よせなべ物理139号

よせなべ物理サークル会誌139号

(旧 教材・教具を工夫する会)

ホームページへ

よせなべサークルニュースへ


第139号抜粋

1.139回例会の案内 


2.次回以降の予定


3.おたより紹介「回転クルックス管について」

      伊奈学園総合高校 斎藤三夫先生

前略
 役たたずに毎回連絡紙をお送り下さり、深く感謝しております。とても楽しみなのです。
 通信責をお送りします。何年か滞ったと思いますので、とりあえす2年分。またまたお世話になります。
 ところで第138号に、鈴木健二先生(県陽高校定時制)が提出された「回転車クルックス管問題」のことですが、電子の運動量で回るわけではなく、いわゆるラジ才メーター効果て回る旨の見解をどこかの科学雑誌で読んだ覚えかあります。そのせいで毎年授業かそこに来ると戸惑っておりましたが、無精癖で放ってきました。鈴木先生をカンフル剤に、この際一度検討しておこうと思いましたので、おおまかな検討ですが以下の記述をご検証下されれぱ幸いです。
−−−−−−−ひとりごと−−−−−−−
 実は、今、隣の部屋で「さざえさん」の声がします。ほっと一息入れたところで変なことに気か付きました。あの羽根車は雲母の板のようなものに蛍光物質を塗ったものでしたね。いずれにしても不導体てしようね。でもブラウン管同様、表面にくっついた電子は少しは時間かかかるでしようが逃げて行くはずですよね。つまり、回転羽根車の上部の方か下部よりも強く負に帯電しているため、竃界から受ける「静電気力」か回転力になる、という考えはいかかでしょうか。どなたか検討して頂けないでしようか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

方針
 衝撃力を受ける板は固定し、その面積をS、ぞの面積にぶつかり込んでくる電子による電流をI、板面まで竃子を加速する電圧をVとして、次の2つの別々な効果によって板が受ける衝撃カを各々に見積り、比較考察する。

 計算1:電子による衝撃カF1を見積る。
  その仮定:衝撃カを大きく見積るつもりで、電子ば全て弾性衝突とする。
 計算2:電子が運んで来たエネルギーを板面が一旦吸収して温度上昇した板面に気体分子(10の−3乗mmHg位入っているらしい・・・教科書、参考書等)が衝突して跳ね返るとき、エネルギーをもらって運動量を増す反動で板が受ける衝撃カF2を見積る。(−>ラジ才メーター効果)
 その仮定:電子は全て完全非弾性衝突、すなわちエネルギーを板面か全部吸収し、それを全部気体分子が持ち去る、すなわち板面の温度はすてに一定になっているとする。ただし、気体は空気とし、自由度5にエネルギーが分散するとする。また、衝突した電子の1割しかエネルギーを与えないのなら、電流Iを1/10と置き換えればよいが、これは最後の考察で扱う。

計算1 
  mv・v/2=eV
   (e、m:電子の電荷、質量)
   (v:加速後の電子の速さ)
  F1=2mv・I/e  
    (2mv:電子の弾性衝突による運動量の変化)
    (I/e:1秒当り面に衝突する電子の数)


    (V=10の4乗(V)、I=10の−3乗(A)のとき)
計算2
 図中のmは、1秒間に板にぶつかって来る気体の質量である。それは気体分子全部ではない。

 気体分子の1/3が板面に垂直に運動しているとして考え、他は板面に平行な運動で、何ら板に作用しないとして考えない。
 その1/3の内、1/2が板に向かって運動し衝突するが、残りは板から逃げる向きの運動だから考えない。
 結局、衝突する気体の密度は全密度ρの1/6である。図の左面ではその分子がすべてv1で板に垂直に弾性衝突し、図の右面ではv1で衝突後、板面からエネルギーをもらってv2で跳ね返るものとする。
また、mは次式で表されることになる。
  m=β/6×v1S・・・・・(1)
さて、板が受ける合力は、1秒間で起こす運動量の変化の、右面と左面の差だから、
  F2=(mv1+mv2)一2mv1=m(v2一v1)・・・・・(2)
 ところで、電子が持って来るエネルギーを分子が全部もらうとする仮定だから、分子の運動エネルギーは毎秒VI(J)ずつ供給されるが、気体を空気(自由度5)としているから、そのエネルギーは5つに等分配され、板に垂直な運動成分には「VIx1/5」が与えられる。
  mv2・v2/2=mv1・v1/2+VI/5・・・・(3)
(3)からv2を求めて(2)に代入し、それに(1)を代入して次式を得る。


