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やっぱり箱もの優先だった−エコタウンシンポジウムを傍聴して
2003,12,15
12月13日(土)東京ビッグサイトでエコタウン事業※の評価と今後の方向ということでシンポジウムが開催された。
出席者は発表順に
環境省
経済産業省
室蘭市
千葉県
北九州市
中国経済産業局
新日鉄
日鉄運輸
東京電力
鹿島建設
永田教授(基調講演の案内役を兼ねる)
松田教授
JFE
タケエイ
細田教授(コーディネーター)
全体の進行は、まず国のエコタウンに対する支援策や方向性の話があり、それに対応して自治体の取組と今後について発表、企業からの対応と要望があり、最後にシンポジウムが開かれ総括されるという内容である。
国の説明は、大きな流れとしてハード事業(箱もの整備)からソフト事業に転換する、また既存の施設、企業を活用するという意図があるように感じた。それを受けて経済産業省では新たに「地域循環ビジネス専門委員会」を立ち上げ基本構想策定を計画している。上記のような方向性が改めて記載されるのではないだろうか。というのも経済産業省のアンケートで、エコタウン事業の各地の捉え方として「大量消費→大量リサイクル」を象徴している事業としているためである。なんとしてもこの悪い印象を拭いたいのだろう。
しかし、その後は自治体の報告は珍妙であった。室蘭市、千葉県と箱もの事業を望む声が聞こえたことは地域の活性化には箱もの事業が欠かせないという。自民党的な考え方である。(確かに千葉県は自民党が非常に強く、公共事業を熱望している。)しかし、北九州はエコタウン事業の先駆者でありすでに成熟しているため、新たな箱もの事業を切望するわけではなく新たな展開を望んでいる。しかし、北九州市の説明の冒頭「エコタウン事業は金の成る木」であるという意味の説明があったことは意味深長である。500億円の総事業費の内9割近くが補助金だそうで、補助金確保に奔走したらしい。事実彼は「ずるく動いて補助金を獲得した。」と発言している。(他の地区の人が聞いたらさぞ羨むであろう。)
その後は企業の発表である。基本的には我々は優良企業であり、リサイクルをして社会に貢献しているのだから補助金を受ける権利があるというようなものである。特に東京電力はエバラなどと事業会社を設立し新たな事業のために補助金獲得に奔走している。しかし、その技術には新しいところは一つもなく、単に残渣を焼却し発電するというものである。
最後のシンポジウムではエコタウン事業の総括を行ったのであるが、ここで気になる発言があった。永田教授が循環型社会の新たなステップとして持続可能な社会というような言葉を持ち出したことである。つまり循環型社会はすでに古い概念とでもいいたいのだろうか。しかし国や自治体ではこの「循環型社会」に向けてスタートしたばかりである。
と文句ばかりを書いてしまったが、ひとつ光明を感じる言葉が出た。
それは鹿島建設の発表で出た「グリーン補助価格」というものである。簡単に言うと再生品は高いのでバージン品との差額に補助金を出すというものである。リサイクル事業を継続させるために一番の対抗相手になるのはバージン品との価格差である。リサイクル品がバージン品の性能を超えることはあり得ないので、いかに安くするかが事業の成功にかかっている。当たり前のことではないかと言われてしまうほど単純で、なんらの新しい技術を伴うこともないものである。また、今回のシンポジウムでもかき消されてしまった感がある。しかし、私は特に重要な言葉であると感じた。
というのも、私は、先日農水省関連の研究発表会に出席したのだが、酪農大学の教授の発表があり、日本の補助制度についてデンマーク人から助言を受けたと説明していた。(その教授はデンマークで開かれたグリーンエネルギーに関する研究会に参加したそうである。デンマークはグリーンエネルギーに関しては世界でも抜きんでている。)
「施設に補助金を出してはいけません。我が国ではグリーンエネルギーの買い取りについて補助金を出しています。」
というものである。それ以上の話を教授はしなかったが、以下のように考えられる。
補助金を受けた施設の豪華さを見れば施設に対する補助金がその施設の性能には何ら寄与していないことが分かる。逆にその豪華さのため生産されたエネルギーが高くなってしまうこともある。再生されたエネルギー(広義に解釈すれば再生品全て)に補助金を付け、とにかく市場で廻ってくれれば再生品市場は活気が出てくる。と解釈しても良いと思う。
というようにまだまだ発展途上のエコタウンであるが、基本的にはハード重視からソフト重視に転換しなければ問題の根本は解決しないだろう。いままでいくつの公共事業が墓標と化しているか。
