おもちゃ屋大型恐竜と対決するeToys,Incの
オンライン・ショップ

UPDATED:August 1, 1998 by Makoto

eToysを主体とする相互関係図


eToys,Inc設立の動機とその反響

1997年3月より、元ウォルト・ディズニー社戦略計画部副社長であったToby Lenk (HBS出身)と子供向ソフトウェア会社ナレッジ・アドベンチャー社創立者兼イン ターネット・ビジネス向インキュベータ−、idealab!会長である Bill Grossが設立。 1997年9月にidealab!が投資を行った。1997年10月1日より、eToy社WWWを 公開した。その約1ヶ月後の11月6日に、訪問者は15万人を超えたことを発表した。 1998年2月にUSA TODAY、Lycos、BizRateで行われた233人のパネリストのサン プリング調査によるオンライン・ショップのスコアリング・ランキングの結果、他の 競合であるToys.comと「といザらす」よりも、「使いやすい」、「探索しやすい」、 「よく更新されている」等の点で、いずれもランキングが20-40%高かった。 1997年のBizRateによるオンライン・ショップ顧客満足度調査の結果、300社中 15位であった(1997年設立された会社としてはトップ5)。 1998年3月18日に、Web Magic社が持つToys.comを吸収合併し、従業員は25人を 超えた。 1998年5月末、扱う品目は2,000品目を超え、毎日2,500人の訪問者がある。平均 のオンライン購入額は、50ドルである。


事業領域の定義の仕方

忙しい買物客が素早く容易におもちゃ購入の意思決定ができるようにインターネット の特性を利用する。220億ドル市場である米国おもちゃ市場に特化したWWWにおい て1,000種類のおもちゃを割安価格で提供する。この中には、最も人気のあるMattel, Hasbro,Little Tikes, K'nex, BRIO, Learning Curve社などの100社以上の製造 会社が含まれる。また、子供用書籍と教育用ソフトウェアも扱う。 競合相手は、世界最大のおもちゃ専門小売業者である「といザらす」であり、 「といザらす」以上の品揃えを目指し、5,000品目を扱うようにする計画である。 現住所 eToys,Inc. 2640 Fifth Street, Suite 124 Santa Monica CA 90291, USA


製品の扱われ方

独自検索エンジン「ToySearch(TM)」を通じておもちゃ製品向けの様々な切り口 の情報を提供する。専門家とおもちゃ業界関連記事からの情報を提供する。例として、 ・特別賞受賞商品 ・子供の身体的、感覚的、知的開発を助けるおもちゃ製品 ・子供の年齢、ブランド、カテゴリーによる検索 ・今月のおすすめ商品 ・20ドル以下商品


サービス魅力の与え方と市場からの対価を得る方法

おもちゃ屋での買物よりも簡単で、カタログ販売よりもわかりやすく、インターネット を利用して1日24時間、2、3のマウスの操作で求めるおもちゃを探し出すことができる。 「大規模おもちゃ店はサービスが悪く、日曜、祭日は非常に混んでいる。  子供の親は年間20回以上もおもちゃ屋に行ってあり、もっと簡単な購入  方法を探している。」(Toby Lenk、eToys社最高統括責任者談) ■市場からの対価を得る方法  インターネットを通じておもちゃと教育用玩具等を最終顧客に直接販売を行う。  所要時間が数時間かかる製紙カタログの検索と電話による発注の代わり  に、ATCG (The Anderson Timesaving Comparative Guides)  ホームページの利用から、より早く、より大量の生命科学製品とその  供給元を検索し、照会し、購買発注できる。


売手と買手の含め方

売手:  おもちゃ業界の最大手であるMsttel,Hasbro,Little Tikes, BRIO,  Learning Curve社から商品を直接購入する。割引価格は不明。   買手:  子供を持つ両親、(息子、娘以外の)子供に贈り物を送る大人たち。


競争力の源泉の求め方

220億ドル市場である米国おもちゃ市場に限定。 子供を持つ両親、子供に贈り物を送る大人をターゲットにする。 1998年3月よりギフト・センターを発足。顧客満足を一層、充実させる。 インターネット上でのeToys社の名前とアドレスを周知させるためにインターネット メディアとの積極的な連携。おもちゃ商品に関する情報を独自編集し、様々な切り口 からウェブ上で公開。 BRIO、Lamaze Infant Developmentといった「といザらす」で扱われていない 様なおもちゃの名品を扱う。 大手おもちゃ専門店でも行っていない翌日出荷体制を実現。


