よせなべ物理128号

よせなべ物理サークル会誌128号

(旧 教材・教具を工夫する会)

ホームページへ

よせなべサークルニュースへ


第128号抜粋

1.128回例会の案内 


2.次回以降の予定


3.高校物理実験資料の整理方法

      埼玉県立和光国際高等学校 物理科 千野 司
(0)はじめに
 高校物理で実験は大切である。しかし、予備実験、道具の準備・後片付け、プリントの準備、レポートの提出等、様々な手間を考えると実験する意欲がなくなる。化学や生物は、試験管やビーカー等の定番の実験器具が使えるし、その操作方法もほぼ同じであるから説明プリントの共通化もある程度図れるという省力化ができる。ところが物理では実験の種類によって別々の実験装置を使わなければならず、そのためのプリントも別個に用意せねばならない。それだけ、装置やプリント、資料の数が膨大になる。従って、効率良く実験を行おうとすれば、日頃の整理・整頓が不可欠である。
 実験の製理法について例えば「セット化」のアイデア1)などが提唱され、本校でも便利に利用している。一方、プリントや資料との整理については未だに悩みの種である。以下は本校で行っている実験関係書類の整理法である。まだまだ、問題点は多くあるが、整理法の一例としてご覧いただき、助言でもいただければ幸いである。

 基本方針
  1)文具を使いこなし、なるべく省力化を目指す。
  2)丁寧で美しい字よりも、分かり易い簡単な図が重要。
  3)後で追加できるよう余白は多く取る。
  4)参考文献や出典は必ずメモ。
  5)授業の最中、直後にすぐメモできる形式にする。

(1)分類項目
 書類を整理するには分類項目を設定する必要がある。が、どんな項目が必要か考えるのは難しい。項目を先に作ると全然使わないで終わる項目もでてくる。一方で内容が多くなりすぎて整理しているとは言えなくなる項目もでてくる。そこで、とにかくすべての書類を一度「その他」の項目に分類する。その中で同じ内容のものが増えたら独立させて1項目とする。こうすれば、必要な分類項目系統ができる。私の場合、「演示実験」と「生徒実験」とに分類している。「演じ実験」が前述の「その他」にあたるもので、全ての実験は一度この項目に分類し、後で内容を検討して「生徒実験」に入れ替えている。この分類項目を「1次」分類項目とする。以下MS−DOSのディレクトリ構造に準じて、1次分類項目の下位に2次、3次の分類項目を設ける。(資料1「系統図」参照)これは、物理関係の書類のワープロ(一太郎)のディレクトリ系統も同じにしてある。

(2)演示実験
 ファイルは帳簿用のB5版26穴バインダーを使用。これだと400〜500枚は入る。出し入れが便利で差し替えが簡単にできる。2穴と違って紙が破れることも少ない。ただし、穴をあけるのが面倒くさい。専用の穴開け器があるが、持ち運べるものは一度に4〜5枚しか穴が開けられない。市販の穴あきのB5用紙を買うのが便利である。コピーは自分で穴を開けるか、市販の紙に糊で貼り付ける。
 実験ノートの形式は「よせなべ物理」のように、1実験per1ページ。この方が分類が楽である。図を多く用い、見て分かるようにする。余白を多く取り、新たな情報を追記する。本や論文の図が分かり易い場合は、コピーを使う等の省力化が有効である。出典、情報源は必ずメモ。後で確認するとき、実験で困ったとき、論文にまとめるときに役立つ。
 「よせなべ物理」のように予め形式を印刷した紙を用意しておくと良いかもしれない。が、私の場合は用紙の準備が面倒なので、白紙に書いている。
 無駄な手間を省くには、最初の機会に上述の形式でノートをつくること。例えば、研究会に参加する時や本を読む時は、用紙を用意しておき、その場でノートを作る。後でバインダーに項目別に分類して閉じる。後できれいに清書して、などと考えると面倒でできない。
 実験や授業で気づいた点や、新たな情報は、ノートの余白に追記する。余白がない場合は、紙を1枚増やしてメモする。時間が経つと忘れるので、授業の直後にメモする習慣を作る。そのかわり、図はフリーハンド、字は走り書きでよい。時間が許せばノートを清書しても良いが、そのままで十分使えるし、その時間で新たな実験を探した方が効率的である。このノートは「自分で使う」ことが第1目的である。「他人に見せる」場合には、このノートを資料として別に書類をつくる。

