都理化研大会9

都理化教育研究会 研究発表集録抜粋



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1996年度(平成8年度)研究発表抜粋


1.振動反応を利用した熱カ学第二法則の指導
        東京都立墨田工業高等学校 岡戸順一

1.はじめに(本実践の目的)
 本実践は、非平衡状態のなかで秩序を形成し自己組織化することができる振動反応
(Belousov−ZhaboUnsky反応)を利用して、「熱力学の第二法則」の逆説的な実証といえるネゲントロピー現象や時間の方向性などの概念を指導し、法則に対する生徒の理解の深化を目的として行った。

2.「熱カ学の第二法則」の理解の困難
 以下に挙げているのは「熱力学の第二法則」の定義をさまざまに表現したものである。「熱が移動したという現象のほかは、他に何の変化も残さないで、熱を低温の物体から高温の物体に移す方法はない。(Clasius)」1)「熱源から得た熱を仕事に変えるだけで、他に何の変化も残さないで操作する熱機関は存在しない。(Thomson)」2)「重いものを持ち上げ、これに対して熱源を冷却すること以外に何の作用もしないで、周期的に働く機械を作ることは不可能である。(Planck)」3)「第二種の永久機関を作ることは、不可能である。(OStWald)」4)「断熱系が不可逆変化をする場合は、必ず全エントロピーが増大し、可逆変化をする場合だけ全エントロピーが変わらず、エントロビーの滅少することは決してない。(Clasius)」5)
 ここで、Clasiusの最初の表現は熱現象が方向性を持ち、不可逆だということ、ThomsonとPlanckの表現は熱源から得た熱量を全部は仕事に変えることができないということ、Ostwaldの表現はThomsonやPlanckの表現を否定するような第二種の永久機関は実現が不可能だということを表している。
 以上のように、さまざまな表現による定義が複数存在することに加え、最終的にClasiusの二番目の表現のように、「エントロピー」というとらえにくい概念がその白発的変化の方向性の指標として用いられていることを考えれば、「熱力学の第二法則」の理解が生徒にとってかなりの困難を伴っていることは間違いない。

3.振動反応の機構
振動反応の機構3)は以下の通りである。
1.溶液A:蒸留水67m1に臭素酸ナトリウム5gを溶かし、濃硫酸2m1を加える。
2.溶液B:蒸留水10mlに臭化ナトリウム1gを溶かす。
3.溶液C:蒸留水10mlにマロン酸1gを溶かす。
4.溶液D:フェロイン0.025M溶液。
[実験の手順]
A液を6.0ml、B液を0.5ml、C液を1.0m1混合して褐色溶液を作る。そしてこの褐色が消えた後にD液を1.0ml、ドライウェルを1滴加える。この反応に見られる溶液の色の変化は赤色と青色であり、振動の発現は数分問続く。

4.指導の工夫
1)ネゲントロピー現象
 生物には摂取した食物からより複雑な物質を、吸収したエネルギーからより複雑な形態のエネルギーを、感覚受容器で受けた情報からさらに複雑な情報(知識や記憶の貯蔵、思考など)を構築する能力がある。つまり、その身体の中でエントロビーを滅少させていると考えられる。波動力学の発見で有名なE.シユレーディンガー(1887〜1961)は、このにわかには信じ難い生命現象の不思議について、「あらゆる過程、事象、出来事には死の状態を意味するエントロピー最大という危険な状態に近づいていく傾向があり、生物がそのような状態にならないようにするための唯一の方法は周囲の環境から負のエントロピー(ネゲントロピー)を絶えず取り人れ続けることである。」4)と述べて、生命におけるネゲントロピー現象を提唱している。つまり、上記の提唱をもとにすると「生物とは外部からエネルギーを取り入れてエントロピーを生産し、それを外に代謝することによって、ある種の秩序を形成している構造」と定義できることになる。そして、そのような生命に特有の機構であるネゲントロピー現象と同様の現象が振動反応でも起こっていることを確認させた後に、エントロピー増大の法則に対する逆説的な視点であるネゲントロピー論の指導を行った。

2)時間の方向性
 例えば水と熱湯があって、この水と熱湯をひとつのコップに洋ぐと、やがてコップの申は、全体が均一なエントロピー最大の状態(ぬるま湯)になる。これは不可逆変化を説明する際によく用いられる例である。ところが振動反応では、溶液中のさまざまな物質の濃度が時計のような正確さで規則的に振動し、無秩序な状態から秩序が保たれている状態へと、あたかも時間が逆行しているかのように秩序形成が起こることを、上記の1.と同時に確認させ、時間の方向牲に関する指導を行った。

5.考察及び課題
 以下はある生徒の感想である。「熱力学の第二法則」に対する理解の深まりだけでなく、生命現象についての認知の変容も認められる。「確かに、この反応では熱力学の第二法則に逆行するように、無秩序な状態からある秩序が形成されており、通常はあり得ないことが起きていると思った。考えてみれば、均一な状態から自発的に変化を起こして、より複雑になっていく生物は不思議なものであり、今回の実験は生命に対して何となく言葉に言い表せないものを感じることが出来た。」今回の実践のように、物理の指導に他科目で用いられる教材を利用することによって、純粋な物理の教材だけでは指導し難い内容を少しでも容易なものとし、理解を深めさせる王夫は、ある程度の効果を有すると思われた。しかしながら、他科目の履修や進度、さらには指導する側の専門性などの問題点も多く、今後の改善を進めていきたい。

