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キャンドルナイトの本当の狙いは?
2006,6,25
6月17日東京都内で大々的にキャンドルナイトが開催された。これは電灯を消してキャンドルで夜をすごそうというものである。ライトダウンとも言われている。少しでも二酸化炭素の排出を減らそうという試みで、当日は東京タワーから六本木ヒルズと、電灯が消され真っ暗になったと聞いている。当然家庭でも行った人も多かっただろう。
その数日後に、我が家でもキャンドルナイトを試してみた。かわいらしいロウソク3つを手に入れたからである。火をつけてテーブルに置いた。そして蛍光灯を消してみた。次ぎの瞬間妻は「どうも落ち着かない」と言う。ロウソクの火は気持ちを落ち着かせる効果がある、と思っていたのに意外な言葉であった。しかし、本当に落ち着かない。気がつくとテレビが煌々と光っている。普段は蛍光灯の明かりで目立たなかったものが、ロウソクの暗い中で目立ってしまったからである。テレビとはこんなに明るいものかと改めて感じた。
私はこのキャンドルナイトの意味を妻に説こうとした。
「蛍光灯の電気を10時間消すと(ちなみにロウソクの燃焼時間が10時間であるため)、蛍光灯は60w(0.06kW)であるから約12円 (0.06kW×20円/kWh×10時間)の節約になる。このロウソクは1本250円だから3本で750円....」
「ばかばかしい」妻に一笑に付されてしまった。電灯を消すとコストが上がってしまったのである。
それでも我が家のキャンドルナイトは続いた。
その日は梅雨の蒸し暑い日で、外はじとじと雨が降っている。部屋ではエアコンがガンガン動いていた。ほかの部屋からも轟々という音が聞こえる。食器洗浄機と衣類乾燥機が回っているためだ。両方とも電熱線を使っているため、ものすごい電力である。それ以外にも冷蔵庫、電気ポット、除湿機...これらの電力を合計すると4kWは下らないのではないだろうか。それに比べキャンドルナイトの効果は0.06kWのマイナスである。率にすると2%にも満たない。
しかし、キャンドルナイトは効果があると信じたい。
その効果の本当のところは、たったの2%の効果を期待するのではなく、その他の電気を節約するという動機に結びつくのだと思う。ロウソクを燈している間ぐらいテレビを消そうとか、衣類乾燥機の乾燥時間を10分短くしようとか、その日ぐらいは質素な食事にしよう...というように、ロウソクの火を見ると自然と心から、倹約しなければいけないという気持ちがわいてくる、と信じたい。しかし、それより重要なのはキャンドルナイトから会話が生まれることである。普段はテレビが一方的にしゃべっているが、キャンドルナイトで部屋を真っ暗にすると、人間がしゃべらなければならない。それが真の効果だと思う。
だから、私はキャンドルナイトを強く勧める。
ちなみにロウソク1本の明るさは約10ルクスといわれている。60wの蛍光灯の明るさは1000ルクス程度である。もし、いつもの明るさを得るためにキャンドルナイトをすると100本のロウソクが必要になる。
また、二酸化炭素の排出量を見ると60wの蛍光灯を10時間つけると約190g発生する。(0.6kWh(0.06kW×10時間)×0.317kg-CO2/kWh=0.1902kg-CO2/日)
一方ロウソクの場合、主成分をパルミチン酸 CH3(CH2)14COOHとすると、分子量は256で炭素数は16であるから、完全燃焼すると二酸化炭素16分子ができ、分子量は704(12×16+16×32)で、パルチミン酸1gに対し2.8g(1g×704÷256)の二酸化炭素ができる。仮にロウソク1個20gとすると、全部燃焼させると56gの二酸化炭素が発生する。よってロウソク4本燈すと60wの蛍光灯より多くの二酸化炭素を発生することになる。
単純に二酸化炭素の発生量や明るさ、経済性だけを見るとロウソクは歩が悪いのだが、キャンドルナイトの狙いが他にあることは、先に述べたとおりである。