&&&&&&&&&&&&& 風邪のたより &&&&&&&&&&&&&  風邪の季節がやってきました。成人は平均して年に1ー2回風邪をひくという 統計があります。乳児で4回,幼児前半期6ー7回,5ー6才で2回,その後は 成人と同じで,子供の場合は行動範囲が広がるにつれ増加して,5ー6才で免疫 的防御機構ができあがるというわけです。風邪は90%がウイルスと呼ばれる病 原体によるものですが,ウイルスについてはまだよく分らない事が多く,ウイル スそのものの診断は時間がかかり,技術的にも難しいものがあります。またウイ ルス感染症そのものは良性の経過をたどり,よくわからないが,診断がついたこ ろには治っている事が多いのです。  よく寒いところに子供をだすと,鼻水をたらして帰ってくる事がありますが, これは風邪ではなく,寒さによる鼻粘膜の反応です。しかしながら子供は温度の 急激な変化に弱く,体温の低下はウイルスの呼吸器感染を容易にする事も,わか っています。  風邪を起こさないようにするにはどうしたらよいでしょう。第一には保温です。 それも足や首まわりの温度が低下すると,ウイルスが増殖しやすくなります。第 2は湿度です。はなやのどの粘膜が乾きやすくなると,抵抗力が落ちます。です から室内でストーブだけをたいて乾燥させるのはいけません。やかんや加湿機を つかって湿度を保ってください。ただし不潔な加湿機は細菌感染を起こしますの で,清潔に気をつけてください。またポカリスエットやアクエリアスなどのスポ ーツ飲料で水分を補給する事は,とくに熱がなくても重要です。うがいは重要な 予防法です。ヨードを含んだ黒いうがい薬はウイルスに対して有効です。  さて風邪はおおかたの場合,1週間以内の良性な経過ですが,気をつけないと いけない状態は,   @3日以上続く発熱   A激しい咳がつづく   Bとくに黄色いねばつく痰をともなっている。 このような場合は気管支炎や肺炎を合併している可能性があります。レントゲン 検査や抗生物質による治療が必要です。老人ではあまり症状が強くでないで、急 速に肺炎へ進行する事もあります。また子供の発熱はあまり心配はいりませんが, 発熱が続いて,食欲が低下して脱水になる事がもっとも危険です。充分に水分を 補給する事が重要です。  お風呂は熱がなければ入っても結構です。風呂は蒸気を吸入するという意味か らも良いと思いますが,長湯や湯冷めしないように注意してください。  咳は気道のなかの悪いものを吐きだそうとする反応ですが,長く続けば体力を 消耗して,子供や老人では危険な事があります。その場合は咳をとめる薬や,気 道が乾燥すると咳がでるので,蒸気吸入や水分補給が必要です。  ビタミンCがよく効くという学説がありましたが,効果にはやや疑問がありま す。ウイルスそのものには有効な薬は無く,鼻水や咳,発熱などの症状をおさえ てゆくいわゆる対症療法しかありません。鼻水やくしゃみ,軽い咳がほとんどの 風邪の初期症状で,1週間程度の経過で徐々に鼻水がなくなって治っていくのが 普通の風邪です。自然の治癒力に期待するしかないわけです。 「風邪の神は膳の下」といわれるように,十分な栄養をとって無理をせずによく 睡眠をとるのが大切なようですね。おだいじに。★