6.おわりに
 確かに化学反応である振動反応を生命現象や物理現象と同レベルでとりあげることによって生徒に誤解や拒否的反応が生じる危険性は否めない。しかしながら、自然現象を従来と変わらぬ視点から捉え続けているだけでは理解の深化は生まれない。科目の枠を超えることに若Tの間題点が存在しようとも、指導の補助的役割を果たせるような教材は、より積極的に済用すべきであると思われる。なお本実践は、支部省の平成8年度科学研究費補助金(奨励研究(B):課題番号08914011)をいただいた研究「科学的な考え方を育成する物理の教材開発」の一部として行った。

7.引用文献
1)「新稿物理学概説上」多田政思編pp‐227−228学術図書出版社1974
2)前掲書p‐240
3)「実験による化学への招待」日本化学会訳編pp‐120121丸善1987
4)「生命とは何か一物理的にみた生細胞」E.Schr6dinger著 岡小天鎮目恭夫訳pp‐117−118岩渡新書1953
5)「新版パラダイム・プック」C+Fコミユニケーションズ編著p‐166日本実業出版社 1996(なお、5は本実践の全体にわたり、参考とした。)


2.半導体レーザーと簡易ラインマーカーレンズを用いた流れの観察
        東京都立葛西南高等学校定時制 井上 健



3.仕事の定義はこのままでよいか
   −教科書への提言−
          東京都立保谷高等学校(元)飯村博
            都立戸山高等学枚  岸田功

1、はじめに
 昨年来、我々は「電車や白動車を動かす力は何か」というテーマで、本会およぴ全国理科教育大会で発表してきたl).2)。このテーマを取り上げたのは、摩擦駆動説の誤りを指摘したかったからである。摩擦駆動説というのは、“電車を加速する力はレールから動輪に作用する静止摩擦力である”とか“静止摩擦力が電車にエネルギーを与える”というようなもので、広く信じられている。しかし、これには仕事の意味の誤解があり、明らかに誤りである。これまでの発表は、多くの人々に理解してもらってきたが、電車等は摩擦なしには動かないためか、納得しない人もまた多い。これらを通じて我々は、「仕事」という物理量に対する誤解が、先生方の間に想像以上に広く深く根付いていることに気づき、大きな危惧を抱くようになってきた。誤解を滅らすには教科書の「仕事の定義」の記述を上夫する必要があると感じている。

2、仕事の定義の比較
理化学辞典などに書かれている一般的な仕事の定義と、教科書の定義を比較してみよう。なお、教科書はどの社もほぼ同じである。
(理化学辞典)物体に力が作用し続けて、力の向きにカの作用点がSだけ動いたとき、
FとSの積を仕事という。(要約)
(教科書)物体に力Fベクトルを加え続け、力の向きに物体がSだけ移動したとき、FとSの積を仕事という。
 見てのとおり、両者は下線部が「作用点」「物体」と違っているだけである。いうまでもなく、対象が質点であれば、力の作用点は必ず質点の位置と一致する。しかし、大きさのある物体ではそうとは限らない。したがって大きさのある物体が対象で、回転や変形を伴う場合に教科書の定義は原則として使用できない。にもかかわらず、現実には、動滑車のように回転する物体や、人のように変形する物体が教科書には登場している。そこが間題なのである。

3、解答困難な例題
 教科害の定義では、単純な間題でも解答できない例が出てくる。たとえば、次の間題はどう解いたらよいのだろうか。
問題:図1のような動滑車を用いて質量Mの物体を、高さhまで持ち上げる間に、綱の張力T1,T2が、滑車にする仕事w1,w2を求めよ。ただし、綱と滑車の質量は無視する。

 多くの人はw1=w2=Mgh/2と答えるのではなかろうか。実際この間題を数人の先生に出してみたが、みなこのように答えていた。何も問題ないように見えるが、実はこの答えは間違いなのである。定滑車側をみよう。図2のように、左の網のR点に下向きの力Fを加えて引き上げれば、言うまでもなくF=Mg/2、S=2hで、力Fのする仕事wは、Mghである。ところで、定滑車は綱の向きを変えるだけであるから、Q点に働く張力T2のする仕事w2とFのする仕事wは同じでなければならない。
すなわち、w2=w=Mghである。ということは、T1が仕事をしないとしなければ勘定が合わないわけで、正解はw1=0、w2=Mghなのである。
この現象を別の視点から考察しよう。図3のように動滑車が正六角形でも、綱が長くて回転による傾きが無視できれば、丸い滑卓との差はない。この場合もfl=f2=Mg/2である。ここで、物体を△h上げるとき、T2の作用点Qの上昇は2・△だからw2==Mg・△hなのに対し、T1の作用点Pは動かずw1=0である。すなわち、動滑車のP点は、支点として作用するだけでT1は仕事をしないのである。図2のP点も同じことで、見かけは上昇するが、実は順次交代しているだけで動きはしない。

4、静止磨擦カが電車の動輪にする仕事
このような間違いの例は、枚挙にいとまがない。次のような摩擦駆動論もそのひとつである。
問題:図4のように電車を右に加速するとき、モ一夕一の回転力を用いてレールに左向きの力F’ベクトルを加える。するとその反作用Fベクトル(静止摩擦力)が勘輪に加わり電車を加速する。電車が右にSだけ進行する間にこの摩擦力が電車にする仕事をWとすれぱ、W=FSである3)4)。

