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食品廃棄物からの熱回収は可能か
2007,8,28
食品リサイクル法がこの3月に改正され、その施行日までわずかになってきた。
施行前に懸案事項になっているところがあるため、審議会で話し合われているところである。その一つに、法律の文言に食品廃棄物のリサイクル方法に熱回収が入ったため、その熱回収の条件を定めることがある。
ところで、食品廃棄物を焼却して熱回収出来るのか?と不思議に思われる方もいるであろう。少しでもごみの焼却に関心のある方ならば、水分の多い食品廃棄物を焼却しても熱回収は出来ないと、考えるはずである。
これは、勿論正解である。
自燃(じねん、燃料などを加えないで燃えることのできる発熱量、概ね700から900kcal/kgといわれている)しなければ、新たに燃料を加えない限り発電には貢献しない。
審議会では、食品廃棄物(発熱量1460kJ/kg=348kcal/kg)での熱回収量や発電量のシミュレーション結果を発表した。
この348kcal/kgは、まさに自燃限界以下のごみである。よって、助燃剤を加えない限り発電量を増やすことはできない。
しかし、事務局ではこの水分率80%の食品廃棄物でも発電に貢献するとしている。
なぜだろうと考えている審議員もいたのだが、審議会はその場の雰囲気に流されてしまった。説明する事務局は難しい計算をした結果を発表したため、ほとんどの審議員にはチンプンカンプンであった。勿論答えは食品廃棄物の焼却により発電に貢献できるというものである。しかし、その結果には計算上のトリックがあった。
簡単に言うと、水分の多いごみをスポット的に焼却炉に投入すると、発熱量は減るはずなのだが、年間の総発熱量にすることにより全体的に発熱量が上がるというトリックである。
まず、水分の含まれているごみを焼却する時は、ごみそのもの(乾ベース)での発熱が生じるが、同時に含まれる水分を蒸発させる作用が働く。その熱量は600kcal/kgである。
計算上では水分率80%の食品廃棄物であれば、
4000kcal/kg×0.2−600kcal/kg×0.8=800−480=120kcal/kg
で発熱することになる。ただし、実際は自燃限界以下であるため、熱量は発生しない。
仮に食品廃棄物の水分率が35%であれば、
4000kcal/kg×0.35−600kcal/kg×0.65=1400−390=1010kcal/kg
でかろうじて熱を回収できるかもしれない。(しかし、これでもカロリーが低いため、不安定な燃焼となり、灯油等の助燃剤が必要となる)
仮に、水分率80%の食品廃棄物を1年間ストックしておいて、さらに他のごみも1年間ストックしておいて、巨大なごみピットで完全に均一に混ぜるとしたら、焼却炉に余裕がある限り計算上は発熱量が上がる。
食品廃棄物を均等に集めることは出来ない。まして、この食品廃棄物の対象物は事業系ごみや産業廃棄物である。いっぺんに多量に入る可能性がある。多量に入れば一時的に発熱量が下がる。発電していればさらに発電効率が一時的に下がり、場合によっては発電機がストップすることもある。
ここで、疑問となるのは、なぜもっと以前の段階である法律制定時に熱回収が妥当かどうか検討しなかったのかである。審議会の議事録を読み返してみると、事務局から突然熱回収の提案が出され、それに対しての反論が一切なかったという事実がある。かろうじて一人反論していたのだが、それは食品廃棄物には窒素分が入っているため燃料には向かない、との発言だけで、水分についての言及は一切なかった。
食品廃棄物は熱回収に貢献しない、というようなほぼ常識的なことをあえて法律の文言に入れたのは、ある種のイデオロギーを感じる。多分平成19年度の目標のリサイクル率20%がかろうじて達成できたものの、その後のリサイクル率向上には、新たな手法、つまり熱回収が必要だからだと考えられる。つまり、リサイクルの実態よりもリサイクル率という数値の向上を優先した結果である。
なお、熱回収にはそれを採用するためには他にも要件があるが、やはり法律の文言に熱回収という言葉を入れること自体論理的ではなかったと指摘したい。
また、安易な焼却がリサイクルになるというのは、他にリサイクルをまじめにやっている人にとって脅威となるであろう。