&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&            耳鼻科の病気について              福岡市 高橋尚美先生の講話より          &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 平成6年8月27日に私の友人で福岡で耳鼻科を開業している高橋尚美先生においで いただき、耳鼻科についてのお話をいただきました。私が記憶する限りの当日の内容 を簡単に御紹介いたします。 1、耳鼻科について  耳鼻科は耳や鼻のしくみがわかっていると、簡単に理解できますので、すこし専門的 かもしれませんが、顔の周辺の解剖のお話を聞いてください。  まず鼻は口のすぐ上にあり、大きく開けた口と同じぐらいの大きさの空洞です。その 内側はのど、両耳とつながっており、同じ粘膜で覆われています。ですから鼻におきた 事が、耳やのどにも影響するわけです。またほお骨、額、両眼球の間等の顔面の骨の中 には5つの空洞があり、内側はやはり粘膜で覆われています。風邪をひいたときに頭痛 がするのは額、ほお骨のところの空洞の中の粘膜が炎症をおこしているわけです。また 鼻は脳と薄い骨で仕切られているだけなので、鼻におきた炎症がひどい時には脳に影響 する事もあるわけです。  また、耳(中耳)と鼻は耳管という管でつながっており、中耳腔という部屋の圧力の 調節をしています。この管がつまったりして空気の流れが悪くなると、滲出性中耳炎な どの原因になります。耳は外のほうから、音の入口である外耳、音を機械的に増幅する 中耳、それを電気にかええて神経につたえる内耳があります。内耳にはさらに平衡感覚 を持つ三半規管と、音を感じる”かたつむり”のような蝸牛があります。 2、副鼻腔炎  ほお骨の下の空洞は上顎洞(副鼻腔のひとつ)と呼ばれており、いわゆる副鼻腔炎( 蓄膿)がおきます。鼻汁や鼻づまり、頭痛などが起こり、風邪に続く細菌感染が原因で す。この治療には副鼻腔を洗浄して、抗生物質を注入したりします。 3、中耳炎  中耳は外側を鼓膜で閉ざされた空洞です。その中には音を増幅する機械である小さな 骨が3個あります。ふだんはこの部屋は耳管と呼ばれる管で鼻とつながっており、気圧 の調節を受持っています。したがって風邪をひいたときなど、この耳管を通じて鼻の細 菌が侵入してきて、急性中耳炎を起こします。この時は鼓膜を切開したりして、膿を出 してやるとすぐに治ります。  急性中耳炎は痛みや熱がでるため、わかりやすいのですが、最近は滲出性中耳炎が問 題になっております。これは耳管の流れが悪くなっており、耳の中の圧力が下がるため に、中耳腔に液体がたまっていく病気で、乳幼児期から学童期に多く本人の訴えが無い ため、聴力が低下して始めて気がつくことが多いようです。4ー5才でテレビを大きく して聞く子供などに多いようです。早く気付いて受診させたほうがよいようです。治療 として鼻から空気を入れてやる通気法などが有効ですが、鼓膜にチューブを留置してお く方法も最近よく行なわれ、非常に成績が良いようです。 4、鼻血  鼻血は鼻の穴から2ー3センチのところの粘膜表面に毛細血管の集ったキーゼルバッ ハ部位に90%以上出血がおきます。もし鼻血がでた時は、身体の中の一番血圧の高い 心臓より高い位置に鼻出血部位を位置させるために、椅子などに座らせて、下をむいて 鼻の大きさにあわせて、脱脂綿をつめて、鼻をつまみ鼻から口のほうに血がいかないよ うに下をむいてください。5分ほどで必ずとまります。 5、めまい  めまいはいろいろな原因でおこります。耳や脳、目、その他、貧血や低血圧、低血糖、 心臓病などでもおこります。そのなかでも原因的に多いのは耳からのめまいで、耳鼻科 医はこれを鑑別するのが仕事だと考えています。よく聞くメニエル病というのは、耳の 中の平衡感覚をつかさどる三半規管にリンパ液がたまりすぎるために、平衡感覚が壊れ る病気です。 6、人工内耳  補聴器をかけても耳が聞えない人の為に、新しい技術が開発されました。音を機械で 電気にかえて直接聴神経に流すと、いままで全く聞えなかった人が聞えるようになりま す。欠点はまだ値段が高く、保険がきかないことです。 7、その他  細菌性の副鼻腔炎と考えていたものが、割合にアレルギーの1種であることがありま す。その場合、アレルギーの薬をのんでみるとよい事があります。また鼻の粘膜が乾燥 するために、いびきをかいたり、息が吸込みにくいことがあります。この場合、軟膏を 鼻の入口附近にぬるのも効果的です。 以上が私が憶えている限りの先生のお話です。参考にしてください。耳鼻科の治療は毎 日根気よくやるのが、早くなおる秘訣とか、気長に粘り強くやりましょう。 -*- Dr.KUMA ~{^_^}~ Medical library -*-