 この誤りを理解するのに先ほどの動滑車が役に立つ。図6は、図5の動滑車を90度回転したもので、この綱をレールに見立てれば、力関係は図4と全く相似である。これで分かるように、動輪がレールに左向きの力F1を加えたときの反作用F(静止摩擦力)が、電車が右にSだけ移動する間にする仕事は0である。すなわち、レールと動輪の接点は列車を動かすときの支点なのである。支点(作用点)が動かないから仕事をするはずがない。

5、おわりに
 我々は、仕事についての誤解が、摩擦駆動説の例のように物理現象を間違って解釈することにつながっていると思う。誤解の原因のひとつに、教科書に採用されている定義がある。一般的な定義を採用すれば、誤解は少しは減るはずである。ある教科書会社は問い合わせに対し、「“カ作用点の移動距離”という概念は抽象的で、生徒には難しいから、採用は困難」と、返答してきた。しかしどの教科書も「力の三要素」では“力の作用点”をあげているから、首尾一貫していない。いろいろと困難はあるだろうが、脚注でもよい、一般的な定義についての解説を加える工夫をすべきであると提言したい。

≪文献≫
1)飯村、岸田都理化研集録35巻(1995)16
2)飯村、岸田全国理科教育大会論文集18巻(1996)60
3)五十嵐靖則物理教育37−1(1989)52
4)五十嵐靖則物理教育38−3(1990)223


3.ブタン燃焼火炎の電気伝導性について
        東京都立葛西南高等学校(定) 井上 健

1.はじめに
 「キャンピング・トーチ」などの商品名で市販されている、液化プタンカートリッジバーナー火炎の電気伝導性を調べる実験を行った。まだ、生徒実験として行えるまで簡便化されていないが、確認できたいくつかの結果を報告する。

2.実験装置
 バーナーのノズル先端部と炎をあてる金属板(厚さ約0.5mmの鉄板)の間に電圧を加え、電圧と電流を電圧計、μAメーター、二現象オシロスコープを用いて、測定・観測した。図1は交流、図2は直流の電圧をそれぞれ印加する場合の、図3は印加電圧0でも電流が流れることを確かめるための、装置である。

3.実験桔果
(1)交流での実験(図1)
 100Vで数11Aの電流が流れるが、オシロで見ると鉄板が十電位になったときだけ電流が流れる半波整流波形を示していることがわかった(図4)。また、電流値に影響を与える因子として、次の3つがあることがわかった。
@炎の大きさ(燃焼ガス流1)
 バーナーの流量弁開度を大きくすると電流値も増える。定量的には測定していないが、パーナーを精密はかりの上で燃焼ざせ、重量滅から燃料の流量を求めることができるかもしれない。
A電極間距離
導電中、バーナーを鉄板から遠ざけてゆくと、炎可視部先端が鉄板から離れるあたりまで、電流値はあまり変わらない。しかし、バーナーを鉄板に接するほど近づけ、流れによどみや逆流が生じるようにすると、電流は滅り、0または逆向きの値を示す。このとき、オシロで波形を見ると、逆向きの電流渡形は激しく乱れていることがわかる(図5)。
B印加電圧
電圧の増大に伴い、電流も増加するが、やがて飽和の傾向が現われる、二極管型の牲性1)を示す(図7)。炎(燃焼ガス流量)が大きくなると特性曲線は立ってくる。また、電圧0でも電流は0とならない。電圧を横軸、電流を縦軸としてオシロでリサジュー図形を描かせると、瞬時値で描いた特性曲線が得られる(図6)。
(2)直流での実験(図2)
低圧直流電源を用い、(1)と同様にして測定した、電流一電圧特性を図8に示す。
(3)無電凍での実験(図3)
これでもバーナーから鉄板に向けて、負電荷が移動し、0.311A程度の電流が流れる。

4.考察
炎に電気的性質のあることは17世紀初頭から知られていた2]が、これが炎の中の正負イオンによること、およぴ負イオンの大部分は電子であることが明らかになったのは、19快紀末以後である3)という。文献3)には、炎の中にガス流に平行に平行平板電極を置き、これに電圧を印加したとき極問を流れる電流が、図6,図8のような傾向を取る理由が記されている。これによると、一般に炎の中の電子と正イオンでは、熱運動の平均の速さが、電子の方が桁ちがいに大きく、極板への衝突確率も高い。また、移動
度(単位電場をかけたときの流動速度)も、電子は正イオンの2000〜4000借の値を取る2)(電子とイオンの質量差)という。本実験でも、炎の中を流れた電流は、大部分電子によるものと思われる。厳密には図1,図2の鉄板が一電位の場合でも、正イオンによる電流がわずかに流れる。また、単位体積中の電子や正イオンの数は化学反応速度によって決まるから、極板の電位を±∞にしても、電流値はある限度以上には上がれない(飽和電流,空間電荷制限電流)。

参考文献
1)富山小太郎『電磁気学』(1972)P.152
2)平野敏石「火炎の電気的性質とその応用」H本機械学会詰74巻(1971)P.1410〜
3)金原寿郎『気体の燃焼物理』(1985)第10章



