よせなべ物理サークル会誌126号

(旧 教材・教具を工夫する会)

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第126号抜粋

1.126回例会の案内
    2/27(土)越谷総合技術高等学校 15:30〜18:30 担当:岸沢真一先生
 予定
 ・石井先生(吉見高校)が紹介したことのある”3段アンプ”の製作会
 ・インターネット:北村俊樹先生(東京・上野高校)がインターネット上でこのサークルの紹介をしてくれています。越谷総合技術からアクセスしてみます。
 ・野呂茂樹先生(青森・弘前中央高校)が参加されます。
 ・宮崎英夫先生(東京・三鷹高校)からの物理通信の紹介

2.次回以降の予定
 第127回 3/16(土) 春日部工業高  担当:大下 仁先生

3.本の紹介  その1
 「英和 物理基本用語辞典」 用語解説;北村俊樹
      アルク    定価 6,000円

 物理の授業でよく使われる英語の物理用語約2000余りととその用法を一人で学べるよう、用語解説を主とした学習書である。対象は中高生の留学生・帰国生としているため分かりやすさを心がけており、項目を引いただけである程度物理概念について理解できるようになっている。巻末には日本語の索引があり特に帰国生にとって日本での学習に利用できる。本書を活用することで、物理を学ぶ困難さが少しでも軽くなればと思う。

4.本の紹介  その2
 「物理の常識 おもしろ知識」 小暮陽三著
      日本実業出版  定価 1,300円

 この本は、筆者がおもしろい、びっくりした、なるほど納得したことを集めてみました。貧弱ですが、我流の雑学物理です。ますます細分化し、専門化する高度の産業社会では、かえって広い常識、つまり雑学が必要なのではないでしょうか。高度情報社会では私たちは素朴な「びっくりする心」を失いがちです。この本の中に少しでも、びっくりしたり、おもしろいと思っていただけるところがあれば、筆者の本望、これに過ぎるものはありません。

5.本の紹介  その3
 「近代科学の源流を探る」 菊池文誠編
      東海大出版会  定価 2,266円

 ガイドブックや紀行文の類も多数出版されているが、理科系愛好者を対象者としたものは皆無に近い。われわれの所属する物理教育研究会(事務局:上智大理工学部物理学科、笠耐気付、会員数450名)ではその研究活動の一環として、何回か集団や個人でヨーロッパ各地の科学館・科学史跡について詳細に調査し、多くの資料を手にいれた。その経験をもとに「近代科学の源流を探る」ガイドブックの編集を企画した。本書は約30の施設につき、所在地、アクセス方法、施設の概要、主な展示品、みどころなどについて解説したものであり、理工系の主な科学館はほとんど網羅されている。

6.博物館・科学館の紹介 第2回 「大阪市立科学博物館」
         埼玉県立和光国際高校 千野 司

 大阪市立科学館は規模が大きくしゃれた4階建ての建物である。内容的に充実していて、物理関係では、当会で話題になる実験装置が常設されていた。例えば、「科学プラザ」のコーナーには力学関係の装置が集められ見学者が自由に実験できるようになっている。見学者全員が効率的かつ安全に実験できるのは博物館の強みである。学校でも実験装置を常設できる場所と労力があれば、より多くの生徒の興味関心を得ることができるであろうに。じっくり見学すれば1日はかかる。どの実験も小学生にもできるようになっているが、原理等を考えさせるようにすれば高校生でも十分学習効果が期待できる。
 大阪市立科学館 tel06-444-5656

7.回転盤による錯視
    埼玉県立上尾東高校 西尾信一

 日本に来たエクスプロラトリアム展(1989)で、「回転盤のいたずら」として紹介されていたもの。錯視にはいろいろあるが、これは像が動くのではじめて体験すると驚きがある。和光国際高校の千野先生から譲っていただいたエクスプロラトリアムの実験指導書であるサイエンス・スナックブックの該当項目「Depth Spinner」の拙訳である。

 「奥行き回転盤」:メリーゴーランドから降りたら何が起こる?

