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COP10に向けて
−Yokohama Roundtable on Climate Change(気候変動円卓会議)


2004,11,12


平成16年11月10日(水)に横浜の国際連合大学高等研究所で
「Roundtable on the Future Direction of the Climate Change Regime」が開催されたので傍聴した。
 その概要と文末に私のコメントを記述する。

 この会議は本年12月にブエノスアイレスで行われるCOP10(第10回締約国会議)に先立って行われたものである。特にこのCOP10は、ロシアの京都議定書(温室効果ガスを1990年比で5%削減するという約束ごと)批准及びCOP1から10周年という節目ということで、意義のある会議であった。
 講演内容を順を追って説明する。

1.Option of the Future Climate Change
Yasuko Kameyama,PhD
 気候変動に関して3つのシナリオがある。
A:炭素市場主導型
B:政治主導型
C:技術主導型
 どのシナリオで行くかを決める必要がある。

2.EU position on key issue at forthcoming COP10
Mr Etienne Reuter
○ここ50年間で地球の気温は顕著に上昇している。アフリカでは嵐や洪水また砂漠化が起き、ヨーロッパでも熱波が襲っている。世界は変化した。
○京都議定書がこれらの気候変動に対する有効な武器となる。
○ロシアが批准することは非常に喜ばしいことである。
○これからも京都議定書はEUが牽引役で推し進める必要がある。その目標達成には排出権取引は重要なアイテムである。
○EUでは排出権取引には廃棄物処理などを除く産業から排出されるCO2の46%を捕捉することができ、守ることができなければCO21t当たり100ユーロの罰金が科せられる。
○環境税は、EUでも産業界から適正な競争を妨げるとして反対された経緯があるが、長い目で見れば有効な手段である。
○政府の活動はもとより草の根の活動も重要な位置づけにある。
○2012年以降(2012年は第1約束期間の最終年)、途上国の経済発展による温室効果ガスの上昇には目を向ける必要がある。
○特に中国のように巨大な国は深刻な大気汚染を引き起こしている。EUはこのような問題にも対処し、炭素の排出の少ない社会を作っていく。
○最近日本の自動車メーカーはアメリカの自動車メーカーと気候変動に関する技術提携をしたと聞くが、日本とEUの適正な関係こそが重要と考える。

3.Creating a fair and equal Climate Changing Regime;developing country'perspective
Dr.Vinayak Rao
 現在のCDM(途上国への技術移転による排出量の削減)では、多国間の関係となってしまうが、アメリカや日本と特定の一国(インドや中国)が、特定期間(2020年頃まで)を目途に技術移転をするような一国対一国のシステムが望ましい。
 また、先進国と途上国が責任を分かち合うような世界が必要である。

4.Future Direction of the International Climate Change Regime
 Professor Michael Grubb
 USが目指している政策は次のような理由で、いずれ失敗するだろう。
 ・US単独では信用がない
 ・一国一国の関係でも十分に投資することはできない
 ・EUのように組織的に進めることができない
 しかしアメリカが失敗しても京都議定書がよくなるわけではない。
 EUが指揮者となり、締約国各国がオーケストラのように調和が取れることが必要である。

5.Negotiating the post 2012 climate change regime;its strategic approach
Professor Hironori Hamanaka
 COP10は、京都議定書発効後のCOPmop1(京都議定書締約国会議)になる。COPmop1は温室効果ガスの削減について、新たな道筋をつけるものである。
 COPmop1の内容は、更なる締約国の増加、気候変動に関する国際連合枠組条約による目標の達成、途上国の批准、将来の政策作り等である。

6.Asessment of Kyoto protocol implementation;lessons learnt for future regime
Professor Kanie Norichika
 京都議定書の目的を達成するためには強力なリーダーシップ(国)が必要。
 リーダーシップとは
 ・問題を明確にする力
 ・総合的な構築力
 である。リーダーシップの基準は経済力、原油生産力、軍事力などから判断される。

7.Future options available to Japan
Dr Takashi Sugiyama
 2100年の各国の温室効果ガスを見ると、中国の増加が目立つ。中国には、環境と開発を両立させる力がある。ただし、排出を緩和させる技術的な手段がない。
 温室効果ガスは省エネ、炭素貯留、風力発電により排出量を大幅に減少させることができる。そして、省エネは日本から、炭素貯留はアメリカから、風力発電はEUから技術移転が可能である。
 さらに、京都議定書のCAP制度(排出量の上限を設定)に代わり、エネルギーシステムそのものを変える枠組みが必要である。



考察
 COP3(京都議定書の採択)から今年開かれるCOP10まで、非常に長い道のりだった。途中アメリカが離脱し、京都議定書が葬られるのかと思いきや、ロシアの批准が来年2月となり、京都議定書は発効の運びとなった。そして、再び長い道のりが始まった。
 その間二酸化炭素は着実に増加し、将来どんなにがんばっても産業革命以前の2倍程度の550ppmv程度に安定させることがやっとだという。それでも、各国の足並みが揃わなければ難しいといわれている。
 ところで、今回の会議では、EUのシステムである京都議定書がEUによってのみ成功し、アメリカのやり方は失敗するであろうという空気が流れていた。これは、EUが京都議定書を離脱したアメリカに対し、並々ならぬ脅威を感じているからである。アメリカは、経済的にも軍事的も大国であるが、技術的な大国でもある。地球温暖化防止に関する技術論文の数は、EUが世界の40〜45%であるのに対し、アメリカは35〜40%と肉薄している。(ちなみに日本とオーストラリアを足しても3〜5%である)これらの圧倒的な総合力を持ってすれば、EUなどひとたまりもない。今後は、離脱したアメリカの動きを牽制しながら、京都議定書が実行に移されることになる。
 気候変動枠組みは一見EU中心で動いているようであるが、実はアメリカが虎視眈々と指導力を狙っているのである。
 そして、今回の会議では、わが国はEUとアメリカのどちらにつくのかということも問われていた。しかし、日本の戦略はなかなか見えてこない。

   
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