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コンピュ−タで最適化された八木アンテナ
JA1BRK 米村 太刀夫
我が家から見て、南側の地所でスタンレー電気研修所の工事が始まっているのを眺
めていたとき「あのクレーンがあればクランクアップタワーは簡単に建てられそうだ
」と閃き、さっそくこれを実行に移すことにしました。FTIによってアッという間
にタワーが建ってしまったのですが、これに上げるアンテナとして、14メガのモノ
バンダーと50メガ用に決めました。JA1BRK局の14メガ用アンテナは、35
mタワーの7メガ用3エレの上3m、地上高38mに上げたナガラのTA−351ト
ライバンダーで、アンテナ自体のゲインもそこそこですが、地上高が高すぎてロング
パスとかバンドがやっと開いているようなコンディションの悪い時には高さが効果を
発揮することがあっても、普通のプロパゲーションでは「飛び」「耳」が悪かったの
です。
アメリカのアマチュア無線の技術指向の読者を対象とした「コミュニケーション・
クロータリ誌」にW1JRが最新のコンピューターシュミレーションによる八木アン
テナの解説記事があり、その中に興味のある4エレ八木がありました。アンテナの構
成、寸法は図面を見て戴ければお分かりだと思いますが、特徴は第1ディレクターが
極端にラジェータに接近していることです。この構成はQST誌の記事にOWA(オ
プティマイズド・ワイドバンド・アレー)として簡単に説明されているのを見つけま
したが、要するに帯域の広い八木アンテナの新しい設計手法なのです。ラジェータは
、ダイポールの直線給電で、ヘアピンのようなマッチングを必要としません。給電点
のインピーダンスが50オームでリアクタンスが極端に少ないのが特徴です。昔から
アンテナの技術書には、八木アンテアの給電インピーダンスは、15〜30オームと
同軸ケーブルより低く、何らかのマッチングが必要であると記されていました。八木
アンテナを自作していた時代は、ドリブンエレメントを絶縁するのが困難であり、ガ
ンマーマッチとこれの変形のオメガーマッチを使うのが普通であったのです。しかし
、ローカルのJA1HQG有坂OMが昭和30年代後半に海外取材の際入手したモー
ズレーANTを私に譲ってくれたのです。モーズレーTA−33はナガラ電子工業が
この後輸入を開始して、最終的には日本製の材料を使って国産化しました。この米国
製TA−33を私のタワーに上げた時に、その構造を見て大いに驚いたものです。ラ
ジエータは直接給電であり、何もマッチングが無かったからです。トライバンダーは
14メガではトラップがローディングとして動作しており、エレメントの長さが短縮
されているわけですから、これだけでもインピーダンスは低下することになります。
しかも八木アンテナの給電インピーダンスは低いと教えられていましたので、どうし
てこれで50オームのケーブルとマッチングが取れてSWRが良いのかとても不思議
に感じたものです。TA−33は、簡単に言えばリフレクターを最適の長さより少し
長めにディレクターを逆に最適長から短めに設定することにより、給電点のインピー
ダンスを高めているのです。もちろんゲインに関しては、最適なリフレクター/ディ
レクターを持つものより1dB程度は低下しますが、SWRの変化が穏やかになるとい
うメリットがあったのです。W1JRはこの古くて新しい構成の3エレをコンピュー
タでシュミレーションして、推奨しています。八木アンテナのゲインはブーム長で決
まるもので、最高ゲインを目指してパラスティクエレメントをチューニングしますと
、設計周波数を少し外れるとゲイン、FB比が極端に低下します。給電インピダンス
が低いのでマッチングを取っても、周波数によるSWRの変化が大きくなります。そ
れより、少しゲインは低くても、バンド内でのSWR、ゲイン、FB比の変化の少な
いチューニングの方が使いやすいですし、他のバンドのアンデナを重ねた時の「被害
」が少なくて済むのです。W1JRは、3エレと同じブーム長にもう1本のディレク
ターをラジェーターの前方間近に配置することによって、3エレより1dB高いゲイン
を得て、しかもラジエーターに直接給電することによって広い帯域を得ることをコン
ピュータ上で確かめて、これを実際に作って確認しています。マッチングの無い直接
給電は、インピーダンス変換に伴うロスが少ないのと、ドリブンエレメントに流れる
高周波電流が少ないのでオミックロスを最小にできるのです。さっそく手持ちの材料
を流用してこの4エレを組み上げてみました。エレメントパイプは先端にいくほど細
くなるので、実際のエレメント長はこれを補正して少し長めにしてあります。組み立
ててそのままSWRを測定しましたら14・0で1・0となり、ラジェータのみを先
端5cm短縮してこれを14・1にシフトさせました。SWRカーブはとても緩やかで
す。SWR2の範囲は確実に5パーセントは越えているようです。実際にこのANT
を38m高のTAー351と比較しましたが、平均的にこの4エレの方がSが1は良
いようです。W6(カリフォルニア)程度の距離ではクランクアップを20m内外の
高さにしてやると、10dBは勝っています。FB比は確実に20dBは越えているよう
で、良く切れる感じがします。一見デュアルドリブンの八木アンテナのように見える
この新しい設計手法の八木アンテナは、使い心地が良くとても満足しています。どな
かた追試をお願いします。


周波数帯域におけるSWR

直接給電の3エレ八木

1のパタ−ン

4エレ八木

3のパタ−ン 1との差は垂直角の半値角にある

14メガでの実寸法 但しドリブンは 生装を5cmづつ短縮してある


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