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農作物の燃料利用は貧困問題解決のためにもさらに推し進めるべきである
2007,5,31
レスターブラウン氏の最近の考えは、植物などから作るバイオ燃料が、食糧であるはずの穀類市場に影響を与え、今や燃料と食糧の間で争奪戦を繰り広げている、というものである。
今すぐにバイオ燃料工場を閉鎖させ、8億台の自動車と20億人の貧困層の戦いを終焉させるべきであるというのが氏の言い分である。
バイオ燃料とは、トウモロコシ(アメリカ)、サトウキビ(ブラジル)のように主に人間の食糧になるような農作物をアルコール発酵させ、さらに蒸留などにより純度を高めたアルコール燃料である。
バイオ燃料は地球温暖化問題が深刻になるに連れ需要が高まり、原料であるトウモロコシ、サトウキビ、大豆、パーム油などが高騰している。当然人間の食糧になる原料も高騰することになる。日本人みたいに金持ちであれば影響は少ないが、貧困層にとっては厳しい状況になるという。
レスターブラウン氏は以上のことを講演(平成19年5月23日 於イイノホール)したのだが、残念ながら証拠になるような数値の根拠を揚げていなかった。氏が話しているから信憑性が高いのだろうか。それとも、最近のテレビや新聞の話題と合致しているから正しい内容なのであろうか?
氏は、バイオ燃料の需要により新たな貧困問題を生み出しているともいう。しかし、これらの問題は新たな貧困問題ではなく、単に貧困問題に対して原因としての枝が一つ増えただけに過ぎないと思う。貧困問題に幹や根の部分は相変わらず人間の感情に深く入り込んだものであり、根本的な解決が難しいものである。
食糧を燃料にしてしまうことにより貧困問題にも影響があるとすることは、ことさら感情に訴える。貧困問題を燃料問題と関係付けて見ることは新たな側面であるからだ。
しかし、もっと冷静になり、客観的にものを見る必要がある。
先進国では、食糧が余っている。原油の高騰や産油国の政情の不安定などにより代替燃料が必要である。一方途上国側では、農作物を用途を問わずもっと作りたいという欲求がある。
こうして先進国と途上国の利害が一致して、先進国で必要な代替燃料を途上国で生産することになる。
この構図はどのような生産物や資源でも当てはまる。資本主義の原点でもあるからである。
よって、バイオ燃料による問題も、貧困問題の原因のほんの一部分であるということになり、バイオ燃料の生産だけをやめても貧困問題の解決にはつながらない。
途上国での農作物の生産量が増えれば、それが食糧向けであれ、燃料向けであれ貧困問題を解決することが出来る。
食糧問題は別の次元の問題である。なぜならば我々先進国の人間は平気で食糧を捨てることが出来るのである。先進国の人々が食糧を燃料とすることは、ことさら大きな問題ではないと思う。途上国の人々が何人飢えようが我々は食べきれないほどの食糧を手にし、多量の食べ物を廃棄する。廃棄した食品はカロリーベースではあるが、何億人分にもなるだろう。しかし我々はそのようなことを意に介さない。実際に飢えてみて初めて身にしみて分かるのである。
トウモロコシの可食部分を燃料にするか、食糧にするか、飼料にするか、また可食部以外を燃料にするかは、市場のニーズによって決められるものである。(しかし、トウモロコシの非可食部で効率よくバイオエタノールが出来れば、必然的に実よりも茎を使うほうが有利になる。)
食糧はどのような状況でも最低限生理活動を維持する分だけが必要で、それ以外は自由に処分してもかまわないものである。という考えが現代社会の根底(無意識の中にも)にあると思われる。
我々人類は、石油などの地下資源に頼らない世界を作ろうと誓ったばかりである。バイオ燃料を製造することはこの一環なのである。その大きな目標に向かう途中で、ほんの少し躓いてしまった。今後は、バイオ燃料により、貧困が一層問題化するのではなく、貧困の人も立ち上がれるような世界を作るべきであり、そのためにはバイオ燃料のさらなる研究が必要である。むしろ積極的に推し進めるべきものである。