1999年7月12日に,また信濃ビールまで行って来ました.今回は平日だったので,ゆっくり関口社長のお話を聞くこともできました.以下レポートです.
長野駅から黒姫駅までは信越本線で6駅で,約30〜40分ほどです.しかし,電車の本数は1時間に1本ほどと,お世辞にも多いとは言えません.さらに,黒姫駅から信濃ビールまでの黒姫高原行きバスは,1時間に1本あるかないかで電車の時間とシンクロしていないので,注意する必要があります.バス停の時刻表の写真を見て,計画をたてることをお勧めします.ちなみに信濃ビール最寄りのバス停は「山桑」というところです.
今回はバスを1時間以上待たなければならないタイミングだったので,タクシーを利用しました.タクシーだと10分弱で到着することができます.黒姫の駅前は,特に時間つぶしをできるような店がないので,中途半端な時間に着いてしまった場合はタクシーを利用した方がいいと思います.
現地に到着すると,一面の霧で,その中にブルワリがうっすらと見えていました.ブルワリの近辺は,山裾のために,時々霧景色になることがあります.車の運転をするなら気をつける必要がありますが,これはこれで風情があります.
前回(98年10月7日)は,パブに入るのに,パブの横側の階段を上ったのですが,増築されたパブの入り口は,正面にのびています.前に訪れた時よりも近代的な感じがしました.
チェスナッツパブの方は,前の倍くらいの広さになっていましたが,今回訪れた時はまだ工事中で,店内に強いニスの香りがして酔いそうなほどでした.入り口から見ると改装中かと思うような状態ですが,営業はしてました(^^;
【注】現在は店内の改装は終わったそうで,広くなったお店でゆっくりすることができます.日曜日などは,広くなったにもかかわらず満席近くなるようです.
パブの増設部分は,品の良いテーブルと椅子がレストランふうで,テーブルが低く,落ち着ける感じになっています.その上に木で組んだ2階席(パブが2階にあるので3階席?)があります.2階席に上る階段は,以前に店の入り口あった階段を使っているということです.また,新たにタイル貼りのカウンターもでき,その奥の厨房も広くなっていました.以前の店から見ると,キャパは2倍以上広くなっているのではないでしょうか.
前に厨房があった場所には,パン釜が鎮座しています.ここからもうすぐ香ばしい匂いがしてくるのではと,ちょっと楽しみです.
それぞれの設備は,テーブルやイス,調度類なども中古品を有効利用しているとのことです.ゼロエミッションの精神(環境に配慮した,廃棄物ゼロ計画)で,廃物利用などをして,結果的にコストを最小限に抑える努力をされているようです.また建物の断熱材も,精密部品を運んだ後の梱包材を使用しているそうです.燃やせばダイオキシンが出てしまうようなものも,関口さんの手にかかれば,実用的なものに変わってしまうのが印象的でした.
隣接するプラントも案内していただきましたが,関口社長が配管や足場などを示しながら「手作りだから,溶接があまり上手じゃないけれど,全部自分達で組み立てたんですよ」とおっしゃるところにこだわりを感じました.プラントの中は整理され清潔感が漂っています.また,ボディソニックの熟成タンクも健在でした(^^;
信濃ブルワリは,地道に美味しい地ビールを作り,品質を安定させて,それらが確立してから,炭火を熾(おこ)すように徐々に規模を大きくし,ゆっくり理想の形にしていこうとしていることは好感が持てます.
関口社長がおっしゃるゼロエミッションは,地ビールだけでなく,農作物や畜産など,かなり広範囲の計画で,それぞれを連鎖させることによって,結果的に廃棄物ゼロにするというものです.
既にゼロエミッションの一環として,マッシュした麦芽滓(かす)を使ってパンを作ろうという計画や,無農薬の肥料として利用する等の計画が進んでいて,研究施設なども建設が予定されているようです.
今回はまだ,その片鱗を見学できただけでしたが,今後の進展は,また信濃ブルワリを訪問した時の楽しみにとっておくことにします.
また,ブルワリのすぐ横の畑の畦道に,ビール用の井戸から汲み上げた清水を流し,そこに蛍を呼ぶ計画もあるようで,既に夜になると蛍が見られるそうです.これも綺麗な清水のおかげでしょうか.
やはり現地で飲む信濃ビールは旨いです.これは現地まで行った人間の特権ですね.店の中にはウォーターサーバがあって黒姫の地下水をそのまま飲むことができます.料理も最高でした.行ったのは3度目になるのですが,前回同様にお世辞抜きで本当に美味しかったです.
中で飲めるビールは,信濃エール,マウンテンエール,ドラゴンエール,黒姫スタウトの4種類で,時期によっては,これに雪中麦酒が加わります.どのビールもまったりとしたモルトの香りと,一本通ったホップの香りがあります.全体的に市販のビールを飲み慣れている人には,苦めに感じると思いますが,味わいながらゆっくり飲めるビールという感じで,落ち着いて料理を食べながら飲めるものです.
特に黒姫スタウトは訪れたなら必ず飲んでみたい逸品で,ローストされたモルトの苦みと香り,それにホップが適度に苦みを加えて,それでいてモルトの柔らかな風味があり,全体的にどっしりとした落ち着いた味わいを出しています.全体的にバランスがとれて,味が濃いめの料理やチーズなどには非常に合います.味わいながらゆっくり飲んでもらいたいビールです.
前回はビールの紹介しかしなかったので,今回は料理の紹介をします.といっても,今回食べたものだけですが(^^;