よせなべ物理134号

よせなべ物理サークル会誌134号

(旧 教材・教具を工夫する会)

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第134号抜粋

1.134回例会の案内 


2.次回以降の予定


3.音反動車

 −旧制四高物理実験機器より−
      石川県立金沢錦丘高校 竹中 功

 明治41年3月4日、第四高等学校は「音反動車」という実験機器を購入している。埃をはらったその姿は、いまから90年も前に活躍した機器であることを忘れさせる輝きをもっている。発見当初は、使い方のまったくわからない機器であったが、高瀬達也氏(石川県立羽昨高校)による調査から、次のように使用する機器であることがわかった。


 1)「音反動車」は、ドボラックという人が考えた装置で、ヘルムホルツ共鳴器4つを、十字の枠の端に固定し、自由に回転できるようにしたものである。
 2)この装置に、振幅の大きな音波を投射すると、ゆっくりと回転を始める。
 3)一定の強さに音叉を鳴らして、共鳴箱の口をこの装置に向けると、ヘルムホルツ共鳴器は音叉に共鳴すると共に、上より見て口孔と反対向きに回転する。
 4)ヘルムホルツ共鳴器の底にノード(節)が生じる。ノードにおける圧力の平均値は、外気の圧力よりも大きいので、ヘルムホルツ共鳴器はこの圧力差のために回転するのである。
 5)しかし、「音反動車」は時として、反対方向に回転することもある。それは、ヘルムホルツ共鳴器の口孔における空気の渦動により、口孔の側面を通過する空気層の流動の反動として回転を起こすためであるらしい。
 6)ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数は、以下の式により計算される。
  f=C・σ1/4乗/π4/5乗/(2V)1/2乗


    f:固有振動数  C:音速  σ:口孔の面積  V:球の体積
 (注)この解説は、「教員及び好楽家の実験音響学」 村岡為馳(T.6.4.5)による。

[実験の再現]
 実験を行ったときの室温は28度であったので、C=348m/sである。この「音反動車」に付いているヘルムホルツ共鳴器の球は、直径が50mm、口孔の直径8mmであるので、固有振動数は、f=約612Hz となる。四高物理実験機器の収蔵品の中から、ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数f−612Hzの音を出す音叉を捜したが、見つからなかったので、動作の確認だけでもしたいと考え、低周波発振器、増幅器、スピーカーを使って、100Hzから1000Hzまでの間で、回転が起きるかどうか調べていった。すると、振動数が424Hzを越えるあたりから、ゆっくりと回転が始まり、622Hzを越えたところで回転しなくなった。回転が最も速かったのは522Hzのときで、このときの回転の周期は約0.5秒であった。ヘルムホルツ共鳴器が、ゆっくりと回転を始めたときは、少なからず感動をしてしまった。
 ところで、この「音反動車」を身近な器具を使って製作できないものだろうか。製作のポイントは、ヘルムホルツ共鳴器4個を、できるだけ正確に作ること、全体が軽く、回転がスムースであることである。そこで、ヘルムホルツ共鳴器をピンポン玉を使って作ることにした。口孔は、電気ドリルで直径5mmの大きさに開けた。4個のピンポン玉を接着剤で固定し、その上にOHPのシートを5cm四方に切り取って張った。(tっようをボールペンの先で少し凹ませる。)そして、消しゴムに縫い針をたてて、針先に凹みがくるように静かに乗せて、自由に回転できるようにした。ピンポン玉の直径は40mmなので、これで固有振動数は677Hzになる。振動数を100Hzから、しだいに上げていくと、振動数が640Hzのところで回転が始まり、780Hzで回転しなくなった。回転が最も速かったのは740Hzのときで、回転の周期は約0.7秒であった。
 さて、これで「音反動車」が、90年の時を越えて復活したわけだが、一つ自分で解決しきれない問題がある。それは、なぜ「共鳴器の底のノードにおける圧力の平均値が、外気の圧力よりも大きくなるのか」ということである。どなたか、詳しく解説をしていただけないだろうか。