4.摩擦の学習におけるおもちやの利用
        東京都立世田谷工業高等学校 上田悦理

1.はじめに
摩擦の分野は、動きの少ない実験が多く、生徒にとって興味を持ちにくい分野の一つと考えられる。そこで、不思議だなという感覚を持たせることができるような実験は何か無いものかと考えておもちやを探してみた。今回は、摩擦で動く昔ながらのおもちやの紹介と、その改良等を報告する。

2.おもちやとその機構
2.1 弘前みやげの追っかけゴマ
 弘前の郷上玩具の中に追っかけゴマというお中央のコマを回し、そのまわりに2つの円盤を中央のコマを回し、そのまわりに2つの円盤を立てかけるようにしたものである。2つの円盤の直径は等しく、若干質量が異なるように板厚が変えてある。コマを回すことによって、コマの肩の部分で接している円盤が摩擦力を受けて、コマの周囲を動いていく。すると、2枚の円盤の一方が他方に追いついて、円盤の下側をすりもちやがあった。これは、写真1で示すように、抜けていく。この現象が中央のコマが回っている間くり返されるので、生徒の興味を引くにはおもしろい道具と考えた。入手した追っかけゴマは、土台の大きさが直径13cm程のものと、6cm程のものの2種類あった。それぞれいくつかテストしたが、製品によって円盤の追いつき方は異なるようだ。おおかたのものは、円盤の質量が大きな方が追いつくようである。2つの円盤の直径が異なるものについて、検討された研究は他の報文1)に見られたが、径が同じものについては見あたらなかったので、次のような検討を行って理由を考えてみた。
 2枚の円盤の運動の様子を変えているものは何なのかを検討するために、図lのような実験装置を作成した。径を同じにした円盤の質量を変えるために、上作用紙の枚数を変えて、張り合わせて円盤とした。張り合わせた枚数やコマの回転速度などを変えてテストした結果、軽い円盤の方がコマとの接触が不安定で、回転のための駆動力を的確にコマから伝達ざれていないのではないかと考えられた。
2.2ミニレースとその改良
 図2に示したようなおもちやの構造が、書籍2)に出ていたので作成した。名称はミニレースと記載されていたのでそのまま採用する。本の中で紹介されていた動く仕組みとしては、概略次のような説明があった。「円盤上に置かれたコマは、盤の回転がゆっくりな時は静止摩擦力によって盤と同じ方向へ移動する。また、ゴムの弾性力によって、急激に盤が回転する時には、コマの慣性によって、取り残される。その結果、相対的に少しづつ盤の回転方向に、コマが進んでいくような現象が確認できる。」
 このおもちやの場合、コマが盤の円周方向に沿って回転していくので、競争させるような生徒への投げかけは難しいと思われた。そこで、図3に示したような直進型のミニレースを考案して作成した。現象的には、コマが前に進むだけなので、より原理的に近いものと思われる。しかし、コマの質量をいくつか変えてテストしたが、質量によって速さが異なるだけでなく、コマの置かれる位置によっても、速さに差があった。さらに、台紙を前後させるハンドルを回す時に、回す速さでコマの前進する速さが異なったり、かなり遅く回した場合には、コマが後退したりもして一様な運動とは考えられなかった。これらのことから、この前進型ミニレースは、まだ検討すべき課題が多数あるおもちやのようだ。
2.3山スキー用シール
 前記までのように、上台の運動によって動くおもちやで、最も簡単なものとして次のようなものが考えられた。山スキー用の板の裏面に張り付けるシールを小さく切ったものをコマとして、工作用紙で作った土台を指先でたたいて上下に細かく振動させる。すると、シールが特定の方向に運動する。2枚のシールを同じ振動板の上にのせておくと互いに異なる方向へ動いたりもするので、輿味を引きつけるにはおもしろい題材と思われる。シールはスキーが後退しないように、一方向に細かな毛をそろえて植えてある。従って、一方向の摩擦係数が極めて大きな作りになっている。そこで、上台の振動によって、摩擦係数の少ない方ヘシールが追いやられることになる。これは、極めて簡単な工作で作成することができるので、一例としてあげてみた。

3.授業実践とまとめ
 摩擦に関する授業で、摩擦という考え方を通して、現象を見たり考えたりすることを目標に実践してみた。追っかけゴマでは、なぜ重い方が追いつくのかを考えさせ、ミニレースでは、なぜ前進するのかを考えさせるような課題として設定した。どちらもダイナミックざには欠けるが、多少なりとも不思議だなと思わせられたように思う。
摩擦についてはややもすると数式を説明することに終始してしまう。しかし、実際の現象は簡単な式では表せずに複雑である。そして、摩擦力は運動をじやまする力としてだけでなく、運動を起こす力にもなり得る。このようなことを含めて、生徒に考えさせることができればと思っている。残念ながら山スキー用シールは、本年度の授業では扱えなかったので、さらに検討を重ねて清用の方法を探ってみたい。