(3)生徒実験
 演示実験の中から生徒にできるものを生徒実験にしている。私の以前の分類では、「生徒実験」と「演示実験」は一緒に「実験」という分類項目であった。生徒実験の数が増えたので、「生徒実験」を独立させ、残った方を「演示実験」にした。従って、分類に迷うものは「演示実験」の項目に入れる。
 生徒実験の道具は極力セット化している。ノートは以下の3種類で1実験。
 1)メモ:実験の指導上の注意や実施年月日、反省等を簡単にメモする。
 2)実験プリント:生徒に実験の内容を説明するためのもの。そのまま生徒に書き込みをさせてレポートとして提出させる場合が多い。これは、生徒が読むのですべてワープロで製作する。
 3)生徒のレポート:生徒の反応の仕方を見るために生徒のレポートの中から典型的なものをコピーしておく。後で実験の反省や改良に使える。
 生徒実験を多く気軽に行うには、いきなり完全を狙わずに、簡略化したものから始め、段階的に完成を目指すことである。実際に生徒に実験をやらせてみないとわからないことが多いので、毎回の実験の後で手直しし、5〜6回の実験の後で満足できるものにする。実験プリントも同様で、最初は板書で説明するくらいの気持ちの方が気軽である。
 まずは、演示実験の中から生徒にも時間内にできるものをさせて、徐々に関連性のあるものを増やして改善する。次の実験プリントは前の実験が終わった直後に作ると問題点や要点をよく覚えているので作りやすい。

(4)おわりに
 以上、私の実験関係書類の整理法を説明した。が、問題点は多数ある。最大の問題点は、増えすぎた資料をいかに捨てるか、である。無限のスペースがあれば全ての資料を保存できるが、そうもいかない。いつかは不要な資料を始末せねばならないが、「不要」であることを判断するのが難しい。長時間使用しなければ「不要」かといえば、そうでもない。例えば「トルク」の実験は10年以上行わなかったが、今回の学習指導要領では復活した。何かよい方法があれば情報をいただきたい。

資料1 物理関係書類分類系統図



4.本の紹介「音声と運動の実験室」

  「Windowsで知る 音声と運動の実験室」
   北村俊樹著  森北出版  定価3914円
   CD−ROM付き



本の「はじめに」から
 本書は、Windows3.1とWindows95で走る物理のシミュレーションプログラムを取り上げています。タイトルの「Windowsで知る 音声と運動の実験室」にあるように、Windows3.1とWindows95の音声入出力部分を使い音を調べたり、力学・波動・原子分野で動きがある物理現象について調べることを目的としています。音や物理現象をシミュレーションプログラムを使って模擬実験していくことで、現象を理解している物理法則を理解していきます.

5.新メビウスの輪(四角い輪)

      青森県弘前中央高等学校  野呂茂樹

「作り方」
 1)厚さ0.5mm、幅2cm、長さ30cm程度の塩ビ板4枚を用意します。
 2)この板4枚のそれぞれの端に穴を開け左図のようにハトメやアルミ紙で(可動できるように)留めます。


「演じ方」
 1)次頁のように輪を作り、洗濯はさみで留めます。
 2)下の1で洗濯はさみをはずすと、2のようになります。
 3)左右の2辺を左右に引くと、4のように円になります。
 4)持っていたそれぞれの手首をちょっとひねると4角形にもどります。





*紙の帯で2つの輪を作ります。十字に重ね、次の図のように1箇所のり付けをします。矢印の方向に沿ってはさみで切り進んでください。
 ??どんな結果になるでしょう??