一方、理想気体の状態方程式より

(P:圧力、M:分子量(kg/mol))
(R:気体定数、T:温度)
 また、2乗平均速度の式より(分子の速さは2乗平均速度を使った)
  v1=(3RT/M)の0.5乗
 これらをF2の式に代入すると、



 ここで以下の仮定(気体は空気)
 P=10の−3乗mmHg=0.1333Pa、S=1cm2=10の−4乗m2、V=10の4乗V、I=10の−3乗A、T=300K、M=30x10の−3乗kg/mol、R=8.31J/mol・K
 を代入して計算する。
 F2=2.24x10の−4乗N

考察
もし、計算間違いかなけれぱ、F2/F1〜3×10の2乗
で、ラジ才メーター効果の方が300倍も大きい。ラジ才メーター効果に於て、ぶつかる電子の内、1割しかエネルギーを与えないとすると、Iを1/10にしなければならないが、それでもほぽ1/ルート10にしかならず、
 F2/F1〜1x10の2乗
で、オ一ダーまでは変わらない。
 原因が2つしか有り得ないのなら、そして上の仮定や計算がある程度妥当なら、ラジ才メーター効果仁軍配・・・・でしょうか。
 しかしどちらの効果も、もっと複雑なような気がします。また、F2の計算方法に気体の内部エネルギーを使う方法もあると思います。

−−−−−−ひとりごと−−−−−−
第3の原因、「静電気力」が考えられるのですが、しかもそれが一番大きいような気がしてきました
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
            草々
  湯口秀敏様
        97.2/16 斎藤三夫(伊奈学園)

4.偏光フィルムと電卓について

      巣鴨高校  増田 益

 1.偏光フィルム
 10cmx10cm(厚さ0.2mm)が100円/枚で入手できます。下記に問い合わせてください。
  松沢商会 〒336  浦和市仲町4-19-17
   tel 048-862-4523
 2.偏光板を外せる電卓
 液晶表示には偏光板が利用されています。この偏光板が簡単に外せる電卓を探して、2機種見つけました。生徒実験にも活用しております。
(1)カシオ SL-300LB  780円(定価2900円)
   ソーラー/電池併用タイプ
 これは、手帳タイプで厚さがうすく、裏ぶたが大変開け難い、壊さぬよう要注意。偏光板は液晶の窓にのせてあるだけなので、ふたを開ければすぐとれる。たぶんこのシリーズは皆偏光板がとれやすいタイプだと思います。
(2)カシオ HS-4D  400〜480円(定価不詳)
 ハンディタイプ。型が古いようです。カタログに載っていません。この電卓は裏ぶたが外れやすく、偏光板は上記と同じくのせてあるだけでした。
 両機種とも透明な袋に入って、文具店、ホームセンターなどの店頭にぶら下がっているのを見かけます。

5.シャボン玉を使った波の実験

     三重県立名張桔梗丘高校  川上 晃

シャボン膜やシャボン玉を使って、2点波源の干渉や球面の定常波の実験ができるようになりました。私もそうですが、生徒たちも感動しています。簡単ですので、ぜひやってみて下さい。
(1)スピーカー&スチロールカップ振動装置(以後は「SS振動装置」とします。)
 廃品のスピーカーを使えば、費用はごく僅かで、製作も簡単、それでいて利用範囲が広い。1993年に初めて作って以来、手放せない。いろいろな物体に、振動数を確認しながら振動を加えることがでる。スチロールカップ又は紙コップをスピーカーのコーン紙に接着剤で接着し、(超)低周波発信機とアンプを接続する。振動させたいと考える物体に応じて工夫した接触部分の部品を別のスチロールカップに取り付け、コーン紙に張り付けたスチロールカップにかぷせてセットする。接触部分の部品を変えるだけでいろんな物体に振動を加えることができる。(図1図2.図4参照)


