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温室効果ガス削減において日本が途上国に出来ること
2007,6,18
去る6月8日にドイツのハイリゲンダムで行われたサミットが終了した。
議長総括には日本が主張していた「2050年までに温室効果ガスを半減させる」ということや「途上国も共通な責任の下に削減義務がある」というようなことが明記された。提案した日本の削減施策は、一人一日1kgの温室効果ガスを減らすとか、原子力発電を普及させるとかで、今までの延長線上に過ぎず結局のところ、途上国も参加し世界中が手を取り合って半減を達成させるというようなもので、具体的な内容については2008年にポスト京都議定書というような内容で枠組みが検討される。
ところで、単純に半減といっても先進国と途上国ではその減らし方は異なると考えられる。これは「共通だが差異ある責任」の原則の下で、先進国はより多量に温室効果ガスを減らす必要があるためである。という前に、途上国に参加してもらうこと自体難しいと考えられる。途上国が発展していくためには、温室効果ガスを減少させることは足かせになってしまう。現状では先進国全体と途上国全体の排出量はほぼ同レベルである。一人一日排出量が先進国のほうが10倍も大きいのにトータルで同量となるのは、人口が途上国のほうが圧倒的に多いためである。途上国は今後工業の発展と共に人口の増加により温室効果ガスが爆発的に増加すると予測されている。2050年には途上国の排出量は先進国の2から3倍になるとの予測である。
ところで、このような途上国にも削減義務があるとするとどのくらいであろうか。仮に現状維持とすると、2050年までに地球全体で半減であるため、先進国は0とすることとなる。これはありえないので、途上国の削減量を仮に20%とすると、先進国には80%の削減義務を生ずる(先進国100→20、途上国100→80、全体200→100)。同様に途上国が30%であれば、先進国は70%である。このように先進国に対して多大な削減義務を生ずるというのが今回の約束である、と考えられる。
この目標を達成するために世界中の国で、日本と同じレベル程度に省エネ技術を推進させたらどうなるか?もちろん先進国では相当な削減となるだろう。アメリカなどは省エネに対して疎かったので、日本の技術を導入すれば劇的に削減するであろう。一方途上国はどうだろうか。中国などは日本に比べ相当エネルギー効率の悪い方法で製造等を行っている。日本の発電効率は世界でトップレベルの45%に対して、中国の発電効率は30%前後に過ぎない。これを改善するだけでも相当なエネルギーの節約になる。セメントでも中国は日本の1.5倍程度のエネルギーを必要としている。
しかし、これらを解決してもことは解決しない。もし、世界中の人々のエネルギー消費レベルが日本人と同等になった場合、本来の意味での問題が発生する。例えば、中国の一人当たり年間CO2排出量は2t強で、日本の10t弱に比べて1/4から1/5程度である。中国人と日本人とが同じ生活水準になった場合、単純に中国の温室効果ガスの排出量は4から5倍になることになる。これでは、途上国に日本の技術を移転して、最終的に日本と同一レベルの生活水準にしても温室効果ガスはかえって増加することになる。最終的な着地点は先進国と途上国の生活水準が同じになり、一人当たりの温室効果ガス発生量が同一レベルになるが、ことである。そのレベルをどの位置に持っていくかは、地球温暖化の経過を見つつ人類の英断に任せられることになるだろう。
途上国の排出量を減らすことは一種のジレンマである。いやトリレンマとも言えよう。温室効果ガスの排出量を減らしたい。→ただし一人ひとりの生活水準が上がる。→温室効果ガスが増える。また、一人当たりの排出量を減らしたい。→ただし人口が増える。→温室効果ガスの総量は増える。さらに温室効果ガスの排出量を減らしたい。→ただし経済発展する。→温室効果ガスの量が増える。いずれにしろ。温室効果ガスは増える方向に行く。
現実的に日本の取ることのできる道は、途上国に無理やり削減の義務を負わせるのではなく、日本の技術を移転しつつ効率の良い社会へ発展を約束することである。仮に省エネ技術の移転により、途上国の削減率が75%になったとする。日本が50%を排出権取引として購入する。残りの25%を途上国の排出量として寄付するとすれば、日本は50%分、途上国は25%分の排出削減を達成したことになる。これでは目標に到達することは出来ないが、実現できない夢のような目標を挙げるよりは大きな一歩となるだろう。