&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 風邪をひどくしないために! &&&&&&&&&&&&&&&&&&&  ●肺炎、気管支炎  風邪をほおっておくと肺炎になるといわれますが、肺炎になる前にはよく気管 支炎になることが多いようです。典型的な場合、咳や鼻水が3日ほど続き、咳に 痰がからむようになります。微熱がでたり、高熱のこともありますが、夜中に咳 が続き不眠の原因となったりします。これを原因から考えると、最初はウイルス からの上気道症状で2ー3日以内に軽快するはずですが、咳に反応して痰が増加 したところに、細菌が感染して細菌性の気管支炎になったと考えられます。  こうなると熱が続き、黄色や緑色、ときには黒っぽい汚いねばっこい痰が続き ます。症状を聞いただけで気管支炎だと推測できます。咳がかなり続いても、痰 のでない咳であれば、のどやのどの奥が炎症をおこして、過敏になっていると考 えられます。しかしこの場合も長く続けば、やはり気管支炎や特殊な肺炎、たと えばマイコプラズマ肺炎のようなものを考えなければいけません。  マイコプラズマは細菌とウイルスの中間ぐらいのもので、激しい咳が特徴です。 熱はあまりひどくなく、痰もあまりおおくありません。しかしレントゲンをとっ てみると、立派な肺炎の像を見る事ができます。ですからこれは疑う事が診断の 第1歩であるといえます。診断がつけば特殊な抗生物質が有効で、比較的簡単に 治ります。  とにかく風邪をがまんするのは結構ですし、ウイルス性のかぜ症侯群であるう ちはよく栄養をとって、しっかり休養するのが一番です。しかし肺炎や気管支炎 は放置しておけば命を失うほどの病気です。まだ衛生観念が低く生活環境も厳し かった戦前、戦後の日本では肺炎は重大な病気でした。その重大さはいまでも変 りありません。今まで元気だった高齢者が急に元気がなくなり、食欲もなく、口 もきかなくなるのは肺炎である事がほとんどです。 (質問)風邪かなとおもったらどうすればよいのですか?  これはかなりの難問です。よく市販の風邪薬をのんでおくという人がいますが、 風邪薬はかなりのものが解熱剤や痛み止め、咳止めなどを混ぜ合わせたもので、 症状を軽くするためのものです。ですから将来の風邪を予防する力はありません。 むしろ寒気がしたり、気分が悪い程度であれば、よくうがいをして、暖かくして 卵酒(卵にはリゾチームという酵素があり、炎症をしずめる役目があります。も ちろん画期的に効くものではありませんが)をのんで寝ると言うのもいい考えで す。 (質問)咳がでる時にはどうしたらよいですか?  咳は細菌やウイルスでいたんだ粘膜からでてきた痰などを吐きだすための現象 です。ですから無理にとめるのもいけません。痰を十分だしてやる事が大切です。 しかしひとつの咳は二つの咳を呼ぶとも言われますので、ひどい場合は医師から 咳止めをもらってください。家の中では以下の様な注意が必要です。 1、タバコをやめるすっている本人よりも、周囲の人の方が影響が大きいのです。 同席した人がタバコを吸い始めたらはっきりとことわりましょう。 2、部屋を乾燥させすぎない  最近のファンヒーターやエアコンのような暖房器具は湿度をとるだけです。か ならず加湿器(2ー3万円からあります)を併用しましょう。昔風のストーブの 上にやかんというのも良い方法です。 3、マスクをする  マスクは無効と言う人もいますが、最近のマスクはフィルターの精度があがっ て、かなりほこりや花粉をとってくれます。薬局でよく選んでください。 などが重要です。 (質問)風呂はいつからはいったらよいですか?  風呂は熱がない限り、はいって結構です。老人では熱がさがって1ー2日たっ てから、周囲を暖かくしてはいってください。しかし体力を使いますので、長湯 はさけてください。咳のでる人では、かえって湿度を与えて、痰をきるためによ いでしょう。温めた衣類を用意しておいたり、湯冷めしないようにしてください。 ただし体温調節がうまくない小さな子供では、風呂はひかえたほうがよいかもし れません。主治医にご相談ください。 (質問)どうしたら風邪をひかないのですか?  いろいろな風邪撃退法を読んでみると、どうも共通しているのは精神力だとい うことです。大事な役目をしていたり、仕事が好調な時は風邪を不思議にひきま せん。つかれがたまったり、精神的に落込んでいる時などにひくようです。もう ひとつは皮膚を鍛える事です。夏の間、日光浴をしたり、海水浴にいくと冬に風 邪をひきにくい事は経験的にも理解できます。のどや肺、気管支などは皮膚の延 長であるからでしょう。ビタミンCがよいという学説をポーリングという人がい いだしましたが、経験的にはあまり効果がないようです。 (質問)注射かなにかで1発でなおるのはありませんか?  これもよく聞かれる質問ですが、原則的にはありません。風邪はウイルス性の 病気ですが、ウイルスに効く薬は現在非常に少なく、しかも副作用などを伴いま すし、風邪のウイルスは数百種類あり、実用的な坑ウイルス剤はないというのが 現状です。たいてい風邪の注射と言うのは解熱剤が多く、熱をさげてもウイルス をやつけているわけではありません。しかしそれで気分がよくなり、食事が入れ ば体力がもどり、はやく回復するかもしれません。しかし解熱剤の注射は副作用 が多く、ショックをむしろ熱を下げるのは、ウイルスと身体の戦いを邪魔して、 風邪をながびかせるという意見もあります。 (質問)抗生物質は効かないのですか?  これもよくある質問のひとつです。前問と同様に風邪はウイルス性の病気です から、原則的には細菌を殺す薬である抗生物質は効きません。細菌はウイルスよ りもかなり大きく、構造もちがうためです。ただ、風邪に細菌感染を合併してい れば抗生物質が非常に有効です。たとえばのどが痛くて、のどに膿がついている ような扁桃腺炎を合併していたり、汚い黄色の痰がでて気管支炎や肺炎の合併が 考えられるような時には、抗生物質の注射や内服を行ないます。よく抗生物質を 出さないでいると、不満そうにする方がいますが、無用な薬はのまないにこした ことは無いと私は考えます。抗生物質の連用は耐性菌をつくり、身体の抵抗力を 低下させる可能性もあります。御理解ください。 おだいじに -*- Dr.KUMA ~{^_^}~ Medical library -*-