問1 老人性痴呆、いわゆる”ぼけ”は老年人口のどのくらいにおこると思いますか?
- 5%
- 20%
- 50%
答 1番 いろいろな調査がありますが、老人性痴呆いわゆる”ぼけ”は老年人口の約5%に起こるといわれています。それも年齢によって出現率がことなり、60台で1%、70台で4%ですが、80台では10%、85歳以上では20%ぐらいになります。
男女差ははっきりしませんが、ある年代以上では女性の方が多いようです。
人口が高齢化していき、日田市でも65歳以上人口が、全人口の20%をこえようとしているわけですから、少なく見積もっても全市で650人程度の老人で問題が起こると考えられます。そしてそのような老人をかかえる家庭では、すでに深刻な問題をかかえているわけです。
問2 老人性痴呆は最初にどんな症状があらわれると思いますか?
- 物忘れがひどくなる
- 手や足がしびれたり、麻痺する
- 計算ができなくなる
答 1番
老人性痴呆の初期症状として最も多いのは記憶力、記銘力の低下です。たとえばご飯を食べた事を忘れてしまって、、まだ食べさせてくれないというとか、外出すると家の方向がわからなくなり、家に戻れなくなるといったことです。
ひどくなると自分の生年月日、名前や子供の名前まで忘れてしまいます。
老人性痴呆の診断の根拠として
- 記憶障害 物忘れがひどい
- 認知障害 想像力や判断力がなくなる
- 人格障害 怒りっぽくなったり、頑固になる、子供にもどる
があり、臨床現場では物忘れとして訴える事が多いようです。
そしてその形として、ごく最近の事ほど忘れやすく、古い記憶は保たれるという特徴があります。今食べたものがおもいだせずに、昔の話を克明に覚えていたりします。
覚えておいてくださいよといっても、すぐに忘れるのも記銘力の障害です。
問3 仮に痴呆性老人がトイレと押入をまちがえて排便をしたとします。そんな時にあなたはどう対処しますか?
- きびしくしかって、2度とまちがえないように命令する。
- 間に合ってよかったですねといい、やさしくここはトイレではない事を教える
- そのまま黙って自分の部屋にもどす
答 2番 いくつか答が考えられるかも知れませんが、この場合のポイントは、決してきびしくしからない事です。一度は受けとめてあげて、やさしく”こちらでしたほうがいいですよ”と教えてあげてください。
決して自尊心を傷つけるような行動はやめましょう。
老人はプライドが高くて、きびしく叱る事によって、うつ状態になったり、被害的になったり、攻撃的になったりします。すべてを一度のみこんでやることが大切です。
問4 老人が歩いています。声をかけるときどうしますか?
- 大きな声で遠くから呼び止める
- できるだけ近づいて、前にまわって分かりやすい声で呼びかける。
- 後ろから呼び止める
答 2番 痴呆性老人は行動が極端に遅くなっていたりします。後ろから呼びかけたりするとふりむくはずみで倒れたりしますので危険です。
また、大きな声で呼びかけるとびっくりして思わぬ行動にでるために、けがをする事もあります。近くに寄ってから普通の声でよびかけてください。
耳が遠い人では、遠くから大きな声で呼ばれてもわかりませんし、近くからの大きな声はかえって音が割れて聞こえにくいようです。
問5 さっきご飯を食べたばかりの老人が”まだ食べていない”という時、あなたならどうしますか?
- ”さっき食べたじゃないですか!まったく、いいかげんにしてよ!”
- ”いま、支度しているからちょっと待ってね。”
- 相手にしない
答 2番 大切なポイントは納得のいくように話すという事です。どんなにさっき食べましたよといっても、相手は完全に忘れているので納得しません。”いま支度しているからちょっと待ってね”と話した方が効果的です。ある老人ホームでバスで外出した時に、ひとりだけどうしてもバスからおりない老人に、”もう終点ですよ”といったところ、”ああ、なんだ終点か”といって降りてきたという話があります。要はちょっと機転をきかせることです。
相手にしないのは最低です。それだけで老人は心に壁をつくってしまいます。
問6 なにもいない室内で、老人が”そこに猫がおる”という時、あなたならどうしますか?
- ”猫なんかいないじゃないですか”
- ”じゃあ、私がおっぱらいましょうね、はい、もう向こうにいきましたよ”
答 2番 もうわかりましたね、一度相手の話を受けとめて、認めたあとに、うまくそれを受け流すわけです。こうすれば老人も傷つかず、貴方に心を開いてくれます。
今日は老人性痴呆について、クイズ形式でお話をしましたが、現実の介護の場面では、いろいろな状況が起こります。そしてそれを乗り越えていくのは介護者自身です。大切な事はやさしい言葉や暖かい眼差し、手を握る、肩を抱くといった感情面に働きかける行動を通して、痴呆性老人との信頼関係をつくる事だと思います。
けっして口でいうほど簡単でない事はわかっていますが、ねばり強く根気よく続けていってあげてください。
参考 老年期痴呆診断マニュアル 日本医師会 痴呆の介護の実際 五島シズ