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生分解性プラスチックの本当の利点は焼却できることである


2005,6,20





生分解性プラスチックの話題が新聞に良く載るようになった。プラスチックに変わる夢の素材ともてはやされているが、そんなにすごいものであろうか。その存在意義に疑問があるのでここで説明したい。

生分解性プラスチックとは読んで字のごとく微生物により分解し、二酸化炭素と水に変わってしまうプラスチックである。さらにその生分解性と原料そのものが植物由来というのが、環境にやさしいともてはやされている。通常のプラスチックは地中において長期に渡って残ってしまうが、生分解性プラスチックは簡単に分解してしまう。また、植物由来のため、焼却しても二酸化炭素を増やすことがない。さらに生分解性プラスチックを集めると容易にポリ乳酸に分解できさらにプラスチックまで再合成できるという。

ところで、土の中で分解するというのが生分解性プラスチックの最大の特徴であるのだが、国はこのほどプラスチック埋め立てないでリサイクルするという方針を明確にした。とすると埋め立てられるという利点はなくなる。万が一散乱したプラスチックが自然になくなってしまうのは良いことであるが、そんな微々たる量のための対策ではない。プラスチックを埋め立てていた時代に考えられた機能の一つであろう。イベント会場のような狭い空間であれば、その効果は素晴らしいものになろう。簡単な生ゴミ処理機で処理できてしまうからである。これが焼却であれば、場合によっては施設の設置許可が必要で、かつ処理後のガスの臭いが凄まじいためイベント会場には適さないだろう。

生分解性プラスチックのもう一つの特徴は、植物由来であるため、焼却しても二酸化炭素を増やさないことである。これは、非常に有利な点であるが、「生分解性」と銘打ったため二の次の機能となっている。燃やしても環境に負荷の少ないプラスチックというのは、なかなか人々の感性には訴えないのだろうか。それより土の中で分解するといったほうが、なるほどと思わせるのであろう。

さらに生分解性プラスチックだけを集め、分解させるとポリ乳酸が得られ、さらに重合させることにより低エネルギーで再び生分解性プラスチックができるという利点もあるようだ。しかし、生分解性プラスチックだけを集め、それをきれいに洗浄し再び原料に戻すことは至難の業である。ペットボトルでさえ失敗していると聞く。

ところで、この生分解性プラスチックは将来的には、全プラスチックの30%を占めるだろうといわれている。生分解性プラスチックは当面プラスチックとして分別して出されることになる。仮にプラスチックに10%の生分解性プラスチックが混入されると、プラスチックとしてのリサイクルが不可能だという。リサイクル業者に取っては死活問題である。熱心な自治体ならば、生分解性プラスチックというカテゴリーを作るかもしれないが、どれだけ集まるか分からない。例えばプラスチックと別に分別区分を作っても、発泡トレイはほとんど集まらない。

「生分解性」を強調する限りなかなか利点が見つからない。

それでは原料に話を移したらどうか。生物資源からできているプラスチックであるため化石燃料を使わない。したがって二酸化炭素を出すこともない。しかしそうだろうか。原料の植物を育てるのには多大な化石燃料が必要である。肥料や農薬のことである。水をやるのにも石油が必要である。一方、通常のプラスチックの原料は石油そのものである。その石油は太古の植物由来である。結局やっていることは同じである。

違いはこういうことだろう。前者は人間が考えたプロセスで、一般的には多大なエネルギーが必要である。それに比べ後者は大自然が作ったほぼ完璧なプロセスである。一般的にいうと自然の作ったシステムのほうが経済性や、エネルギー効率は高くなる。

しかし、肥料や農薬のいらない極めて成長速度の高い植物を原料にし、かつ石油の価格が今のままでどんどん高くなる場合はこの限りではない。

いままでの話をまとめると、生分解性プラスチックの利点は焼却できることであり、今後の開発課題は、製造のエネルギー利用率が低く、焼却しても安全なプラスチックを作ることではないだろうか。



   
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