The Waste and Garbage Club Home Page

世界の二酸化炭素削減戦略について


2004,10,23

平成16年10月14日に東京の全社協 灘尾ホールでRITE(財団法人 地球環境産業技術研究機構)の研究報告会があった。
RITEの設立目的は「地球環境の保全に資する産業技術に関する研究開発、調査研究等を行い、もって地球環境の保全及び世界経済の発展に資する。」である。
最近の研究の方向はロシアの京都議定書批准、議定書発効に向けて、専ら地球温暖化防止の技術開発にあるようだ。
研究所の茅所長によると、コスト面、環境面を考慮すると大気中の二酸化炭素の濃度は西暦2100年において550ppmvで安定化させることが望ましいという。現在の二酸化炭素濃度が370ppmvであるから、将来に渡って180ppmvの二酸化炭素の増加となる。京都議定書では各国が削減目標を立てているのに増加してしまうのはなぜだろうと考えてしまうが、中国、インドをはじめ発展途上国は議定書に批准していないため、これらの国が将来的に二酸化炭素を多量に排出量するからである。
この550ppmvで安定化させることは簡単ではなく、現在の2倍の努力が必要であるそうだ。

ところでその努力の内容とは具体的にどうだろうか。
以下のグラフ(年間の二酸化炭素の排出量及び削減量)のように何も対策をしない場合は二酸化炭素の排出量は急激な右肩上がりである。これを破局ケースと呼んでいるらしい。そして、2040年を境に大きく右肩下がりに下降している曲線が550ppmvに安定化させる場合の二酸化炭素の削減量を示している。この右肩上がりと右肩下がりの差額が二酸化炭素の削減量となる。



グラフの上のほうにわずかに10%程度削減している量がある。これは省エネルギーによる削減量である。我々庶民から見ると省エネルギーは二酸化炭素削減の一番の方法と思ってしまうのだが、現実的には個々人の気分、経済情勢等により大きく変化してしまうため、このグラフでは大きく見ていないと考えられる。その下に削減量全体の30%程度を占めているのがエネルギー利用の効率化である。化石燃料転換、原子力、水力、地熱、バイオマス、風力、太陽光が含まれる。いわゆる新エネルギーといわれるものが含まれている。
ここまでで削減量の約40%を占めているのであるが、これでは550ppmvを達成することができない。残りの約60%はどのように削減するのであろうか。
これらは排出抑制という手法ではなく、"貯留"という概念がなければ解決しない。
つまり、炭素を地中から採掘し、エネルギーとして利用した後、二酸化炭素として地中に戻す技術である。
これらには排ガス田注入、帯水層注入、海洋隔離、植林がある。
この炭素を貯留する技術はアメリカの呼びかけで「炭素隔離リーダーシップ・フォーラム(CSLF)」が開催され国際協力の下に研究が進められている。アメリカは二酸化炭素貯留については既に京都会議以前から、排ガス田注入を行っている。原油を採掘すると地中から二酸化炭素が多量に排出されてしまうが、この技術は大気に排出される前に地中に戻してしまうものである。アメリカの民間企業が将来の二酸化炭素の取引を見込んで実用しているものである。そして、その二酸化炭素は地中でメタンガス(天然ガス)に変化するという。
まさに、錬金術のようである。アメリカには、このように二酸化炭素を削減する技術や特許が多数あり(日本の比ではない)、環境問題でも世界のリーダーシップを取ろうとしている。
RITEの報告会は、地球温暖化防止の観点から、二酸化炭素の分離回収技術、排ガス田注入技術、遺伝子組換え技術を利用した高効率の二酸化炭素吸収植物による吸収、バイオマスからの高効率エネルギー回収と続いた。

報告会が終わり2つの点に気づいた。
一つは、これらの高価な技術に誰がお金を出すかということである。21世紀の二酸化炭素削減の技術がこれらの貯留技術だということは大いに理解できる。なにせ削減量全体の6割を占めるほどの重要な技術だからである。しかし、この削減にいったい誰がお金を出すのだろうか。二酸化炭素削減は国家戦略だから国が出せばいい?そういうものでは長続きしないし、目標を達成することができない。二酸化炭素の取引が当然のように商習慣として行われなければならない。
もう一つは、省エネルギーという技術を非常に軽く見ていることである。今回配布された資料には550ppmv安定化シナリオのグラフが2つ掲載されているのだが、その2つを見比べてみると、省エネルギーの削減量が2倍も違う。これほどの違いが出るのは省エネルギーを軽視していることに他ならない。
私のこの文章はその2つを使用せず、RITEの紹介パンフレットに掲載されているものを使用している。
日本の21世紀の二酸化炭素削減の主要な技術は、省エネルギーとするべきだと思う。日本にはもう既に省エネルギーの余地はないといわれているが、今まで培った多数の技術がある。超小型のステレオや太陽電池を利用した電卓などの技術である。また燃費の良い車も最たるものである。大量に石油を使い使い終わったら二酸化炭素として大量に貯留するという技術は、いかにもアメリカ的でいずれは地球の環境容量を超えてしまう。また、今回のような石油価格の高騰には耐えられなくなってしまうだろう。

   
  • メールアドレス
       
  • お名前

  • ご意見がありましたらお願いいたします