広告宣伝活動の行い方−「eToys Affiliates Program」

1997年11月8日にAmerica Online Shopping Channelと二年間300万ドル規模 のマーケティング独占契約を行った。二年間はAmerica Online Shopping Channel (www.aol.com)のおもちゃ屋の画面にはeToysが出力されることになった。 その後を受けて、1997年12月2日に「eToys Affiliates Program」を発足。 他のウェブサイトがeToys社の宣伝を行い、その結果として生み出された収益を 分配するものである。この「eToys Affiliates Program」に参加したウェブサイト は、そのサイトからeToys社へのリンクによって生み出された売上収益の約25% を受け取ることができるものである。「eToys Affiliates Program」の パートナー契約は250社を超えている。 前提条件として、買物、子供、両親に関係があるコンテンツで通算15,000回 の訪問があったサイト、または毎月50,000回の訪問があるサイトである。 代表的ウェブサイトは以下である(1998年7月現在)。 ・Mindspring社 ・ParenthoodWeb社 ・TalkCity社 ・DiveIn社 また、「eToys Affiliates Program」には、参加していないが、以下の 検索エンジン供給元との広告宣伝リンク関係を結んでいる。 ・Shopping area of the WebTV ・Market Square area of AT&T WorldNet Service ・Yahoo、Infoseek、Lycos、WebCrawler、Hearst HomeArts、Babycenter.com 1998年4月29日より、広告代理店であるKalis&Savlage社と契約し、インターネット だけでなく、雑誌広告やラジオといったあらゆるメディアでeToys社の広告宣伝活動 を行う。


プラットフォーム・ビジネスの視点から見たビジネス機能

■評価機能  eToysは、多くのおもちゃ製造業者と直接契約し、発注している。  多方面からおもちゃ製品情報を入手し、編集後におすすめ情報としてホームページ  に記載するために製品情報の正確性を保証する形態になる。 ■仲介機能  売手と買手の出合いの場を提供する。  特に子供がいないが、贈り物としておもちゃを定期的に買う必要のある大人  のために予算と対象年齢に応じた情報提供の場を提供する。 ■信用供与機能  eToysは、出荷した全製品について保証を行う。もし、買手が様々な理由で商品  に満足ができなかった場合、買手が購買発注した30日以内にeToysに返却する  ことができる。返却の理由としてeToysによる不備だった場合、出荷料金と  包装料金の請求は行われない。 ■決済機能  外部決済活用型である。  eToys社は、Degital Broadwalk社とインターネット商取引ソリューションを  共同開発した。Netscape Merchant SystemとNetscape Commerce Server  softrwawre上でSSLを利用したクレジット・カード決済により、NetScape  Communicator、Microsoft Internet Exploerer、AOL Browser上で発注ができる。 ■インベントリー機能  eToys社は、独自の倉庫と受注充足オペレーションを保持し、在庫済みの商品は  受注後24時間以内に米国内のどちらでも受け取ることができる。贈り物用の包装と  プレゼント・カードを同封することもできる。  eToysでは、ウェブ・コマ−スにおけるインベントリ−管理を、  「詳細をまだ誰も把握していないが最も重要なビジネスプロセス」であると考えている。特におもちゃ販売では、クリスマス・シーズンに 注文が殺到するために多数の在庫管理型と卸売ジャストインタイム型、小数の  供給元からの直送型をうまく組合せた最適化を図っている。 ■編集機能  情報編集と関係編集を行う。  おもちゃ商品毎に消費者のお薦めコメントを紹介している。  「eToys Affiliates Program」を通じて、各種のインターネット・メディア・サイト  および検索エンジン供給元とのリンク関係編集を行っている。  eToys社では、Oppenheim Toy Portfolio、The Parentユs Choice Foundation、  Dr.Toy、Family Fun、Parent Magazineといった業界指導団体および業界専門誌  で評価されたおもちゃをホームページ上でおすすめ商品として紹介をしている。 ■市場機能  多対多関係である売手と買手を出会わせ、最適な価格調整を行うような市場機能はない。オークション機能もない。 ■クリスマス・シーズンおもちゃ売上トップ10の発表  1997年12月26日に総括したクリスマス・シーズンおもちゃ売上トップ10を  プレスリリース発表した。このような発表を定期的に行うことにより、おもちゃ  供給元との関係編集も行なえることになる。  1位:"Supersonic Ear" by Wild Planet Inc.(自然音を聞かせる教育用玩具)  2位:"たまごっち Virtual Pet" by BANDAI  3位:"1997 Holiday Barbie" by Mattel  4位:"Volcano Kit" by Schylling  5位:"You Canユt Paint With That" by Topline  6位:"Star Wars Monopoly" by Parker Bros.  7位:"Wrist Walkie Talkies" by Wild Planet  8位:"Make Your Own Gummy Kit" by Schylling  9位:"Rapunzel Barbie" by Mattel 10位:"Tickle Me Elmo" by Tyco Preschool ■検索エンジンLycosとのオフライン的企業提携  1998年2月にeToysはショッピング欄の中で上位5%賞を受賞した。Lycosは  eToysのショッピング欄内ランキング第二位を評価し、eToysサイトについての   記述説明を「wondros online toy store」と変えて、「おもちゃ購入   (guesswork of toy buying)」の記述を抹消した。 ■Mom's Onlineとの独占パートナーシップ  1998年3月14日に、母親向ウェブサイトの最大手であるMom's Online  との独占的オンラインおもちゃ店パートナーシップを締結した。  このパートナーシップにより、eToysは、両社のロゴが記載された新たな  オンライン・ショップである「Mom's Online Toy Store by eToys」を新たに  開発することになった。  Mom's Onlineは1996年2月からAOLサイトを立ち上げ、1997年10月から  ウェブサイトを立ち上げた。Momユs Online AOLサイトは、三回程AOLの上位  50コンテンツ分野として会員選択賞を受賞した。Momユs Onlineウェブサイトは  第三回地球規模情報基盤(GII)賞の最終候補者であった。Mom's Onlineの  サイトを毎月25万人の母親が利用している。