6.中国見聞録 その後(その6)
論文紹介

  埼玉県浦和市立高等学校  坂田正司
 1995年8月4日(金)〜8月9日(水)、「物理教育の国際会議」が中国南京市の東南大学で開催された。そこではいろいろユニークで素晴らしい実験教材が発表されたが、その中でも「p−Vグラフが自動的に描ける透明な2サイクルエンジン」(東北師範大学韓長明先生)やこれから紹介する「縦波と横波の両方を演示できる波動実験装置」などはひときわ目立ったものであった。
 いろいろ細かいことを質間しているうちにそれぞれの先生とは懇意となり、韓長明先生には、改良点、使い方などを提案しているうちに「共著で論文にして日本で発表しましよう」と頼まれた。帰国後間もなく、説明や資料などの入った手紙が届き、それらをまとめ、韓 先生の了解を得て「物理教育」に投稿した。
 一方、劉国良先生からは、下記の波動実験器の説明の書かれた日本語の手紙を帰国後しばらくして頂いた。8月のときより改良して、一層動きが良くなったとのことで、ここに紹介したいと思います。
 いずれの先生も、もし日本でその有効性を認められれぱ、理科教材の店を通して売り出し、少しでも授業の活性化に役に立ちたいと考えておられます。本当に素晴らしい実験装置ですので、私も、是非日本で購入できるようになればよいと考えています。日中友好が物理教育の面からも一層促進されるよう皆様のご協力をお願いいたします。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「多月用途波動演示実験装置」の開発と応用
     中国藩陽工業大学  劉 国良

(1)はじめに
 演示実験器具は授業を具体化させるために必要不可欠なものであり、教室で授業を進める上て、自然と学生に必要で正しい物理経験を提供するためのものである。このような演示実験装置の開発に際しては、一般に次のような原則が大切であろう。
 1)構造が明瞭であり、学生がそれを観察することにより物理法則をより明確に理解することができるようになる。つまり、演寅示実験器具は一般の測定装置とは異なり、高い精度を必要とせず、学生が観察したり、触れたりすることによってその構造・意義が明白になること。
 2)持ち運びに便利で、各教室での実験がしやすく、取扱いが便利なこと。
 3)実験効果が顕著で、授業の目標に達しやすくかつ成功しやすいこと。
 4)器具の値段が高価でなく、購入しやすいこと。
 特に、波動の授業において使用されるシャイプ式ウェーブマシン(以下、SWMと呼ぷ)は、以上に述ぺた待徴を兼ね傭え、演示実験器具としての効果が高いものの1つであろう1)。授業の初期において、長いゴム管やつる巻きばねの波、水の波などの現実の波を見せ、SWMを用いてゆっくりと移動する横波の波形を演示することは、媒質の振動と波形の進行の関係を明確化するために有効である3)。また、反射の際の位相の変化、左右からの2つの波による合成、定常波の発生などさまざまなところでも活用できる。
 ただ、このSWMは、波のもう1つの種類である縦波を演示することができない。したがって、横波より理解しにくい縦波を説明するときには別の演示実験装置を用意しなければならない。このことは、授業準傭のために不便であるばかりでなく、地震のように、固体中では一つの媒質の中で横波と縦波か同時に生していることの説明にはあまり向いていないであろう。
 この「多用途波動演示実験装置」は上述の考え方をもとに、横波と縦波とか1つの実験道具で分かりやすく演示することができないかという発想にもとづいて開発されたものである。以下の写真1,2,3ぱそれぞれ、本実験装置の全体およひ横波、縦波の様子の写真である。

写典1 本実験装置の全体図


写真2 横波の演示の様子


写真3 縦波の演示の様子


(2)基本構造
 本実験装置はSWMと似ている点もある(図1)が、媒質となる金属振動棒の軸受けに特徴かある。金属振動棒の(振動)中心に穴を閲け、細くて強い針金を振動軸受として差し込む。振動軸受の両端は丸く曲げられ、それぞれはピンによって上部と下部の横張りに回転できるように固定される(図2)。下部横張りは器具の支持台に固定され、上部張りを引き上げることにより振動軸受は鉛直方向を向き、押し下げることにより振動軸受は水平方向を向く(図2の点線)。つまり、上部張りを引き上げたときには縦波を生じ、押し下げたときは横波を生じさせることができる。このとき、等間隔に置かれた多数の金属振動棒の両端を2本の弱いつるまきばねでつなげることにより、縦波・横波の復元力を得ている。この波動演示実験装置の大きさは、長さ1.0m,幅0.40m,高さ0.20m程度である。
 図1 上面図の一部



 図2 軸受け拡大図(側面図)
 上部横張りを上下させることにより振動軸受を90度回転させる。(下に降ろしたとき横波を表示する)