[音反動車] 左:オリジナル品、右:自作品


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 竹中先生からのおたより

 前略、夏の「科学の祭典」では、とても刺激的な演示実験を見せていただきありがとうございました。皆さんの活動的な姿を見て、自分も、もっと元気を出さなければいけないなと感じました。さて、つい3日前に仕上がった実験レポートですが、もしよろしかったら、「よせなべ」の皆さんに紹介していただけませんでしょうか。相変わらず、稚拙なレポートで恥ずかしいのですが、「音反動車」は、音波のエネルギーでモーターを回転させるという見方もできて、とても興味深いものです。それから、本文中にも書きましたが、「音反動車」の理論面の理解が十分ではありません。「よせなべ」の皆さんには、理論面で優れたスタッフがいらっしゃいますので、私の疑問に対する解答が、すぐに見つかるかもしれないという期待もしています。以上、お願いばかりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。 敬具
     金沢錦丘高校  竹中 功
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(1)再現
 竹中先生の記述通り作ってみました。思いの他簡単にできました。魅力的な素材です。ぜひ皆さんも再現してみて下さい。
 1)材料
  ピンポン弾小、OHPシート、縫い針、消しゴム、接着剤(私はプラスチック用の接着剤を使いました)
 2)作り方
  a.ピンポン玉にドリルで直径5っmの穴をあけます。大体、真ん中付近と言った感じであけました。


  b.接着:4つを接着するのはなかなか面倒でした。結局、空き箱の隅に並べお互いに接着します。孔の向きは大ざっぱに決めました。上からOHPシートを接着します。
  c.OHPシートの中央にボールペンの先でへこみをつけます。バランスが悪いと回りにくいので何度かへこみをつけなおしていい位置を見つけました。
 3)実際にやってみると:
  周波数は正確に計りませんでしたが、700Hz付近で動き出しました。ゆっくり動き出したときは私も感動しました。
(2)例会での検討
 結論から言えば、竹中先生の質問に対する答えは出ませんでした。しかし議論しているうちにあたらしい発見がありました。千野先生(和光国際)が「上から音を当てても回るのではないか」と言いだしたのです。半信半疑(少なくとも私は)でやってみたのですが見事に回ったのです。
 このことから、スピーカーからの音波は穴から吸収されて共鳴を起こすのではなく、音波で容器(この場合はピンポン玉)が振動して中に定常波ができるようです。上から音を当てる方が何となくですが回転が速いようです。床からの反射波が影響しているのかも知れません。
 どうして回るのかについては、例会では穴の付近が腹になり空気が容器の外に向かって動く(吹き出す?)時に反動で動くのではないかという結論でしたが、これからも検討を続けるつもりです。

(3)参考文献:ヘルムホルツの共鳴器について
 1)玉川新百科 物理(1)(1970) 7.共鳴器 ヘルムホルツの共鳴器
 2)基礎物理学選書「音と音波」 小橋 豊  裳華房  106ページ
 3)基礎 物理音響工学  太田光男編  朝倉書店  215ページ
 4)音響工学講座3  建築音響  日本音響学会編  コロナ社 78ページ
   1)2)は西尾先生(上尾東)から例会の後送っていただきました。
 内容の検討はこれからです。(文責:湯口)

4.ラジオの実験

  −−アンテナ「高周波増幅器・TVアンテナの利用」−−
      暁星中学高等学校  宇田川茂雄
 ラジオの実験についてお便りいたします。
 キットで売られているゲルマニウムラジオはテーブルタップにコンデンサーをかませてアンテナにする物が多いですが、一般家庭でも聞こえない場合が多いです。昔の方がよく聞こえたという話もありますが、詳しいことはわかりません。昔よく行った電話線やダイアルに絡ませる方法が使えなくなったのは、光ファイバーになったためという話もありますが、真偽の程は分かりません。さらに、アースは水道管など塩ビ管になったため良くなくなったとも聞きますが、これも真偽の程は分かりません。どうなのでしょうか?
 ラジオの実験については、日野台高校の古屋先生と共に、10年以上前から行っていました。いくつか改良などもしてきましたがいまだに不完全です。ご参考になるかどうかは分かりませんが。
(1)付属の高周波増幅器で試してみて下さい。ご使用後は廃棄なさって下さい。なお、ご返送には及びません。3枚つづりのプリントに使い方があります。
(2)TVアンテナが使えます。
 この場合、高周波アンプは使いません。生徒が家で実験するには手軽で良い方法かと思います。テーブルタップを使うよりはるかに感度がよいと思います。

 TVアンテナの使い方
  TVからアンテナプラグをはずしラジオの入力部に入れる。
  −−−>ただし、学校や大きなマンションではできない。
 別紙の「ラジオの報告」で25人の生徒に自宅(東京、神奈川、千葉、埼玉)の生徒に家で試させた。理由はよく分かりません。どなたかおわかりになられるでしょうか?ぶーすたー?あたりかなと思っているんですが。
 全国どこでもこの実験ができるように考えています。もっとも、青森県六カ所村では市販のラジオでも聞こえませんでしたが。