 準備: ボール紙、のりまたはセロテープ、パターンの描かれたディスク(中心からの黒い螺旋状の線を描いたもの)、コピー機、回転装置、オプションに裏に接着剤が付いたマジックテープ
 導入: 回転する渦巻を見ると目の検出器は疲れる。目を別の方向に向けると世界は近づいたり遠のいたりする。
 組立: パターンの描かれたディスクのコピーをとる。そのパターンを切りとり海苔などで丸いボール紙にはる。これを回転装置の中心に取り付ける。毎分45または78回転の蓄音機が最適である。
 実行と注意: 渦巻を回転させ15秒ほどその中心をじっと見つめる。ディスクから目をそらし壁か近くの人を見つめる。その壁や人が膨らんだり縮んだりしているように見える。
 何が起きているのか: 視覚のシステムは内側や外側の動きに敏感である。止まっているものを見ているとき、内側と外側の動きに反応するチャンネルはバランスがとれている。しかし運動するパターンを見つめると、一方の検出チャンネルは疲労する。壁を見つめるとそれまで働いていなかった検出器は疲労した検出器よりも強い信号を脳に送ることになる。

8.P and E 再開のおしらせ
 (補足:PandEはPhysics & Educationの略(北村))
 2年弱の間冬眠していました「PandE」が目をさまして例会を再開します。これからの例会をどのようにしていくかは集まったときに相談してきめていきたいと思います。とにかく久しぶりですから集まって下さい。
 2/24(土)、14時より 都立駒場高校物理室で
 内容:新指導要領の動き、おもしろい実験の紹介、生徒の様子の情報交換、その他つもる話、これからの例会の持ち方。終了後懇親会の予定。
 連絡先:目黒区大橋2ー4ー24都立駒場高校(tel03ー3466ー2481)
        小野啓一(Nifty:MSJ00322)

9.第125回例会の内容  (西尾)
  1/20(土) 15:30から19:00
  場所:上尾東高校  物理実験室
  参加者:千野 司 (和光国際)、西尾信一(上尾東)、湯口秀敏(浦和一女)

 (1)電子レンジを使った実験
 ※レンジの保護のため、水を入れたカップを一緒に入れておき実験をした。使用したレンジは5000円(目玉商品だった!)で購入した最もシンプルな低出力のもの。
 a.白熱電球と蛍光灯の点灯
  文献1によると、プラズマ発光したランプは熱によって口金から空気が入り、発光しなくなるそうなので、点灯は数秒間にとどめた。

 b.火の玉発生実験
 100mlのビーカーに砂場の砂を入れ、シャーペンの芯を1本斜めに立てかけ、「あたため」で加熱。最初は何も起こらないが、しばらくしてバチバチと放電の音と火花。そしてそのまま待つこと数分で、一瞬だがビーカー内に青白いプラズマ発光が現れた。ビーカーは熱によってひびが入り、砂も部分的に融けているよう。(文献1〜3)

 (2)身近な放射線源
  堀場製作所の放射線サーベイメータPA−100を購入したので、身近な放射線源として紹介されているものを調べてみた。このメータは150keV〜1.5MeVのエネルギー範囲のγ線を検出するので、α崩壊は検出できず、β崩壊もエネルギーの高いγ線が出るようなものしか捕まえられないという。
 試みたのは、硫酸カリ肥料(カリウム50%)、大気中の塵(掃除機のホースにコーヒーフィルターをかぶせて数十分吸引したもの)、蛍光灯グローランプの電極、ランタンマントル。短時間の大ざっぱな測定では、硫酸カリ肥料と大気中の塵はバックグラウンドの2〜5割増しほどの線量で、グローランプは検出できず、ランタンマントルは包装の上からでもバックグラウンドの数倍になった。ランタンマントルは、文献9によると、(株)ユニフレーム(TEL 03-6892-7251)の製品でないと放射能を持っていないようであったので、このメーカーのものを使用した。
 なお、文献4、5で紹介されていたプロメチウム147を含んだ夜光塗料を使った釣りの浮き「深海玉」は、釣り道具店を数軒探したが見つからなかった。

