熱闘句会 第3回 吟行

2015年5月6日   於:川崎大師   句会場:素食Café Sara


           
 

かねてから、行こう行こう、やろうやろうと心ときめかせておりましたが、ワイワイと騒ぐばかりで腰の重たいお年頃のシスターズ。そのシスターズが互いに(ここ大事)互いを鞭打ちつつ、やっとの大企画、熱闘句会吟行を行いました。青息吐息でありますが、心のときめきは肉体を軽々と越えて行くのでありました。 

五月六日は連休最後の日でした。日射しの強い、暑いけどちょっと寒いみたいな微妙な天気。集合場所の京急川崎大師駅改札は、もしやの心配どおり2ヵ所ありましたが、無事集合時間には集合を終えて、そこから吟行は始まりました。意気揚々の参加者七名。
七名は案の定、川崎大師はそこにあるのにくるりと回って入口を探しつつ進み。不動門をくぐり、つるの池で憩い、不動堂で手を合わせ、稲荷堂で狐を撫で、大本堂で護摩が焚かれるのを見つめ、八角五重塔を見上げ、ちいさな八十八ヶ所を巡りました。

 
           
         
     
 吟行地はすぐそこに見えています。   周辺をじっくりと歩み、気合いを込める。    門前の飴屋さん。 
           
           
       
   いよいよ境内へ。   お大師様の銅像。
周囲には八十八ヶ所のお石塔が並んでいました。 
 
           
           
     
 八角形の五重の塔。
境内のどこからても、 良く見えます。
 中台八葉院胎蔵曼荼羅  金剛界八十一尊曼荼羅
           
           
       
  福徳稲荷社。
お不動様には必ず稲荷神社があります。
 川崎大師の本堂。
中では護摩供養が行われていました。
 
           
           
           
  わあ何十年ぶりだろうとか、案外に小さいとか、大きいとか、感想を垂れ流しながら、片手にノートの人も、カメラの人も、一人で黙々と指を折る方も、目玉だけはくりくりと。  
           
           
         
     新緑の菩提樹。    
           
           
  それでも、さすがに、手慣れた面々は吟行終了時間までには集合場所に集まりました。もうお腹もすいて、喉も渇いて、はやくはやくCafe Saraに行こうとケンケンガクガクの移動方法協議。一番速いはずと、電車とタクシーで。

句会場となった「素食Cafe Sara」について少し説明します。
お仲間の屁散人さんの妹、美智子さんが経営する自然食のレストラン。今回の句会場になんと貸し切りにしていただく。お店の雰囲気に人柄が現れていて、やさしい静けさがとてもくつろげる。そしてなにより、その人柄が・・・すごい。まず頑固。つぎに頑固。さらに頑固。兄妹とはよく似たものだと思ったりもするけれど、この妹にこの兄ありきというか、この兄にこの妹ありきという方か正しいか、悩ましい。ちょっとおきゃんでめちゃくちゃ楽しい。しかし、頑固。
そんな通称イモさんこと美智子さんが作るお料理がまずいわけないっ!
 
           
           
     
 素食Cafe Sara  輝く美智子さん(通称、イモさん)  Saraのお部屋はこんな感じ。
           
           
  とりあえず乾杯のビールやお茶。それから、お酒やお酒。魔法の梅酒もすすりつつ、地味豊かなお食事をいただく。  
           
           
 
           
           
  いよいよ句会が始まり。イモさんも選句に参加。今回の句会は屁散人さんに丸投げで、司会と披講をお願いしました。  
           
           
   
           
           
  披講        
   特選:2点、並選:1点 で計算しています。  
  行く春や檀徒に離れ経を聴く    珍辰   5(特2) (特)八 (並)屁、犬、凡
飴を切る板のへこみや夏の風    芽笹   4(特2) (特)風 (並)屁、松
巣立鳥ぽつこり雲が寄ってくる   珍辰   4         (並)屁、犬、凡、八
覗きたる稲荷の闇の薄暑かな    屁散人  4         (並)犬、凡、八、松
飴切りの音の響きて端午かな    凡々   3(特2) (特)犬 (並)松
山門に入れば花栗匂ひゐて     八王子  3(特2) (特)屁 (並)犬
けふ立夏包丁に飴撥ね切られ    犬客   3(特2) (特)凡 (並)風  (逆)芽
春愁ひ護摩火の爆ぜに失せにけり  珍辰   3(特2) (特)松 (並)風  (逆)犬
手を合はす少女の頬に夏兆す    八王子  2(特2) (特)イモ       (逆)松
葉桜に影をもらひて観音像     風子   2(特2) (特)芽
献水のこぼれて立夏の風甘し    八王子  2         (並)風、イモ
香煙を犬も賜る五月晴れ      風子   2         (並)松、芽
薫風を邪鬼は踏まれてゐるばかり  屁散人  1         (並)芽
緑陰の風にひらきて寺縁起     屁散人  1         (並)凡
土産屋の梵字読めずに亀鳴けり   風子   1         (並)屁  (逆)イモ
大独鈷金箔はりて薄暑かな     松子   1         (並)芽
解脱門出て戻りたり夏燕      犬客   1         (並)八
池の鯉浮かびて若葉食べむとす   八王子  1         (並)芽
惜春や終へて寡黙の猿回し     珍辰   1         (並)風
大門をくぐりて夏の風に逢ふ    松子   1         (並)イモ
子供の日過ぎたる空にラムネ売り  屁散人  1         (並)イモ
旅の無事立夏の水を掛け祈る    凡々   1         (並)八
虚子の碑や青葉若葉に風そよぐ   八王子  1         (並)イモ
白き喉見せてラムネを女飲む    凡々                  (逆)屁
古賀政男先生の像緑陰に      犬客                  (逆)凡
夏立や律動的に太鼓打つ      芽笹                  (逆)八
若楓五重の塔を撫でさすり     松子                  (逆)風
金魚売屋台支度ととのはず
外幟飴切る音やトコトント
夏近し護摩火が育つ普門品
老犬に水飴買いて夏立ちぬ
八角の塔のそびゆる夏の空
万太郎忌露天の食べ物皆大盛
柿若葉夢石に小石重ね置く
子供の日過ぎぬ自転車少年に
春行くやとんとこ飴を聞きながら
婆つれて詣でる寺の薄暑かな
満開の木香薔薇の道を過ぎ
白日傘飴切りの音とつとことん
遍路道小さく並び白つつじ
 
           
           
  各自、特選一句、選四句、逆選一句です。
逆選は、どうしてもこれは嫌だとか、なんでこんなの作ったのよとか、まあ、いちゃもんのようなものです。 

句会参加者は、屁散人さん、犬客さん、八王子さん、凡々さん、風子さん、芽笹さん、松子の七名。
当日不参加ですが、事前に「一人吟行」を行った珍辰さんから投句をいただきましたので、句会では選句させていただきました。
で、やっぱり一人の方が邪念がないのか、はたまた肝が据わるのか、珍辰さんの句が得点を集めましたが、今回のお楽しみ「熱闘賞」の選考からは外させていただきました。賞品を郵送するには手間がかかるという理由から。

今回の吟行の「熱闘賞」は芽笹さんに決定しました。
賞品はCafe Saraの美味
しいお味噌です。                          (松子 記)
 
           
           
       
    屁散人さんから賞品授与     
         
         
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