 「SUT BULLETIN 12 1995 身近な材料で作るラジオの実験II」も送っていただきました。次回紹介します。

5.きらきらモールがくるくるまわるローリングフラワー

     青森県立弘前中央高校  野呂茂樹
縁日用の玩具を扱っているお店で「ローリングフラワー」を見つけました。モールがクルクル回って針金を昇っていく様子は、夢の世界へ導いてくれます。
軸は、2本の針金がより合わされています。
 この軸に、回転台を押し上げる球とフックのついた回転台、回転台の回転に合わせてクルクル回りながら上昇するリングが、さされています。


 楽しんでいるうちに、了どもの頃、この原理を用いてブロペラのようなものを飛ばしたことを思い出しました。本棚を調べてたら、「空飛ぶ空き容器」(すずお泰樹・いかだ社)に見つけることができました。
 私なりの改良をして製作しました。簡単で楽しく、夢と科学性・発展性のある玩具です。
[作り方〕
 1)長さ50cm程度のカラー針金(18#)を2つに折って、先をペンチなどにはさみ、輸になった中央部に鉛筆などを差し込んで、反時計回りに30〜50回ほどねじる。(先端部分は、形が崩れていることがあるのでカットする。)
 2)(lcm四方程度の)ブラ板(0.5mm厚)の中央に長方形の小穴をあける。(図2)
 3)メタリックテーブなどで、リングを作り、針金が楽に通る穴をあける。
 4)ストローを3CmI程度に切断し、押し上げ具とする。


[遊ぴ方]
 1)針金に、ストロー、回転台、リングの順に差し込む。(回転台とリングとをセロファンテープなどで接看する。)
 2)ストローを押し上げると、リングがキラキラと輝きながら回転して昇っていきます。
 3)勢いよく押し上げると、リングは、空中を飛び出します。

[発展〕
 リングの代わりに、プロペラ(プラとんぽ)を飛ぱしてみましょう。高速で回転・飛行しますので、安全に注意してください。
 長方形の穴を作るには(この穴あけが最も難しい)、カッターナイフで切り取る、きりで穴をあける、大きめ目な穴をあけ小さなプラ板でふさぐ方法などがあります。




*参考文献
「空飛ぷ空き容器」〜プラトンボ2号・プラトンボの発射台〜
    すずお泰樹  いかだ社 1.339円

6.「東北アジア物理演示実験国際会議に参加して」第1回目

     浦和市立高等学校  坂田正司
(1)はじめに
 1996年4月、中岡東北帥範大学の韓 長明先生より、「束北アジア物理演示実験国際会議(NACPD)」ヘのお誘いの国際電話を頂いた。韓 長明先生とは、昨年の南京東南大学での国際会議で知り合い、共著で論文1)を書かせて頂いたという関係もあった。
 はじめは、日本からの参加者がいるのか、都合の良い日程はいつかなど心配な面があったが、いろいろ調整した結果、8月21日〜24日の4日間と決った。この時期ならば参加可能という国立科学博物館理工学研究部長の佐々木勝浩先生のご意見や航空運賃などが考慮された結果である。自治医科大字の青野 修先生にもご連絡したところ、都合をつけて参加したいとの快諾を受けた。また、昨年の「河南省鄭州市での日中物理国際交流」2)に参加した大阪千里国際字園の土佐礼子先生も参加されることになった。
 その後、仙台第二高校の佐藤昌孝先生から、宮城県立ろう学校の大塚洋一先生と共に仙台から参加されるという電話を頂き(仙台市は長春市と姉妹都市の関係)、さらに、名城大学の内川英雄先生からもご夫妻で名古屋から参加されるとの連絡を受けました。
このようにして、NACPDへの日本からの参加者は、総勢8名となり、前者のわれわれ4人は8月19日に成田空港を発ち大連へと向かった。


(2)NACPDの内容
 NACPDは、今年で開佼50周年を迎える東北師範大学の物理学教室を中心に下記のような日程で開催された。


中国側の参加右は中国全国から70人以上あり、中国の先生方の今回のNACPDに対する期待の強さを感じた。
 8月21日7:00頃、大連からの夜行列車で長春駅に到着したわれわれを出迎えてくれたのは、韓先生はじめ劉先生や東北師範大学の先生方であった。懐かしい顔に再ぴお会いできた喜びで、固く握手を交わし、早速、束北師範大学の外人講師のためのホテルヘ向かった。この長春第1日目(8/21)は、ホテルチェックイン、参加登録、ホテル付近の散歩などであわただしく終了した。(次号に続く)