 (3)超能力マジック
  マジックグッズを用いたもので、ボトルの空中浮揚、フローティングマッチ、紙幣の空中浮揚、アトミックランプなど。

 a.ボトルの空中浮揚;穴の開いた1枚の木の板にワインボトルを差し込んで、それだけでボトルを空中に浮かせるもの。見た目には不思議な浮き方だが、全体の重心が木の板の小さな底面の上にくるようにしただけ。自作も簡単にできそう。

 b.フローティングマッチ;見えない糸をカードに貼ってあり、カードを少し曲げることにより、マッチのような軽いものをカードの表面からわずかに浮かすもの。真上から見ると、ごく近くから見ても糸の存在はわからない。

 c.紙幣の空中浮揚;空中に張った見えない糸にからむように紙幣をくしゃくしゃにして、その紙幣を空中に浮かすもの。生徒から借りた紙幣を用いると、より効果的。今年度の最初の授業で実演したら、かなり受けた。

 d.アトミックランプ;電球の中に豆電球と電池が仕込まれたもので、本来の電球で通電する口金の2つの金属部分(先端とネジが切られている側面部)をアルミホイルなどでつなぐと点灯する。

 e.入手先
 ボトルの空中浮揚、アトミックランプ・・・トリックス販売(TEL 03-273-9962)
フローティングマッチ、見えない糸・・・ディーピーグループ(TEL 0473-98-4008)

 (4)回転盤による錯視(「回転盤による錯視」を参照)
  壁や自分の手の平などが、生き物のように動いて見える不思議さは、体験してみないとわからない。錯視の中でも、なかなかショッキングなもの。「自分で見た」ということが「客観的な事実」であるとは限らない、という例に使える。
 3種類の渦巻パターンで実験。たまたま家にあった電蓄(78回転のSPもかかるもの)を利用したが、実にうまくいく。回転の速さが適当なのであろう。厚紙にパターンを貼って、手で回してみても見られるが、やはり効果は落ちる。

 (5)おもちゃのコマ
  生徒がもっていたもの。回すと音楽が鳴る。電子回路と電池が内蔵され、遠心力でスイッチが入るよう。

 (6)初期の温度計のモデル
  ガラス工芸店で購入したもの。インテリア用か。下部の球形ガラスに色のついた液体と空気(?)が入っており、その部分を手で握ると、液体がラセン形のガラス管を上って上部の球形ガラスに噴出する。下部の球形ガラス内の空気の膨張と、液体の蒸気圧によるものか? 授業では、初期の温度計の構造はこれに似ている、として紹介している。

 (7)金属棒の振動
  1mの金属棒の中心を指で支え、松ヤニをつけた指でこする。うまく振動するときれいな音が出る。銅、アルミ、真鍮、ステンレスで試したが、最も鳴らしやすくて音が持続したのは真鍮。

(8)ツリーチャイム
  パーカッションの楽器としての売られているもの。少しずつ長さの異なる真鍮の棒を板に糸でつるしてあり、金属棒で順にたたく(というより触れていくという感じ)。少しずつ音程が変わる澄んだきれいな音が出る。

 (9)サイドミラー
  凸面鏡であり、平面鏡よりも広い範囲が見える「車のサイドミラー」を取り外して、持ちやすいように木の棒につけたもの。授業では、ふつうの手鏡といっしょに回して、見え方がちがうことを確認させている。

 (10)大型虫眼鏡
  直径115mmのものを、980円でディスカウント店で購入。授業では、手を伸ばして虫眼鏡を遠くに置くと、レンズの中に向こうの景色が倒立して映ることを示している。レンズ面が大きいのではっきりわかる。

 (11) 簡易カメラ
  ドリンク剤の箱を二重に重ね、外側の箱に小さな穴を開け、虫眼鏡をセロテープで留め、内側の箱に大きく穴を開け、トレーシングペーパーを貼ったもの。箱をスライドさせてピントを合わせる。授業では、回して全員に見させたが、けっこう生徒は喜んでいた。前記の大型虫眼鏡の実験の後に実施。

 (12)ホログラム
  美術館のみやげで購入したもの。平行光線で見ると、かなり立体感がある。

 (13)バイブラランプの実験(文献11)
     インテリア用のバイブラランプの管壁につけられた磁石をはがしたものに通電して、フィラメントを点灯させておき、磁石を近づける。磁石が近づいたときだけ振動する。磁石は、市販のステッカーはがし剤を塗り、カッターとギターのスチール弦で静かにはがした。例会の後、実験室の授業で順番に班に回して自由にやらせたら、けっこう生徒は楽しんでいた。バイブラランプを初めて見る生徒も多かったよう。

