(書籍要旨)
ネットビジネスの経営戦略
知識交換とバリューチェーン
 
UPDATED: November 13, 1999 by Makoto
著者: 根来龍之・木村誠
版型、ページ数: A5横書き、約250頁
価格: 2,600円、ISBN 4-8171-6079-9
出版元: 日科技連出版社
 
  ■本書の概要
本書の目的は、ネットビジネスと呼ばれるようになったインターネット・コマースの経営戦略を論じることである。本書におけるインターネット・コマースとは、「顧客・取引先とのコミュニケーションの一部あるいは全部をインターネットを利用して行う商取引」のことである。
本書の結論は、以下の3つである。
1)インターネット時代のビジネスモデルは、インターネット特有の「知識交換」モデルを差別化の一つの手段として策定すべきである。
2) 「知識交換」モデルにおいては、『コミュニティー指向』と『チェーン指向』を区別して自社への取りこみの可能性を考慮すべきである。
3)知識の交換は、フローだけでなく、ストックを上手に作り上げることで活性化・強化される。
 
知識とは、発信者の個性が反映した情報のことである。インターネット・コマースは、「空間・時間の制約」を受けない受発注を可能にする。店舗を持たない企業が地球上のどこからでも、24時間の商取引ができる。この「取引の処理」は、インターネットのデータ処理機能に関わるものである。インターネットには、もう一つの機能がある。メディア機能である。「知識」はこのメディア機能によってやりとりされる。知識は処理されるのでなく、交換される。そして、交換によって成長する。
たとえば、個人個人の好み情報は、知識であると考える。好みの根源は価値である。数字による優劣はつけられない。しかし、交換によって好みは変化し成長する。インターネットでビジネスを行う企業は、知識交換の媒体や場を提供することで自社のビジネスを差別化できる可能性がある。これはインターネット・コマース特有の競争ポイントである。
本書の特徴は、「知識交換」概念を使って、インターネット・コマース特有の経営戦略を論じる点にある。同時に、事例編は、最新の米国におけるインターネット・コマースの紹介にもなっている。
 
  ■目次
プロローグ: インターネット・コマースと知識交換
インターネット・コマースにおける顧客・取引先との知識交換について、具体例としてインターネット書店であるamazon.comを取り上げて論じることにより、本書全体に対する眺望を与える。キーワードの導入的説明も行う。
 
第1部:理論編
理論編では、インターネット・コマースとは何かから始め、その発展方向を論じるための4つのキーワードの提案を行う。そして、そのキーワードによるインターネット上の仲介ビジネス(IC-PFB: Internet Commerce - Plarform Business)の理論的分類を試みる。
第1章 インターネット・コマースとプラットフォーム・ビジネス
第2章 インターネット・コマースを取り巻く状況
第3章 研究で提唱された重要な着想・フレームワーク
第4章 インターネット・コマースでの知識交換
第5章 IC-PFBの5つの基本類型
第6章 IC-PFBの参照モデル
 
第2部:事例編
日本より数年先行している米国におけるインターネット・コマース運営サイトの事例から、5つのIC-PFB基本類型別にビジネスモデルを分析する。特に、各サイトの知識交換(フローとストック)の特性分析を詳しく行う。
第7章 ビジネスモデルの構造
第8章 無段階型PFBの事例:オークションサイト
第9章 一段階型PFBの事例:モールとショッピング・エージェント
第10章 多段階型PFBの事例:サプライチェーンのリンケージ・ビジネス
第11章 クローズド・コミュニティ型PFBの事例:会員制情報サービス
第12章 オープン・コミュニティ型PFBの事例:オンライン展示場
第13章 IC-PFB基本類型:事例からの考察
第14章 基本類型からの発展:一段階クローズド・コミュニティ型PFB
 
エピローグ: インターネット時代の経営戦略
本書で論じてきたことをまとめる。また、IC-PFB発展の阻害要因について述べる。また、本書で提起したIC-PFB参照モデルの収益性問題について若干の考察を行う。
さらに、インターネット・コマースの経営戦略において、インターネットを通じた知識交換の重要性を再説し、プラットフォーム・ビジネス(IC-PFB)の役割に本書が焦点を当てた理由を確認する。
 
  ■著者略歴
根来龍之(ねごろ・たつゆき)
1952年三重県生まれ。京都大学卒業(社会学専攻)、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了、鉄鋼メーカー、産能大学大学院経営情報学研究科(MBA)勤務などを経て現在文教大学情報学部教授。慶應義塾大学大学院講師。産能大学大学院講師。1990-1991年、英ハル大学客員研究員。Systems Research誌 Editorial Board。
主な著訳書:
『ERPとビジネス改革』(共著)(日科技連出版)
『生産企業の経営』(共著)(海声社)
『日経ビジネスで学ぶ経営戦略の考え方』(共著)(日本経済新聞社)
『経営学』(共著)(ミネルヴァ書房)
ウィルソン『システム仕様の分析学:ソフトシステム方法論』(監訳)共立出版
ローゼンヘッド『ソフト戦略思考』(共訳)日刊工業新聞社 
 
木村誠(きむら・まこと)
1963年東京都生まれ。日本大学卒業(物理学専攻)、産能大学院経営情報学研究科(MBA)修了、株式会社日本科学技術研修所営業推進部勤務。
主な著訳書:
『SAP R/3で挑む経営システム革新』(共著)リックテレコム
カーレン、ケラー、ラッド『SAP R/3ビジネス・モデル・テンプレート』(監訳)トッパン
リップナック、スタンプス『チームネット』(共訳)(富士通ブックス)
 

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