ドイツに対抗するわけじゃないが、ロマンチック街道だってあるぜ!
(2003年6月21日)


ロマンチック街道といえば「古都ヴュルツブルクからオーストリア国境に近いフュッセンまでおよそ350キロのドイツを代表する街道」であるが、それにちなんで(?)「日本ロマンチック街道」というものもあるのです。長野県上田市を起点として軽井沢を過ぎ、群馬県草津町、沼田市を経て栃木県宇都宮市に通ずる全長350kmの街道がそれ。
くわしくは、このページを参照してください。

今日は久しぶりにこの道をたどってみました。高速道路、世界遺産の土地日光、カーブが連続するワインディング・ロード、したたる緑、湖沼、田園地帯、うまい蕎麦、産地直送の農産物、品揃えのよいほどよい広さの書店などなどテンコ盛りのドライブ・コースはわが家の謎のドライバーのお気に入りルートになっています。もちろん助手席担当者にとっても楽しいルートであることはいうまでもありません。



●首都高速道路−東北自動車道

今日は朝6時に家を出る。夜更かしの私はとにかく起きて顔を洗って出かける。途中で眠くなることが予想されるような寝起きである。
通りすがりのコンビニでお茶や水を購入して、首都高速道路へ。そのまま北へ向かって走り、川口ジャンクションから東北自動車道へ入る。この時点で6時40分くらいか。7時くらいになってくると、どんどんクルマが増えてくる。渋滞こそしないものの三車線が全部クルマで埋まり、追い越し車線といえども決して速くは走れない。

こんな状態のまま埼玉県と栃木県の県境にかかる橋を渡る。鉄骨で組み上げられたちょっと不思議な感覚にとらわれる橋。
写真をみると込み合っているようには見えないけれど、速くは走れない程度の込み具合だ。



首都高速道路−東北自動車道−宇都宮IC−今市−日光

宇都宮ICで東北自動車道を降りて、日光へ向かって一般道を走る。日光までは有料道路もあるけれど、そこまで急ぐ旅ではなし、下の道をゆっくりと行く。さらに一般道でないと日光杉並木を堪能することはできない。
途中の今市(いまいち)でちょっと買物をして、そのまま真っ直ぐに日光の市街地を抜ける。突き当たりにあるのが世界遺産に登録された日光東照宮であるが、ドライブ重視のわれわれはそんなところには目もくれずにひたすら「いろは坂」をめざして突き進む。

途中で「サルパトロール」のクルマに出会う。日光猿軍団というさまざまな芸をする猿たちもいるが、芸をしない猿の軍団も別にいて、彼らは観光客にまとわりついてはお菓子をねだる、かすめとるというあさましい行為に及ぶこともしばしば。最近ではコンビニの白いレジ袋にはたいていお菓子があることを学習して、レジ袋をひったくる、開いている窓から社内に入り込んで室内を物色するという傍若無人な振る舞いをするようになって、地元の観光協会もほとほと手を焼くようになっているという。その結果、導入されたのが「サルパトロール」らしい。元はといえば、安易に野生の猿にお菓子を与えてしまった人間が悪いのだ。



首都高速道路−東北自動車道−宇都宮IC−今市−日光−いろは坂−中禅寺湖

日光の市街地を抜けて中禅寺湖を目指して登っていくのが「いろは坂」である。カーブのひとつひとつに「い」「ろ」「は」と名前がついてしまうほど九十九折(つづらおり)の道である。クルマ好きの青年はここでカーブが連続する山道をいかに早く登りきるかの鍛錬にいそしむ。下りの方は勇気あまって力いっぱいタイヤを鳴らしながら、さらに車体をガードレールにこすりつけながら降りていったらしい痕跡がいたるところに見られる。上りの道はそれほどのパワーが出ないせいか、ガードレールも比較的きれい。
いろは坂を登りきったところが中禅寺湖と華厳の滝。日本一の落差をほこる華厳の滝であるが、観瀑台まで有料エレベータで降りるという手間もかかるため、ここはパスしてひたすら先を急ぐ。(別に急ぐ旅ではないんだけれどね)

日光といえば「二荒神社」(ふたらじんじゃ)である。道路にはこんな赤い大鳥居が立っている。

さらに進むと神社参道が見えてくる。ここも車中から横目で見て、先に進む。


このあたりは中禅寺湖沿いの道。左手には湖が広がるというベスト・ロケーションだ。



首都高速道路−東北自動車道−宇都宮IC−今市−日光−いろは坂−中禅寺湖−竜頭の滝−金精峠

日光から奥日光へ向かう途中にあるのが「竜頭の滝」(りゅうずのたき)。戦場ヶ原を流れてきた湯川が斜面いっぱいに広がりながら中禅寺湖に向かって落ちていく滝で、長さ210メートル、幅10メートルの景観は四季折々いつ見てもなかなかの景観である。


小学生たちも大勢訪れて歓声を上げる。


彼らが去った後はこんなふう。


滝のそばでオトシブミの卵の入った葉を見つける。くるくると巻き取られた葉のなかに卵が産み付けられているという。ファーブル昆虫記を思い出してしまった。


滝を後にすると戦場ヶ原へ出る。広々とした高層湿原で、中高年のハイカーたちがそぞろ歩いているのに出会う。湿原のなかの白樺は自然派カメラマンの絶好の的で、シーズンともなれば三脚を立てる場所をとるためにもめごとが起きてしまうことも。


ここを抜けると再び急坂が続く。いよいよ金精峠である。冬の間は積雪のため交通止めになる道路である。



首都高速道路−東北自動車道−宇都宮IC−今市−日光−いろは坂−中禅寺湖−竜頭の滝−金精峠−沼田−中之条

金精峠を抜けるとそこは群馬県。山道をどんどん下っていくと、吹割の滝などの名勝地もあるけれど、とにかく先に進んでしまう。たまには滝見物もいいね、などど話し合っていても、このあたりまでくると時刻は10時くらい。そろそろ小腹が空いてくるころ。お昼ごはんを考えると「滝なんていつでもいいさ」という気持ちになってしまう。というわけで眼下に見える沼田の町に向かって下りていくのみ。


沼田の街を通り過ぎ、山の中の農村地帯を通り抜けるとようやく中之条。こんなマンホールがあった。



首都高速道路−東北自動車道−宇都宮IC−今市−日光−いろは坂−中禅寺湖−竜頭の滝−金精峠−沼田−中之条−昭和IC−関越自動車道−外環道−首都高速道路

中之条ではJRの駅前の「はやしや」で蕎麦を食べる。ミニ天丼セット、900円である。うずたかく盛られた蕎麦に注目(一応断っておくが、これは大盛りではない)。うっかり大盛りなんて頼もうものなら若い男性でもびっくりするほどの分量になってしまう。

おなかいっぱいになったところで、品揃えが多くて見やすい書店「ちぎりいちブックセンター」に立ち寄ってから帰路に着く。
さらに昭和ICで関越自動車道に乗る前に、農産物の直販所によって野菜を買い込む。
あとは一路、自宅を目指してひた走るのみ。

よく考えてみると、どのあたりが「ロマンチック」街道だったのだろうか。自然あふれるドライブコースはいつ訪れても心休まる。そして一日でぐるっと回ると身体疲れる。そして、むしょうに出かけたくなる場所なのである。
決してつまらない場所ではない。見どころもたくさんある。まめにクルマを停めて見てまわるのもいい・・・はず。ま、人ぞれぞれのドライブスタイルがある、といっておこう。