7.マジカル科学「不落の水、大気圧をうまく利用」

  1996.8.26 東奥日報 その6
  省略

8.生徒実験:「レンズの焦点距離を測る」

−−虫メガネ、ローソク、メジャー、洗濯ばさみ、厚紙でできる−−
          浦和第一女子高校  湯口秀敏
 レンズの焦点距離を大した材科も使わすに簡単に測定する方法を考えましたので紹介します。また、例会で改良、発展した点も紹介します。
(1)材科:
  1.虫メガネ 2.巻尺(2m位) 3.洗濯パサミ3個 4.工作用紙
  5.ロ一ソク 6.マッチ 7.セロテープ 8.使用済みテレホンカード、オレンジカード
(2)方法
 1)実験台に巻尺をセロテープで固定します。
 2)巻尺に沿って、ローソク、虫メガネ、スクリーンとなる工作用紙を並べます。虫メガネ、スクリーンは図のように洗擢バサミで固定します。


(3)測定例


(4)改良点:「虫メガネの高さの調整」
 ローソクの長さに合わせて虫メガネの高さを調整する必要があります。台を置くのでは細かい調整はできません.図のように洗灌バサミの挟み方で調整します。千野先生(和光国際)の提案です。実に簡単な方法です。でも気づくまでにしばらく議論しました。


(5)応用編
(その1)問:虫メガネの大部分を紙で覆うと像はどうなるか。岸沢先生(越谷総合)より
 解答欄 ア.暗くなるだけで像は変わらない イ.像の一部のみ ウ.全く見えなくなる
 答.ア:かなり覆っても像は見えました。
(その2)テレホンカードの穴によるピンホールの像。虫メガネの代わりにテレホンカードの穴を置きます.穴の数だけ像が見えます。かなりはっきり見えます。当然ですがどこに置いてもぽやけません。
 注意:ローソクの光が直接スクリーンに行かないようにします。


9.第133回例会の内容

  9月21日(土) 15:30〜19:00
  場所:浦和第一女子高校 物理実験室
 <内容>
 (1)サイエンススナッグプックより  (岸沢先生 (1)〜(4))
 1)手のひらの穴
 A4の紙で直径1cm位の筒を作ります。両目を間き、筒を右目に当て、左目の前に左手のひらを置きます.筒と接触するようにして筒から2/3位の所に置きます.すると、手に穴が開いているように見えます。
 2)筒から見た明るさ
 薄手の紙筒と厚手の紙筒で同じ白い壁を見ても明るさが異なる。薄手の紙筒の方が壁が暗く見えます.筒が明るいので網膜の中心の視神経が抑制されて、壁が暗く見えるのです。
 3)チェシャ猫
 人の顔が目と口元を残して消えてしまう現象です。この実験の名前は「不思議の国のアリス」に出て来る猫からとっています.この猫は笑い顔だけ残して消えてしまうのです.
 実際にやってみましたが、かなり個人差があります。I氏は例会の間ずっとやっていましたがついに成功しませんでした。
 (2)しんきろう
 実験桔果の紹介。正立像、倒立像が同時にできる条件。しんきろうに関するピデオの紹介。
 (3)光の実験
 マグライトとレーザーによる実験の比較。
 (4)加工できる鏡(東急ハンズで”購入〉でできる実験。
 カレイドスコープ(以前に野呂先生が紹介),その他。


 (5)音反動車
 竹中功先生(金沢錦丘高校〉 紹介:湯口
 (6)レンズの焦点をはかる実験
               湯口
 (7)蛍光光ファイバー
 千葉正廣先生(熊谷商業)が例会の前に持ってきてくれました。残念ながら用事があって例会には参加できないが皆に紹介して使い方を検討して欲しいと言うことでした,
 この光ファイバーは入口からだけでなく途中から光を吸収して出口が明るく光ります。

10.おわりに

 このサークルニュースは北村先生のおかげでインターネット上で見ることもできるようになりました。
  http://www.bekkoame.or.jp/~kitamula/
(H.Y)


 ***96年度;年間通信費 1、000円又は80円切手13枚***
   送 り 先;〒336 浦和市本太 1ー33ー6
   郵便振替;00150−8−560437 加入者名;湯口 秀敏
 <<連絡・問い合わせ先;電話 048ー881ー2782>>
 サークルニュースの抜粋、要約、転載は北村が行いました。ニュースの原文・図など詳しい内容を知りたい方は、直接湯口先生まで連絡をとって下さい。

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