参考文献
1)物理教育通信第84号 物理教育研究会1996
2)おもちやセミナー戸田盛和 日本評論社1973


5.ビデオオシロアダプタ
        東京都立小松川高等学校 前田幸正

1.はしめに
 オシロスコープを便用した実験は、音や電磁気の授業でぜひ演示したい。しかし、画面が小さいのが欠点であった。以前、テレビを改造してオシロにする発表があったが、私のような素人には、とてもテレビを改造する勇気がない。ピデオ端子の付いたテレビを、無改造でオシロにする、アダプターを製作した。アースが共通でない2つの入力を持つ2現象オシロなので交流の位相差等市販品より便利である。欠点は、1kHzまでしか便えない事と同期を取ることができない事である。従って、音源や電源の方で周波数を変えて同期を取らなければならない。そのような、サポートグッズを製作する事により、あまり性能は良くないが、授業で必要な実験は、カバーする事ができる。便用した感想は、大画面で指差しながら説明できるので分かりやすい事と実験や説明に集中できた事である。市販のシンクロスコープは、高性能であるが、ツマミが多すぎ1年たつと忘れてしまい操作に気が散ってしまう。

2.長所と欠点
(1)大画面で演示でき、教育効果が高い。
(2)アースが独立した、2現象オシロなので授業で必要な実験をカバーしている。
(3)同期を取ることができないので、音源や電源で周渡数を変えられるものが必要である。
(4)使用範囲は直流から1kHzぐらいまで。
(5)最大入力は、±12V。
(6)時問軸が鉛直方向なので、オシロを横にした感じになる。
(7)安価で製作しやすい。高周波は使っていないためプリント基板で、簡単にできる。特殊な部品はないので4干円ぐらい。

3.回路のしくみ
(1)プリアンプ(同じ物を2つ作る)
オペアンプの差動回路と反転加算回路である。差動回路により2つの入力のアースを独立させている。したがって、回路内の任意の2箇所の渡形を観察できる。プリアンプでは、±12Vで入カした信号を、4−8Vの信号に変換している。ツマミは次の3つである。
[入カ切替スイッチ]DC・AC・GND
[位置ツマミ]ポジションを変える
[ポルトツマミ]電圧を変える
オペアンプは手持ちの741を使用したが、オペアンプであれば、何でも代用できる。
(2)本体
まず、LM555というICとFET(2SK30A(R))でビデオの水平同期信号とノコギリ波(4−8V)を作っている。テレビはこの水平同期信号を受けると走査線を描き始める。LM393(コンパレータ)はノコギリ渡の電圧とプリアンプからの信号の電圧を比較して、同じ電圧になった瞬間、MC14070にパルス信号を発生させる。これを、先ほどの水平同期信号と合成してテレビに送ると、走査中にパルスが来た時白い点を光らせる。簡単に言えば、画面の左端が4V右端が8Vで、プリアンプからの信号の電圧と同じ点が光るという訳である。部品では、2SK30A(Rランク)とスチロールコンデンサーだけは、代用できない。コンパレータ(電圧比較)やMC14070は同等晶でよい。
(3)調整
ビデオ端子の映像に接続し、スイッチを入れると、画面全体に白点が散らばっている。水平同期調節VR(100kと微調整用5k)を回し、2本の線になるように調節する。画面が見やすい位置にコントラストVRけ0k)を調節する。
(4)黄源
電源は±12Vを使用している。


6.高電圧送電の説明実験
        東京都立小松川高等学校 前田幸正

1.はじめに
 高電圧で送電した場合と低電圧で送電した場合の電力ロスを、比べる実験である。あまり高い電圧を、実験室で扱うのは面倒なので、100Vと6Vの電圧で比べることにする。途中の送電線の電気抵抗として豆電球(2.5V0.5A)を片道1個(往復で2個)便用し、その明るさで送電中の消費電力示し、比較することができる。その差は一目瞭然である。豆電球とトランス(100V:6V)で簡単に製作できる。

2.実験回路と簡単な説明
 使用した豆電球は、昔同じ物で2.5V0.5Aである。図のように、配線した場合点灯している豆電球の消費電力は約1Wであった。従って、あまり時間をかけたくない時には、次のような簡単な説明で十分である。
[6V送電の場合]
<実験結果>
送電線の豆電球は2個とも点灯し、家庭の豆電球は1個だけ点灯している。
<説明>
発電所で、6V3Wの電力を送電した。途中の送電線の抵抗で、2W(片道1W)の電力が消費された。街の家庭に供給された電力は、1Wだけだった。
[100V送電の場合]
<実験結果>
送電線の豆電球は2個とも点灯していない。変電所(トランス)で6Vにしたあと、家庭の豆電球は3個点灯している。送電線の豆電球をゆるめると家庭の豆電球が消えるので、送電線の所に電流が流れている事を確認できる。あまりに、電流が少ないので、豆電球が点灯しない。
<説明>
発電所で、100V3Wの電力を送電した。途中の送電線の低抗ではほとんど電力消費がない。変電所(トランス)で6Vにして家庭に供給された電カは、3Wだった。

3.電カの測定
 授業時間に余裕があれば、各電圧と電流を測定して、消費電力を求められる。
[6V送電の場合](実際には6.58V)
送 電線の消費電力P=2.19[V]×0.44[A]×2≒1.9E[W](約2W)
供給された電力P=2.19[V]×0.44[A]≒0.96[W](約1W)
[100V送電の場合]
送電線の消費電力P=39[mV]×76[mA]×2≒5.9[mW](約0W)
供給された電力P=6.58[V]×0.44[A]≒2,9[W](約3W)

