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燃料電池の未来
2005,1,30
燃料電池の未来
最近では、定置型の大型燃料電池としてSOFC(固体酸化物型燃料電池)、移動用や家庭用の小型燃料電池としてPEFC(固体高分子型燃料電池)の実用化に向けた開発が進んでいる。これらの形式は燃料電池の目標地点でもある。
普及に対しての問題点は価格が高いことというごくありふれたものであるが、材料は以前のリン酸型のような高価な白金触媒を使わず、セラミックやプラスチックが使用されるため、大量生産体制に入れば価格は安くなる。現在炭酸溶融塩型燃料電池で1KW当たり100万円かかる。しかし発電所ではそれを3万円ぐらいまでに落とす必要がある、30分の一であるが、燃料電池は非常に単純な構造であるため、かつてのワープロやVTRなどが技術革新により、さらに高性能なものが数十百分の一程度になったのを考えると達成可能と考えられる。
もう一つの問題として燃料の供給インフラの整備があげられる。SOFCは一酸化炭素もそのまま燃料として使えるため現在の都市ガスなどの既存インフラを使用することができる。しかし、近い将来は、都市ガスなどのインフラを使うにしても炭素フリーの「水素社会」を達成する必要があるだろう。ただし、PEFCは手軽な液体燃料として家庭用や小型機器ならばメタノールを使用し、車ならば水素やガソリンを利用することもあるが、それは過渡期に過ぎないだろう。
そのインフラの核となる「水素ステーション」の開発も進んでおりアメリカでは既にできている。安全性は水素の貯留法如何で決まるが一説にはガソリンより安全性が高いといわれている。
ただしその水素インフラ整備にも問題がないことはない。
いくら水素を利用した燃料電池が熱効率が高いとしても、まだまだ普及とまでは行かない。既存の内燃機関であるガソリンエンジンは最近の目覚しい開発により性能が高く、環境特性も大きく向上している。また、価格は燃料電池のそれよりもはるかに安く抑えられている。燃料電池車が2億から3億円かかるのに比べその100分の一ぐらいで済んでしまう。環境特性にしても製造段階からのエネルギーを考えると燃料電池車が数十倍も良くなるものでもない。
そこでマツダは水素ロータリーの開発に力を入れ始めた。このエンジンは水素を燃やす内燃機関なのだが、ガソリンよりも効率が高いらしい。仮に燃料電池車のための水素ステーションシステムが完成したとしてもちゃっかり便乗してしまうのだ。よって価格の安い水素エンジンの方が圧倒的なシェアを獲得してしまうだろう。
このような自由競争を止めることはできないため、燃料電池車の開発にはさらに工夫が必要であろう。燃料電池車に匹敵するような高効率のガソリンハイブリッド車と水素エンジン車という強敵を相手に燃料電池車を開発する必要がある。
ところで、定置型の燃料電池は家庭用や地域用として設置される可能性がある。温水も利用できるコージェネレーションであるからである。現在の電力会社の発電効率は50%程度だが、廃熱を捨ててしまっているので総合熱効率は50%となってしまう。しかしコージェネレーションならば余剰な熱も温水や蒸気として利用でき総合熱効率は80%近くになる。これだけ考えても燃料電池を利用する価値はある。しかし問題点がないわけではない。現在発電したり電気を供給するために燃料運搬車を走らせることはない。そのようにシステム化されているからである。つまり発電所は海辺にあり船で燃料を運ぶ。送電は送電線で行う。発電から送電まで余分な化石燃料を使用していない(ただし敷設時には大きなエネルギーを使用するが)
もしこの発電所が細かく分散され設置されるとしたら、運搬のための新たなエネルギーが必要となる。(都市ガスのインフラが利用できればそのままの状態で運搬手段は不要である)
このあたりをシステマチックに解析してより効率的に安全にエネルギーを確保する必要がある。そして現在進行している二酸化炭素の増加を抑えるためには水素社会の到来は必要である。
水素社会には核融合は含まれるか(同位体である重水素を使用する)という素朴な疑問もあるが、これについては以下のような発言がある。
「水素社会を目指すのであれば核融合は有効である...」(核融合研究開発基本問題検討会(第13回)平成15年10月24日(火)小西哲之(京都大学エネルギー理工学研究所教授))
この辺りも国民に分かりやすく説明する必要があるだろう。