 (14)オートラジオグラフィー
  ラジオアイソトープを動植物に与え、それに写真フィルムを密着させて、体内のラジオアイソトープからの放射線でフィルムを感光させる手法を、オートラジオグラフィーという。動物はマウスで、ミクロトームで薄片にしたもの。特定の部位(脊髄、肝臓など)にラジオアイソトープが集まるのがわかる。以前に、原子力実験セミナーで実習して作成したもの。

 (15)天井につけた大型ナトリウムランプ
  岩崎電気の90Wの大型ナトリウムランプ(ランプ:NX90、安定器:NX9SRP1A40)を天井にとりつけ、壁にスイッチをつけてある。総額4万円ほどで、取り付けは電気工事士の資格を持った業務主事の方にやってもらった。光量は十分。折り紙の色あて、干渉板の実験などに用いている。干渉板は、スライドガラスを2枚合わせて、片側をビニールテープでとめただけのもので、指で押すと不規則な干渉縞が変化する様子を観察させる。

 (16)液晶ビジョン(シャープ)
  物理室でビデオを見せるときに使っている。アンプ付きスピーカーを黒板の左右上部にあらかじめ設置してあり、その入力端子も壁面につけてあり、液晶ビジョンとビデオはキャスター付きの台ですぐ移動できるようにしてあるので、投影の準備は5分もかからない。大画面・大音量でちょっとした映画館になる。授業で使う上での難点は、部屋が暗室になるので、1シーンだけ見せるとか、見せながらノートやプリントを書かせるのがやりにくいこと。なお、パソコンのRGB出力をビデオ信号に変換するコンバーター(TV TANK;八戸ファームウェアシステム;42,800円)を用いてパソコン画面を投影したこともあったが、通常の大きさの文字はつぶれて判読できなかった。

 (17)参考文献
  1.「家庭用電子レンジを使用した火の玉発生実験」
    (佐々木修一、平成4年度東レ理科教育賞受賞作品集)
  2.「火の玉をつくる」(佐々木修一、物理教育実践検討サークルニュース83)
  3.「火の玉を電子レンジでシンプルに」(猪又英夫、ガリレオ工房ニュース111)
  4.「実験を中心にした放射線教育」(竹中功、平成4年度東レ理科教育賞受賞作品集)
  5.「β線源「深海玉」と簡易β線偏向実験(竹中功、物理教育通信68)
  6.「大気浮遊塵の放射能自動計測」(竹中功、物理教育通信68)
  7.「放射線源マントルの利用」(竹中功、物理教育通信77)
  8.「マントル線源の使用方法」(菊池文誠、物理教育通信79)
  9.「ランタンのマントルを線源にした放射線の半減期測定」
          (三門正吾、ガリレオ工房ニュース102)
  10.「科学の遊び エクスプロラトリウム展 図録」(朝日新聞東京本社企画部、1989)
  11.「バイブランプの教材化」(後藤富治、昭和61年度東レ理科教育賞受賞作品集)


10.おわりに
 (1)今回は例会のまとめを西尾先生にやっていただきましたのでずいぶん助かりました。でもだからといって、いつも例会をお願いした先生にまとめもお願いするつもりはありません。でも、やっていただけるととても助かります。もしお願いできるなら 一太郎ver.3でフロッピーでいただけるともっともっと助かります。
 (2)今回予定していた内容で紹介できなかったのは
  田野倉先生の実験、中谷宇吉郎 雪の科学館、中国見聞緑 その5、おもちゃの紹介第3回目、などです。いつも予定が狂ってすみません。(H.Y)

 ***96年度;年間通信費 1、000円又は80円切手13枚***
   送 り 先;〒336 浦和市本太 1ー33ー6
   郵便振替;00150−8−560437 加入者名;湯口 秀敏
 <<連絡・問い合わせ先;電話 048ー881ー2782>>



 サークルニュースの抜粋、要約、転載は北村が行いました。ニュースの原文・図など詳しい内容を知りたい方は、直接湯口先生まで連絡をとって下さい。


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