4.最後に
 送電線の抵抗として豆電球を便用したが、点灯している豆電球とほとんど点灯していない豆電球では、電気抵抗はかなり違う。従って、「送電線の抵抗は同じ。」と言えない。しかし、この間題にはあえて触れなくてもよいと思う。測定結果から豆電球の電気抵抗を計算させたり、抵抗に取換えて測定をすることによって、謀題研究的な授業展開にする事も可能である。なお、100V送電で、点灯電球と同じ値の抵抗に換えて測定したところ、送電線の消費電力は50[mW]、供給された電力は2.9[W]であった。


7.インターネットと物理教育
        東京都立上野高等学校  北村俊樹

1.はじめに
 ここ1年程の間に、インターネットが個人でも利用:可能になってきた。ホームページ(以下HP)のURL(電話の電話番号に相当)を知っていれば、机の前に居ながらにして、様々なHPを渡り歩き、ひまわりやタコマ橋の画像や科学の素材を千に入れることができる。一方、インターネットの利点は、個人やサークル、団体が情報を提供できることである。誰でも有用な情報を登録でき、いつでも、どこでも、誰でも見ることができる。ここに、物埋教育の充実や変草の大きな可能性があると私は考える。本稿では、著者のホームページ3)を題材とし、インターネットによる情報提供の実践例を紹介し、あわせて利用法の提案を行いたい。

2.Javaアプレット
 インターネット閲覧ソフト(プラウザ)上で、実行できるプログラムがJavaアプレット(ソフト)である。その場で現象を見たり、パラメータを換えて実行できる。機種は問わず、Windows、MACでも同じソフトが実行できる。作製の難易度はBasic程度である。著者のHPには、水渡の3D動画、ドップラー効果、気体分子運動、万有引力下での天体の運動、サイン渡による渡形合成などのシミュレーションが13個登録してある1)2)。学校がインターネット化されるか、または校内だけのネット(イントラネット)化の際には、プログラムのコピーや配布は必要なく、HP上のJavaアプレットを実行すればよい。Javaは大阪府立寝屋川高校の神川定久さんのホームページ4)にも多数収録されている。

3.ソフトウェアライブラリ
 HP上にソフトを登録しておき、HPを見た者がダウンロードできるソフトウェアライプラリを作ることができる。NlFTYやPC‐VANなどパソコン通信のライプラリの機能が、個人のホームページでできる。著者のHPには、本のデモ版ソフトが約30個登録してある1)2)。個人やサークルでのソフトを配布が、フロッビー送付無しでできる。個人や団体がHPにソフトをアップすることで、利用しやすくなる。

4.埼玉よせなべ物理サークルニユース
 埼玉県の高校物理の教員が主なメンバーである「埼玉よせなべ物理サークル」(代表者:浦和一女湯口秀敏)のサークル通信誌の電子化である。会誌は会員にしか手に入らないが、HPでは誰でも見ることができ、実験法や教育情報を得ることができる。電子化することで印刷や発送の煩雑さが軽滅できる。もう一歩進んでサークル同士が互いにリンクしあえれば、その有用性はもっと高くなる。このタイプとしては神奈川霧が丘高の宮崎幸一さんの横浜物理サークルYPC紹介がある5)。

5.都理化研研究発表集録
 過去7年問の物理関係の発表と、物理専門委員会と教育機器活用委員会の研究の要約である。各県や全国レベルでの発表や集録は多いが、手に入れることが難しい。また、過去の事例を知らずに同様の研究が行われていたり、有用な情報が埋もれてしまっている。電子化し、URLがわかっていれば、いつでも、どこでも、誰でも利用することができる。このような仕事は、各県教育委員会や県の研究会が中心になってやるべきである。入力が大変ならば、私を含めポランティアを募れば可能である。なお、文字認
識ソフトを使えば、速く電子化できる。このタイプとしては、神川さんによる大阪府
理化研究会報告がある4)。

6.よせなべ物理実験集
 埼玉県高等学校理化教有研究会物理研究委員会実験班の作った実験集「よせなべ物理実験集」を著者がインターネット化したものである。直感的で、意外性があり、イメージがつかめる実験194個が収められている。各実験項目は、1)タイトル、2)分野、3)関連する法則、概念等、4)目的、5)図、6)実験手順、7)留意点等、8)使用器具、9)製作材料、費用、10)参考文献、の内容を持つ。個人やサークル、研究会の実験集、実験プリント、定期テストの間題、指導案などが公開されれば、教師全体の共有の財産となる。このタイプとしては、大阪の四天王寺高校の檀上慎二さんの授業の実験レシピ集がある6)。

7.まとめ
 本稿では、著者個人での試行を紹介した。しかし利用法としては個人レベルにとどまっている。将来、多くの者がインターネットを利用しHPを作り上げたら、理科情報の大きな質的変換が可能となるだろう。電子化されたHPの内容は簡単に編集できるので、個人やサークル間の連絡を電子メールで行えば、理科教材を短い時間で、協同作業で作り上げることができる。個人やサークルが役割や仕事を分担し、教材開発、実験開発、実践例紹介、定期テストの公開、実験・授業プリントの公開、事典や教科書、副教材の作製などが行えるよう呼びかけたい。

参考文献
1)北村俊樹:「Windowsで知る音声と運動の実験室」(森北出版)1996
2)北村俊樹:「Windowsで知る電磁気・光と原子の実験室」(森北出版)1997
3)北村俊樹のホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/ ̄kitamula/
 e‐mail PDF02120@nifty.ne.jp
4)神川定久さんのホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/ ̄kamikawa/
5)宮崎幸一さんのYPCのホームページ
http://www.asahi‐net.or.jp/ ̄HA4K‐MYZK/
6)檀上慎二さんのホームページ
http://village.infoweb.or.jp/ ̄fwbc3325/phy/physics上tm


