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流域圏の回復と巨大水処理システム2002,2,28
先日、農水省、環境省、国交省後援の「自然と共生した流域圏・都市の再生」ワークショップに参加した。
このセミナーの主な議題は「流域圏の改善と都市再生」であり、都市再生は後から付加したものらしい。
ここでの流域とは、ある特定の河川郡の周辺のことではなく、地下水から河川、湖沼、海域に至る広範囲の水循環システムが起きている地域のことを指す。これらの意味では地球全体も一つの流域圏かもしれないが、これでは範囲が広すぎるので、おおむね関東平野ぐらいの大きさが視野に入っているようである。基調講演の放送大学丹保教授の話からも分かるように、ここでいう流域圏とは東京圏、大阪圏というようなことである。
この「流域」に異変が起きているのは周知の通りで、きれいな水を自然に求める大都市及びその周辺はおろか、地方に至ってもその確保は難しくなっている。
丹保教授がいうには、東京圏は「異常地域」になっていて、この状態をもし容認するのならば、この状態を自然に戻すことなど考えずに、完全に隔離してしまった方が良いとしている。丹保教授は、小泉首相が推し進めている総合科学技術会議の委員となっているのだが、その場ではエネルギーや地球温暖化問題など「今はやり」の問題が主なテーマであり、水のような地味なテーマはなかなか議題に上がらず、教授の話はなかなか聞けなかった。(ただし、主要なテーマではないが流域圏はテーマの一つに揚げられている。)教授の専門は「水」であり、今回の講演では彼の主張を大いに堪能することができた。
思えば水というのは人間を含む生物圏にとって一番大事なものである。にもかかわらず、常にないがしろにされてきた。その一つの理由に、水を管轄する国の機関が農水省、国交省、厚労省、環境省と多岐に渡っており、それぞれの機関でなわばりがあることが考えられる。農水省は農業、国交省は治水、厚労省は衛生、環境省は環境(といっても水質のみ)。
今回のセミナーはこれらの機関の意向を統合させ「水」そのものの環境を考え、ひいては都市をいかに再生させるかがテーマである。
丹保教授が、東京圏は異常地域だといっていたのは、この地域が世界でも類のないおよそ3000万人が密集しており、常にきれいな水を要求しているからである。(このきれいな水も世界に類のないレベルで、トイレの水までもきれいな水を要求している)そしてこの地域の水の使い方は使い捨てなのである。奇跡的にバランスが取れているとしかいいようがないという。異常地域というよりは「巨大な水処理システム」といったほうが良いだろう。上流からはきれいな水が供給され、下流にいくにつれて複雑な経路を経てきれいになったり汚れたりと.....最終的には全て海へ流れる。
このシステムはマクロ的には解明されているが、ミクロの視点では解明されていない。このシステムを解明することが今回のセミナーの目的の第一歩である。
会場の総合科学技術会議の事務局の西沢助教授が、「総合科学技術会議では、この問題を「ローテクノロジー」の集大成で解決したい」といっていた。この発言はまさに21世紀の科学技術の一つの大きな流れを成すものである。特に、環境問題のうち地道に取り組まなければならない「流域圏」の回復には、この「ローテクノロジー」の高度な組み合わせが必要不可欠であると思う。