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食料向けの農作物をバイオエタノールにすると、ガソリンの何%を節約できるのか?
2008,4,14
野村総研から「バイオ燃料に関する報告」が上程されたため読んでみた。
いったい、どのくらいの農作物がバイオ燃料になっているか、また、ガソリンの代替として何%ぐらいのバイオ燃料が製造されているのかを知るためである。
この報告書によると、バイオエタノールの生産量は、
2,667万t(2006年)→26,670千t(2006年)
であり、穀物等の生産量の28%を利用しているという。
それでも、自動車燃料消費量の1%程度しかまかなえないそうだ。
よって、食用となりえる穀物をこれ以上利用しても、バイオ燃料の生産量は追いつかないため、第二世代である非可食部を使ったバイオ燃料の生産が必要であるというのがレポートの趣旨である。
このレポートを読む限りでは、数値の取り扱いにいささか疑問が生じたため、自分なりに試算してみた。
レポートでは、バイオディーゼルにも言及しているが、ここでは、より生産量の多いバイオエタノールを中心に述べる。(ヨーロッパではバイオ燃料といえばもっぱらバイオディーゼルであるが、全世界の生産量では、バイオディーゼルは少数派である。)
まず、バイオエタノール1Lは、単純にガソリン1Lの代替とはならないため、発熱量で同一レベルに換算する必要がある。
・ガソリンの低位発熱量
10,500kcal/kg
・エタノールの低位発熱量
6,400kcal/kg
http://www.iae.or.jp/publish/tenbou/1996-METAHATU/siryou/h2-1.html
・エタノール/ガソリン比:0.61
よって、バイオエタノールの生産量26,670千tをガソリンに換算すると
16,269千t(2006年)
となる。
これは、ガソリンの世界の消費量が
866,389千t(2002年)
http://www.stat.go.jp/data/sekai/05.htm#05-09
世界866,389千t(2002年)→1,170,796ML/year
であるため、その「1.9%」にあたる。
ちなみに、各国のガソリン消費量は、アメリカを筆頭として、中国、日本、カナダ、ロシアと続く。
アメリカは、世界のガソリンの4割以上を消費している。
日本と中国が拮抗しているが、中国の消費の伸びを見るとすでに日本を追い越していると考えられる。
それにしてもわが国の3位は輝かしい!?
http://www.stat.go.jp/data/sekai/05.htm#05-09
世界866,389千t(2002年)→1,170,796ML/year
第1位:アメリカ357,015千t(2002年)→482,453ML/year
第2位:中国42,936千t(2002年)→58,022ML/year
第3位:日本42,702千t(2002年)→57,705ML/year
第4位:カナダ33,737千t(2002年)→45,591ML/year
第5位:ロシア28,992千t(2002年)→39,178ML/year
ガソリンの比重0.74
http://www.nedo.go.jp/kokusai/kouhou/190112/siryo.pdf
これを分かりやすくグラフにしたものが次のサイトで見ることができる。
世界のガソリン消費量グラフ(2003年)
縦棒グラフが2本並んでおり、左側がアメリカの一日あたりのガソリン消費量を示し、右側がその他の国の一日あたりのガソリン消費量を示している。(単位は1兆L)
主要国の消費量を全部合わせても、アメリカの消費量より低くなっており、いかにアメリカのガソリン消費量が多いかを表している。
ところで、現在のガソリン消費量のわずか2%足らずのバイオエタノールを製造するのに全農作物(948百万t)のうちの28%にあたる265.3百万tを利用している、というのが冒頭の野村総研のレポートの主要な内容であるが、分母の数値が小さいような気がする。野村総研のレポートでは、トウモロコシ、サトウキビ、小麦、甜菜を対象としているが、バイオエタノールの原料には、米やタピオカ、サツマイモもなりえる。これら全てを分母とするほうが、実態に即していると思われる。野村総研の方法だと分母は、主に燃料として使われている作物ということになり、これはこれで意味のある数値(28%)ではあるが。
バイオエタノールになりえる作物の合計は2,707百万tとなるため、燃料作物としての利用率は約10%となる。しかし、この数値でも十分に驚きに値する。農作物の1割を燃料用に利用したとしても、ガソリン消費量の2%としか、賄うことしかできないのである。
世界的の各国の目標を達成するためには、バイオ燃料はまだまだ足りない。趨勢としては、ガソリン消費量の20%ぐらいをバイオ燃料で賄おうとしていると考えられる。現在、食用の農作物から生産される量はガソリン消費量のわずか1.9%であるため、以上で見たように、食品向けの農作物から作ることはこれ以上は無理である。現在の一桁上の製造を図るためには、農業廃棄物、林業廃棄物、藻類、食品廃棄物等を対象にしなければならない。というストーリーには同感である。