8.チョロQを使った探究活動「チョロリンビツQ」
        東京都立青山高等学校  小林雅之

1.はじめに
 夏休みの謀題が無いと、苦労して教えた運動の法則も、生徒はすっかり忘れてしまう。が、問題集を解くだけの宿題も悲しい。2学期当初の授業で、1学期の復習(等加速度運動、運動の法則)から話を始めるのも止むを得ないが、運動量の保存、カ学的エネルギーの実験の原理になる自由落下は覚えておいて欲しいと思う。そこで、消しゴム大程度の小さなゼンマイのおもちやの車(チョロQ)を利用した実験を、生徒自身が実験を考案し、測定・考察を行う、発展性のある謀題を夏休みに課した。l学期の内容の復習と応用、2学期に扱う運動量・力学的エネルギーの概念を自ら発見することが目的である。本校の2年生は物理IBが3単位必履修であるが、少し背伸ぴをして円運動も課題の対象とし、2学期の授業でも扱うことにした。また、アトランタオリンピックの競技を参考にして創造性が高まることを期待した。

2.課題の配布
 「チョロQでレポート提出」だけでは手掛りがつかめないと思われたので、以下の内容を簡単に記したプリントを答案返却日に配布した。
く目的>チョロQにいろいろな曲芸させる。
@ストローと硬賃を便ったチョロQの質量の測定(力のモーメントのつり合い)
Aテープルからの水平投射によるチョロQの定行する速さの測定
B走り高飛ぴ・走り幅跳ぴ(斜方投射)
C丸棒を支柱としたチョロQの円運動
D器械体操(チョロQの宙返り)
EチョロQに乗せた物体の投げ出し
F相撲(複数のチョロQの衝突)
Gサッカー(ビー玉等の蹴りだし)
Hスラローム定行

3.夏休みの状況
 私の自宅近くのスーパーでは2台で¥298、百円市でも見かけるので、どこにでも入手できると思っていたが、10年程前のプームは去り、生徒は8月上句ぐらいまで購入に苦労したようである。都内のデパートのおもちや売り場ではどこでも扱っていたが、高校生の、おもちやの購入自体にためらいもあったようである。購入後の謀題の実行には、個人差が大きく、おもしろさを知り熱心に実験している者から、9月1日の日曜日に行った者まで多様であった。

4.レポートの提出
 9月2日、クラスの議長が回収し物理室に提出。提出率は当初8割程度、遅れて提出した者もいたが、ほとんどの生徒が報告書を提出した。

5.レボートの採点
 あわてて作成されたレポートは、事前のプリントの測定で目を通すのは容易だが、熱心に取り組んだ者のレポートには様々な方法の、様々なデータ、様々なグラフが膨大に集まり、実験方法の問題点、データの解釈を考えると安易な比較も採点もできなくなった。おもちやゆえに毎回多少異なる結果で、測定を繰り返す必要がある。測定による消耗がなく何度でも即座に行えることは、実験者には大きな利点だが、採点者泣かせであった。オリンビックを参考にした場合も多く、一人でいろいろな実験に取り組み、発想も豊かで、私からみても新しい発見がたくさんあった。

6.「チョロリンピックQ」授業実残
 2学期早々の文化祭の慌ただしさもあり中止も考えたが、生徒の期待も膨らみ、授業で運動量が終了した時点で実践し、力学的工ネルギーの概念の形成、円運動をするのに必要な力の発見を目的に、生徒が報告した実験を2枚の作業プリントを用いて行った。板目紙1枚で作った宙返り用レールとビー王、回転用にストローと3cm程に切った針金と乾電池、クッキーの空き缶、やり投げのストッパーとなる10cm程の角材を12班分を用意し、生徒には自分のお気に入りのチョロQを持参させた。

7.実験後の生徒の感想
 夏休み中に同年齢の人が考えついたとは思えないほどアイデアいっばいの実験でおもしろかった。1つのチョロQでたのしめた。日常の動きをミニチュアにしてやってみたりして常識ではあっても、改めて実証されるのは楽しいし、結果がでるのはうれしいc
夏体みの家庭学習では思いつかなかった実験が多くみつかり、わくわくして実験ができた。私は缶の中にチョロQを入れ宙返りのチョロQをつくることができたのが、チョロQが缶ごと動かしてしまうなんて驚いた。私の持っていたチョロQがやり投げまでできるようになってしまうとは、ずいぶん芸達者なこと。チョロQは人それぞれ遠う種類で、しかも、
同じ種類のものでも、少しの違いがあって、完全な結果ではないけど、みんな楽しんでやっていたから、理解できたのだと思いました。遊ぴ感覚で結構楽しめた。楽しみながら、運動について学ぶこともできた。小さい頃、ただ遊ぶためだけに使っていたチョロQで、こんなにたくさんのことができるのかとおどろいた。もっとたくさんの実験をやってみたい。どんな小さなものでも(普通のおもちやでも)エネルギーをもっているのはすごいことだ!