以下議事録を添付する。(ここではシンポジウム発表資料に載せていない、質疑応答やシンポジウムの内容のみ)
●質疑応答
質疑「容器包装リサイクル法の改定はどの程度進んでいるのか。ペット、プラのマテリアルリサイクルは苦戦している。サーマルリサイクルの立場はどうなるか。」
応答「容器包装リサイクル法の改定案が出ているということはない。現在は関係者の意見をとりまとめているところ。循環基本法に基づきマテリアルリサイクル優先であることは今まで通りである。」
質疑「エコタウン事業の審査について」
応答「平成16年度の予算を財務省と折衝しているところ。この事業のみ前倒しで決定できないか説明中。」
質疑「優良なリサイクル企業に対しても悪質なリサイクル企業に対しても同じ様な規制がかかっている。この辺に差を付けることはできないか。」
応答「基準を緩めることは難しい。ただし、地自体の努力により許認可の期間を短縮することができる。また、都市計画サイドの廃棄物処理施設の扱いが未だに迷惑施設として把握していることは問題であるが。また、住民説明は当たり前なのだが、行政間、行政内の説明に非常に時間がかかっているのが現状である。」(というより、この廃棄物処理施設については行政内の上下間で捉え方が随分違うのが問題である。例えば企業誘致にしても上層部は廃棄物処理施設を良い印象で受け入れると計画しているが、実際に許認可権のある末端の部局では未だに迷惑施設であり、できれば工業団地には入れたくないと考えているのか、また、まるっきり特別扱いしないのかどちらかである。特別に憂慮しましょうということはないのだろうか。(これは私の意見))
●パネルディスカッション
・循環型社会はどこまで進んだのか。
永田教授(早稲田大学)「入口に入ったばかり。評価方法が決まっていない。循環型社会が成熟期に入れば動脈産業、静脈産業という言葉はなくなる。」
・いま、なにが問題か。
小倉部長(JFE)「リサイクルするとコストがかかる。市民がエコタウン事業に参加していない。許認可がスムーズでない。エコプロダクツが売買されていない。」
森課長(千葉県)「環境産業の誘致合戦になっている。全国各地で一斉に誘致が始まる。」
永田教授(早稲田大学)「廃棄物は減る方向。今は情報公開が必要。誘致企業をコントロールするのではなく情報を公開して企業に自主的に判断してもらうことが必要。」
松田教授(富士常葉大学)「環境学習、NPOの育成が必要。」
・これから何をすべきか。
松田教授(富士常葉大学)「ドイツを見習うべき」
堤取締役(タケエイ)「当社のスーパーエコタウン事業で建設混合廃棄物の処理コスト情報が初めて明らかになるだろう。いままではどんぶり勘定であった。」
永田教授(早稲田大学)「サスティーナブル社会に移行できるか。ソフト重視、既存産業のないところでも立ち上げられるような環境整備。お金をかけないで市民参加を促す必要あり。」
垣迫室長(北九州市)「静脈産業を上流側にシフトさせる。(動脈産業化)地元のエコプロダクツ生産企業を育成する。」
小倉部長(JFE)「エコプロダクツ企業は自分たちが環境に対し貢献していることを実は知らないことが多い。(つまり自分たちがエコプロダクツを製造していることを認識していない)このような企業を支援することが必要。エコタウン事業は「まちづくり」であるととらえるべきである。」
細田教授(慶応大学)「既存の企業がいかに環境に対し良いことをしているのか再評価することが必要。市民、NPOの積極的な参加が必要。行政からの情報公開。循環型街づくり」
※エコタウン事業は、「ゼロ・エミッション構想」(ある産業から出るすべての廃棄物を新たに他の分野の原料として活用し、あらゆる廃棄物をゼロにすることを目指す構想)を地域の環境調和型経済社会形成のための基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、環境調和型の地域経済形成の観点から既存の枠にとらわれない先進的な環境調和型まちづくりを推進することを目的として、平成9年度に創設された制度。
具体的には、それぞれの地域の特性に応じて、都道府県又は政令指定都市が作成したプラン(市町村(一部事務組合を含む)が作成する場合は都道府県等と連名で作成)について承認を受けた場合、当該プランに基づき実施される中核的な事業について、地方公共団体及び民間団体に対して総合的・多面的な支援を実施する。
なお、本事業は再生資源の利用を推進する経済産業省との連携事業となっており、プランの承認に際しては環境省と経済産業省との共同承認の形となる。
(経済産業省ホームページより)