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COP10で日本は何を得たか


2004,12,23



 ブエノスアイレスで行われた国連気候変動枠組み条約第10回締約国会議(COP10)は平成16年12月6日−17日の12日間の日程で行われる予定であったが、終わってみると議論が紛糾し1日予定が延期された。
 ここでは、会議の概要と日本がこの会議で何を発言し何を得たか考えてみる。


1.ブエノスアイレス行動計画の合意
 会議の最大の焦点だった発展途上国の温暖化被害に対する支援策に関する「ブエノスアイレス行動計画」の具体的な実施内容で、先進国側と途上国側でもめたのだが、結局大枠で合意することとなった。この行動計画は、COP4(1998年11月 ブエノスアイレス会議))で採択された計画で、この中の「資金メカニズムの見直し」部分が発展途上国への援助部分にあたる。途上国側では一番求めていた合意である。しかし、総論が決定しただけなので、具体的な詳細を決める道のりは険しい。

2.次期国際枠組み
 また、京都議定書の約束期間(2008−12年)の後の次期削減枠組みについて、議長国のアルゼンチンが来年11月に開催予定のCOP11までに、セミナー形式で協議をスタートする案を提示していたが、実質的な内容まで踏み込んだ検討を行うべきとするEUと、次期枠組みの議論は時期尚早とする米国が対立した。結局、合意したもののアメリカは「将来の交渉につなげない」という条件を付けた。京都議定書の約束期間後の新たな国際制度をどのようなものにするかというものだが、EUを中心とする制度化かアメリカを中心とする制度かというものが議論の根底にあると考えられる。

3.約束期間の前倒し
 日本からは15−17日の閣僚級会合に小池環境大臣が出席し、京都議定書では2005年から協議を始めるとしている「温室効果ガスの2013年以降の削減約束」について、今回のCOPから前倒しで検討を始めるよう各国の代表団に呼びかけた。
 この発言には、地球温暖化の影響が深刻な島しょ国やEU諸国などから賛意が寄せられた。しかし、議定書を離脱している米国や、議定書を批准したばかりのロシアが慎重な姿勢を示し、中東諸国なども反対している。
 この発言が日本から出た真意はよくわからない。日本は今の状態では約束期間(2008−2012年まで)に1990年の温室効果ガス6%削減が難しいからである。EU側はその約束期間後にさらに困難な削減目標を揚げると思われる。そんな議論を前倒しで行いましょうというのが小池発言である。

4.アメリカの京都議定書への参加要請
 また、小池環境大臣はアメリカの京都議定書への参加をしつこく迫った。これに対してアメリカ側は強行に反対している。これは2001年のアメリカの京都議定書から離脱した当時と変わっていない。京都議定書に参加しろというのは、EU傘下になれというのと同義である。(以前の私の報告を参照)
 このようなことをアメリカが容認するはずがない。しつこく迫ると、当の日本が削減目標を達成できるか科学的に証明しろといわれかねない。日本の削減手段は森林吸収などあいまいなものが多いので、技術的にはアメリカを論破することは難しい。

5.結論
 小池大臣が発言した次期約束期間の前倒しは、非常に心地のよい言葉で途上国側の興味を引いたものの、結局は先進国側からの強い反対にあってしまった。このような発言は日本国内の世論を喚起するためのものとも考えられるが、日本の世論は全く動かなかったことも付け加えておく。
 今回の会議では途上国側の戦略というものを強く感じた。地球温暖化の問題の責任を先進国側に転嫁し、具体的な方法は合意しなかったものの将来の資金援助を約束させるという内容であった。それにしても相変わらず日本には戦略性の微塵も感じない。小池大臣の話(「京都議定書の発効は、...大きな飛躍である。」、「アメリカの参加要請」「約束期間の前倒し」等)を並べると、心地よい言葉を並べ、単なる言葉の遊びをしているだけのように感ずる。

   
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