8.おわりに
 まだ概念の形成ができていないので、何を日的に実験しているのかわからない生徒もいたが、その後の援業の展開には役に立った。生徒実験として行う場合は、遊ばせる覚悟が必要である。「その時間が無駄」「生活上の経験で十分」であるという方もいると思うが、生徒の疑間を引き出し、それを解決していくだけで授業ができ、白然な展開であるように思う。授業時数にゆとりは無いが、1年間の物理の中で、このような1Hがあっても長いと思う。チョロQは筆箱にも入る大きさなので、毎回の授業に持参させて、講義を行いながらの方法も考えられる。生徒には4年に1度の実験と伝えた。次回は別のおもちやで夏体みの課題を考えたい。そして、今の高校生が親の年代になったとき、子どもやおもちやと接する場面で活かしてくれればと願っている。

9.購入メモ
チョロQは(株)タカラから現在でも多種類、¥350〜¥500で市販されている。学校で購
入するときはデパート店頭等で型番と価格を確認し、できればカタログを入手して事務室の担当者に依頼すると良いと思う。中国製の類似品もある。


9.感性を育てる授業を目指して
        東京都立拝島高等学校   山下一郎

1.はじめに
本校での物理の授業の構成(今年度限り)
 2年次:化学と物理の必修選択(4単位)
 6クラス中物理選択4クラス、化学選択2クラス
 教室での講義:週2時間試験有り
 実験室での実験:週2時間試験無し(私が担当)
 講義と実験は2人の教員で分けて行っている。
 3年次:選択(2単位)lクラス(19人)
この中で、私が担当している2年次の実験授業についての実践報告をします。

2.実験授業の概要
2時間続きの授業で、毎回実験や工作を行っている。
授業の度にプリントを配布、授業終了時に提出。
評価:授業でのプリント、学期末のレポート、出欠

3.実験授業の留憲点
・楽しく感じる題材を中心に実験内容の配列を行う。
 学習意欲に欠ける生徒が多い本校においては、実験の題材いかんで生徒の取り組む姿勢が大きく変わってくる。そこで、この研究発表で仕入れた実験や「いきいき物理・わくわく実験」(新生出版)でおもしろそうだと思った実験を可能な限り行っている。しかし、それだけで1年問はもたないので、時折、教科書チックな実験も行っている。生徒たちは、楽しい実験が続くと次も楽しい実験だと思って実験室にやってくるので、教科書チックな実験でも楽しい実験の時の気分でついやってしまう。
・とにかく、作ったり触ったりしてみよう。
これは科学の学習の原点。ただ暗記した知識は使わなければやがて忘れてしまうが、自分の手で触ったり作ったりしたことは結構覚えていることが多い。今や生涯学習の時代。高校時代に勉強をあまりしていなくても、先々何かのきっかけでちょっと勉強してみようかなと思うことがあるかもしれない。そんなとき、高校時代にやった物理実験での感触が役に立つのでは。
・目の前で起きた物理現象についての理由を自分なりに考えてみる。
ただ暗記した知識はあまり役に立たない。自分なりに解釈しないと生きた知識とならない。物理実験においては、起きた現象の理由をすぐに調べたり教わったりしたのではあまり生きた知識とならないのでは。まず、もてる知識を駆使して自分なりに考えてみることが大切だと思う。しかし、自信のない生徒は成績が良い人のものを写そうとする。そこで、その対策として、問違えていても自分なりに一生懸命考えたものなら最低5割保証はする、次回の授業で何人かの考えをのせたプリントを配布し寸評をして、みんな自分なりに考えているんだという安心感を与えるようにしている。

4.実験授業の内容
紙面の都合上、ここでは1・2学期に実施した実験の項目のみを列記しておきます。詳細は研究発表資料をご覧下さい。
(1)歩く速さを記録タイマーで測定する。け人l人測定する)
グラフが凸凹になる理由を考える。
(2)綿菓子作り:水中モーター、アルミの空き告、アルコールランプを利用(班実験)
「綿菓子がどうしてできるのか」家に帰って家族の人に説明するつもりで考える
(3)水ロケットを飛ばす:ペットボトルを利用(1人1個制作)
(4泊由落下の実験(班実験)
 記録タイマーを使って重力加速度を求める
 定規を使って反応時間を測定する
 校舎の屋上からポールを落下させたところのVTRで、落下時問より校舎の高さを計算で求める。
(5)スライムづくりい人1人つくる)
スライムが何に使えるのか考える。
(6)電気パンづくり(班実験)
ジユール熱の利用について考える。
(7)手作りモーターの制作い人1個つくる)
直流モーターの動作原理について考える。
(8)アンプの制作け人1個つくる)
教材費を徴収し、完成したものはもって帰らせた。
(9)スビーカーの実験(班実験)
スピーカーの中身、音が出る仕組みについて考える。
(1o)電磁誘導の実験(班実験)
 発電の原理について考える。
 回直流電流と交流電流の違いについて調べる。(班実験)
発光ダイオード、コイルと磁看をつかって、光り方や動きから遠いを考える。
(12)静電気の実験(班実験)
帯電体をものに近づけると引き寄せられるのはどうしてか、導体と不導体のそれぞれの場合について考える。

5.おわりに
 昨年まではとにかく楽しければという考えで実験授業をやっていたので、生徒たちにとってはただ遊んでいるような感じだった。しかし、今年から自分なりの考えなど書く機会を増やしたことで、生徒たちは少し勉強もした気になっている。これからも、物理版『綴り方教育』を発展させていきたい。




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