(2)シャボン膜を使った2点波源の波の干渉実験
 1)シャボン液の作り方
 コンパクトタイプの台所用合成洗剤「ママポケッティ」と洗濯用の合成のり(ポリビニルアルコール)と水を,1:5:10の容積比で混ぜ合わしたものか、旅館等で使われているボディーソープ「リーブルアロエ」を薄めたものを使う。
 2)装置の制作およぴ実験方法(図2,3、写真1)
 大きなたらいの淵に小さい穴をあけ、包帯を縫いつけ、この包帯にシャボン液をしみこませる。別に、シャボン液をしみこませた伸縮する包帯を用意し、図3のようにたらいに大きなシャボン腹を張る。このシャボン膜に、図2のような装置を2つ製作し、2点波源としてシャボン膜に振動を加える。1つのスピーカーの入カ端子の十−を入れ替えることによって、波源の位相を逆にできる。また、超低周波発信機の振動数を変えることによって、波長や干渉縞の間隔が変化することも観察できる。
(注)シャボン腹が大きいので、どうしても割れやすい。割れにくくするためには、図3のようにするなどして加湿器を使うか、霧吹きで上からシャボン液の霧をかけるなどの工夫が必要である。また、気温が低いと割れにくい。


図2.2点波源用振動部品


図3.2点波源干渉実験用装置



(3)円形シャボン膜の定常波(写真2,3)
 塩ビ製の平らなやわらかいカブセ(建築用資材)を使って、直径1m弱の輪をつくり、これに包帯を巻き付ける。これをシャボン液の入ったたらいにつけ、静かに持ち上げると円形のシャボン膜が張れる。この枠を手でゆっくり振動させたり、SS振動装置で振動を加えたりして、定常波をつくることができる。







(4)シャポン玉の固有振動(図4,5写真4)
 図4のように、部品を製作しっS振動装置にセットする。この図本時にシャボン液をつけ、振動を加えながらゴム管より空気を入れる。シャボン玉が膨らみ、(1)式の条件を満足する大きさになると、写真4のような定常波ができ、固有振勤を観察できる。
 2πr=2(n+l)λ/2
    =2(n+l)(V/f)/2
    =(n+1)V/f・・・・(1)
 ただし、n=1,2,3・・・・
   r:シャボン玉の半径
   入:シャボン玉に生じる波の波長
   V:シャボン膜を伝わる波の速さ
   f:シャボン玉に加えている振動数
 写真4は、振動数30Hzで実験したものである。



 上記(1)の部品を、SS振動装置にかぶせ、部品セット用の穴に針金を通してセットする。

 図4 シャボン玉用振動装置


 図5 術現する定常波


6.マジカル科学「粘性、シャボン玉でお手玉」

  1997.2.24 東奥日報 その10
  省略

7.「アルミや銅の防磁効果について」

       京都市立樫原中学校 八木陸郎 1997.2.13
            FAX075−392−6640

青森板柳高校 工藤貴正先生の回答に関して

第136号の文章:
★アルミの抵抗値は小さい + 防磁効果(鉛やアルミは磁カ線を遮断する効果があり、商品としても利用されている)ので、アルミニウムのナベは効率が悪い。アルミニウムでも、ナベ焼きウドンやポップコーンでは、抵抗値が大きいので熱くなることはある。(アルミフォイルなどは燃える)

1)私の気になった部分は( )内の部分で、磁気遮蔽のように受け取れるが?? しかし、鉛やアルミを磁力線は容易に通り抜けるし・・・。
2)アルミの抵抗値が小さい−>アルミの鍋は効率が悪い−>この説明は納得
アルミでも発熟するのは、底が薄く、電気低抗が大きい場合で、説明の通り。
渦電流の発熟で無くなる。しかし、底が厚いと抵抗が小さく発熱も少ない、と考えます。

第138号の文章:
 ○アルミや銅、に対してコイルの磁カ線は金属の表面にだけ入り、表面にだけうず電流を生じ内部に入らない。このうず竜流による磁カ線がコイルの磁カ線と反発してアルミ、銅、に磁カ線が入っていくのを妨げるという意味での「防磁効果」なのだと思います。
  中略
つまり、静磁気的ではなく、動磁気的(25kHzの振動磁界)な考え方をしなくてはいけないのでしょう。「そういえば、発信(振)回路のトランジスターなどは放熱のこともあるでしょうがアルミの厚い板が使われているのはそのためかも知れません。」

