら、デュラハンは「見つからなかったか」といいのこし、また彷徨っていきます。
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