(3)本演示装置の特徴と応用
 この「多用途波動演示実験装置」は、横波およぴ縦波の進行波・反射波・定常波などの演示が容易にできるという特徴がある。さらに、次のような特徴をあげることができる。
 1)構造が簡単で明瞭である。このことは、授業で学生が縦波と横波の媒質の動きを同時に観察することができ、その基本的な違いを容易に理解できる。
 2)扱い易いこと。この演示装置は軽くて持ち易い。また、指先でそっと動かすだけで、真にせまる波形を生じさせることかできる。
 3)演示効果が著しい。この装置は微妙なつり合いを利用して構成されているので、波としての本質的な過程や各媒質が次々と遅延して振動していくという波の明確な特性をはっきりと示すことができる。
 4)この装置の構造上の特徴として、従来の薄い板ばねのみによってつながれているものと異なり、丈夫で壌れにくい。

(4)おわりに
 これまで述ぺた様々な特徴を生かして「波動」の授業に用いれば、生徒は興味深くかつ面白く感しながら「波動」の本質を理解できるであろう。さらに、次のような工夫をすれば、一層、有意義で奥深い授業を展閲できるであろう。
 つまり、各振動金属棒の両側に移動可能な等質量の重りを取り付ける。重りの位置を変えれば振動軸に対する金属棒の慣性モーメントを変えることができ、波の密度を変えることに相当する実験を示すことができる。また、ばねの強さを変えることにより、媒質の固さ(復元力)の違いによる波の速さの違いの実験もできる。しかし、実際にばねを取り替えるのはとても手間がかかるのて、ばねの位置を金属振動棒上でスライドして変えれば媒質の固さを変えることに相当するので、この方が便利である。
 一方、周波数可変の振動装置を取り付けて、波の振動数と波長、速さとの関係の測定、定常波の実験なども、「縦波」、「横波」いずれの場合でもSWMと同じように可能である。

 参考文献
 1)霜田光一、伊藤信隆、中込八郎:波動の実験(講談社1976.7.28)2
 2)坂田正司:物理教育41−1(1993)16

7.第127回例会の内容

  3月16日(土) 15:30〜19:00
  場所:春日部工業高校 物理実験室

 <紹介資料>
 1)「スターリングエンジン」講義資料
 2)平成6年度 東京都理化教育研究会・物理専門委員会研究発表資料集
   この中でも土田先生のスターリングエンジンが紹介されています。
 3)岐阜物理サークルニュース No.135 '96.3.3
 4)平成7年度 埼玉県教育研究奨励費研究報告書
   研究テーマ「魅力ある物理教材の収集と開発」

 <内容>
 1)はじめに土田先生からスターリングエンジンの歴史と原理について講義を受け、その後いろいろなタイプのスターリングエンジンを見せていただきました。その中には教職員発明展で内閣総理大臣賞の受賞作品もありました。これは製品化されてマリスから売り出されています。
  「首振りスターリングエンジン」03-8410 SES  定価19,800円
 これ以外にも面白い作品がたくさんありました。また別の機会に紹介します。
 2)ビー玉スターリングエンジンの製作
 土田先生の指導のもとに製作しました。試験管がまるで生き物のように動く様子はいつまで見ていても飽きません。やはり話に聞いているより実際に作ってみることだと改めて感じました。
 3)ダイアモンドの合成
 科学部の小幡 進君(電気科2年生)に紹介していただきました。ほとんど一人で装置を組み上げたそうです。完成したばかりで小さなダイアモンドの合成は成功し、これから本格的な合成に取り組むところです。
 4)その他

8.おわりに

 今回紹介できなかった記事はたくさんあります。投稿してくださった方、申し訳ありません。ページ数を増やせばすぐにでも紹介できますが、12ページを越えますと郵便料金が80円から90円に上がってしまいます。このサークルがこれからも続けていくには今の状態が限界です。
 このサークル誌を読んでいただいている方にお願いです。ページ数は少ないですがぜひじっくり読んで利用してください。(H.Y)


 ***96年度;年間通信費 1、000円又は80円切手13枚***
   送 り 先;〒336 浦和市本太 1ー33ー6
   郵便振替;00150−8−560437 加入者名;湯口 秀敏
 <<連絡・問い合わせ先;電話 048ー881ー2782>>
 サークルニュースの抜粋、要約、転載は北村が行いました。ニュースの原文・図など詳しい内容を知りたい方は、直接湯口先生まで連絡をとって下さい。

ホームページへ

よせなべサークルニュースへ