 3)まるで表皮効果のような説明と気付き、誘導加熱について、改めて調ぺました。電磁調理器やIH炊飯ジャーといわれている機器は25kHz程度の周波数の電流による誘導加熱が行われています.原理は変圧器と同じで電流れを誘導するコイルは1次巻線、被加熱物(鍋)は巻数1回の変圧器2次側と考えられる。交流電流が1次コイルに流れると、2次電流が被加熱物に(鍋)に誘導される。この誘導電流渦電流と呼ぱれる。被加熱物に誘導される電流は1次コイルを流れる電流とほぼ平行に流れる。表皮効果のために、この誘導電流は非加熱物の表面近くに集中する。誘導電流の表面からの実質的侵入の深さは、高周波より低周波の方が大きいし、低抵抗率の金属より高抵抗率の金属の方が大きい。・・・世界科学大辞典講談社より一部抜枠
 従って、鉄の銅は内部まで渦電流が流れるが、アルミや銅では表面のみになる。この説明を「防磁効果」というのだろうか。特定分野の用語? 日立の担当者が言った?
 4)「 」内部分は蛇足ですね。放熱の熱抵抗を小さくするために厚いアルミ板を使うのであって、磁力線のためでないと考えます。
  熱抵抗=電気回路の設計で使う用語です。
図のような実験をしたいが、私は調理器を持っていないので・・・・。
 結論:IH炊飯ジャーの一部にはアルミの鍋を使っているものもあるようです。私には、「防磁効果」と言うよりも、2)の説明で充分だと思えます。いうなら、「表皮効果」。
 しかし、また1つ新しいことを勉強でき、有難うございました。



8.第138回例会の内容

  2月18日(土) 15:30〜19:00
  場所:越谷総合技術高校 物理実験室
 く参加者> 石井登志夫(吉見) 今村塵(小川) 千野司(和光国際) 野原忠英(春日部東) 九茂克広(大宮) 増田益(巣鴨) 岸澤眞一(越谷総合) 湯口秀敏(浦和一女)
 <内容>
(1)越谷総合技術高校の課題研究 l.大型音反動車 2.マウスピースののトロンボーン 3.模型用モーターを使った風力発電 4.クラドニ図形 5.水ロケット・速度の測定 6.ゴジラスコープ 7.スターリングエンジン 8.その他
(2)偏光フィルムと偏光板の取れる電卓
(3)北京土産の周期律表巣鴨高枝化学科の先生より
(4)理科教育研究発表会1997年2月14日 県立本庄高枝
 「フェライト磁石と砂鉄の研究」、「工タノールロケット」、「BSアンテナの製作」
(5)ADコンバータを利用した実験電気振動を簡単に観測するなど 今村先生
(6)サークル誌の紹介「あいち物理サークル」「YPCニュースN0.107」「岐阜物理サークルニュースNo.143」
(7)フレネルレンズ400円 秋葉原の鈴商 もうない
(8)場について 
 物理教育研究会作業班2月8日「高校での場の扱い」
 学習院大学 江択洋先生の報告 岸沢先生より
 −−>この報告から高校における場の扱いについて議論をしました。
(9)科学の祭典について:7/26(土)〜30(水)
(10)羽根車入りクルックス管実験の間題点:
 「電子の衝撃力ではなく熱作用で回転する。」という説がどうも正しいようである。
<文献>ア.物理教育第37巻第4号(1989)「羽根車入りクルックス管実験の間題点」児島昌雄(大阪府枚方市立中宮小学校)
イ.間違いだらけの物理概念バリティブックス,丸善
「羽根車はなぜ回る」児島昌雄1〜13ペ−ジ


9.おわりに

(1)さまざまな情報を送っていただきありがとうございます。今回紹介できなかった記事はできるだけ例会で紹介します。またこの二ユースでもできるだけ早く紹介するつもりです。
(2)育森・板柳高枝の工藤責正先生が3月21日(金)〜23日(日)仕事の関係で埼玉に来るとの連絡がありました。楽しみです。(H.Y)


 ***96年度;年間通信費 1、000円又は80円切手13枚***
   送 り 先;〒336 浦和市本太 1ー33ー6
   郵便振替;00150−8−560437 加入者名;湯口 秀敏
 <<連絡・問い合わせ先;電話 048ー881ー2782>>
 サークルニュースの抜粋、要約、転載は北村が行いました。ニュースの原文・図など詳しい内容を知りたい方は、直接湯口先生まで連絡をとって下さい。

ホームページへ

よせなべサークルニュースへ