プラットフォーム・ビジネスとしての「場」の魅力

1.評価機能、仲介機能、信用供与、決済、編集機能を持つ。 2.インベントリー管理機能を持つ。これは顧客には見えない部分であるが、   顧客満足の視点からは重要な機能である。 3.子供と両親向け専門誌による、子供の成長や情操教育に関連したおすすめ   玩具情報(評価情報)も入手することができる。 4.おもちゃの年間売上ランキングなどの小売情報の発信源となる。 5.おもちゃ商品毎に消費者のお薦めコメントを紹介している。 6.おもちゃ専用の検索エンジンToySearch(TM)を持つ。 7.個人情報を第三者に公開しないことを確約。


欠落しているプラットフォーム・ビジネスとしての機能

eToys,Incに欠落していると思われる プラットフォーム・ビジネスとしての機能は以下の通りである。  1.売手と買手間での役割関係の交換。  2.売手と買手間での適正価格決定のためのオークション。  3.サイト情報レイアウトの個別変更


オンライン恐竜「といザらす」の逆襲

1998年6月8日、インターネット店鋪を静観していた「といザらす」が遂に、夏より 再設計されたオンライン店鋪www.toysrus.comを新装開店することを発表した。 「といザらす」は世界27カ国に1,454店鋪を持ち、年間売上100億ドル、純益1,110 万ドルを誇るおもちゃ市場の最大小売業者である。しかしながら、「といザらす」は 今までメールオーダーさえも全く関心を持っていなかった。「といザらす ダイレクト」 社で電子商取引を先導する副社長Joel Andersonは、1998年に事業のパラダイム シフトが起こったことを強調した。「といザらす ダイレクト」社では、合わせて メール・オーダーのカタログ製作も行う予定である。 より良いホームページを製作するために、インタフェース設計用にSiegelとGaleと 契約、電子商取引ソフトウェアのカストマイジングのためにInterWorld Corpと契約 といった、様々な外部コンサルタント会社からの支援を仰いでいる。


おもちゃ業界のオフライン市場とオンライン市場の創発的編集化

オフライン市場の最大手である「といザらす」の逆手を取ったニッチ戦略でオンライン 市場の固定化(Lock in)を図ったeToysの急激な成長とオフライン市場への影響と マスメディアの反響の大きさに驚いた「といザらす」が、顧客の囲い込みをオンライン 市場にまで範囲を急遽、伸ばすこととなった。これにより、オンラインおもちゃ市場 が一層活性化することになることが予想されるが、店鋪の物理的規模と取り扱い品目数 を誇る「といザらす」の強みが、インターネット・ビジネス上で重要な関係編集に どれだけ役立つかは未知数である。


参考文献

[1] eToys, Inc. [2] John Evan Frook, "Commerce Sites Need Inventory Managementモ, INTERNET WEEK,   March 5,1998 [3] Reuters, "Online toy companies not playing around", May 21, 1998  [4] Kathy Chin Leong, "Toys R US Restructures For E-Comm", INTERNETWEEK, June 8, 1998 


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