都理化教育研究会 研究発表集録抜粋



 このページはあくまでも北村俊樹(たまきち)の得た情報とその抜粋・要約によって作製されています。したがって東京都理化教育研究会の公式な見解を示すものではありません。各情報の詳しい内容をお知りになりたい場合は、直接、発表者や委員会あてにおたずね下さい。

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1993年度(平成5年度)研究発表抜粋



1.各種放射線源の研究健全性を調べる
        東京都立玉川高等学校 名古屋光男

 平成6年度からの新指導要領で、放射能・放射線の実験が各教科書中に多く記載されている。これらの内容の調査研究を放射線源を中心に行ったところ、教科書記載線源の他、自作線源、自作X線装置、市販教材用線源について多くの疑問をいだいた。
 教科書中のグローランプの破壊(三省堂)および、深海玉の破壊使用は好ましくない。60CO、90Sr(数研)は数量上問題がある。また、線源については、ほとんどの線源について、装置の空間線量、放出放射線名、核種については線源の構造、管理については不十分である。X線で自作のものは生徒や一般大衆を前にしての使用は好ましくない。煙感知器を分解しての線源の使用は安全性で問題があり、分解すべきでない。教育現場でも放射線から生徒を防御するための国際勧告(ICRP)が十分に守られている必要がある。しかし今回の調査では、対象者の全てがこの勧告を知らなかった。



2.学習実験と測定実験
     東京学芸大学附属高等学校 小田切理文、田中義洋、金城啓一

 これからこういうことを学ぶという問題意識・視点を養うために現象を体験させたり、ミスコンセプションに関わる体験や概念・法則の真意を理解させるなどを目的とした、学習のための生徒実験をここでは「学習実験」と呼ぶ。「学習実験」実験自体は簡単にデータを得られるが、それを考察することが重要で、レポートに多くの推論を展開し、帰納的にある結論・概念に行き着く実験である。これに対し、物理定数を測ることや実際にどのような値になるか測る定量の実験で、データの高精度な値の取得自体を目的とする実験を「測定実験」と呼ぶことにする。
 学芸大学附属高校では、生徒実験に重きをおいた学習を展開し、あえてこれら2つのタイプの実験を区別する方向で展開する指導法に取り組んできた。

 「学習実験」:
 実験=体験に基づいて、概念形成に留意して、法則を探っていく学習展開をする。重要な法則がモデル化された一つの測定を入念に積み重ねて法則が見いだされるのではなく、さまざまな場合を見渡すことにより多くの理解・概念に基づいて帰納的に理解できるものと考える。そこで、定性に重きをおいた一連の実験を1セットにして体験させ、それに基づいて授業を展開する。生徒にレポートを提出させるのはその後の段階になる。レポートのスタイルは準論文形式で自由なため、枚数は5から15枚程度で出されるものが多い。これを点数化し、試験とレポートの点を1対1として取り扱う。

 学習実験の項目
(1)面上の木片がどの程度で動き出すか
 *水平面上に置き水平にバネ秤で引く *水平面上に置き斜めにバネ秤で引く *面を傾けて滑り出す *急な斜面上においた木片を止めるのに必要な最小の力・最大の力
(2)衝突
 *ボールの跳ね返り *分裂する台車 *連結する台車 吊るした球の衝突 *壁に斜めにぶつかる5円玉
 etc.

 「測定実験」:
 e/m、分光計測、光電効果、共振回路、ストロボ撮影・解析、音響スペクトル、放射線計測等、生徒が測定するには時間を十分に、測定結果はそのものずばり、そして、高価な1台を使う。そうした実験を見るのではなく、実際に自分で経験することの学習効果は計り知れないものがある。3年1学期末考査後、5日間をかけこうした実験を体験させる週間を設け、「夏の実験」と称している。2教室に全25項目をセットし生徒はその中から好きなものだけを選択する。生徒の時間は、3時間が3回であり、1.5時間を5項目が標準で三日制とは100から120名ほど。生徒のアンケート結果は、「難しいものほど知的満足度が高い」という結果になった。



3.パソコンを使って簡単にできる音の生徒実験
        東京都立上野高等学校  北村俊樹

 1)簡単にできる計測装置
  安価に簡単に自作できるAD変換インターフェースである。テキサスインスツルメンツTLC549を使いプリンタ端子に接続して数Khzの音まで取り扱える。IC2個と抵抗1個、コンデンサー3個、ダイオード2個で簡単に自作できる。入力にはアンプがないのでマイク付きラジカセを用いる。

 2)共通ソフト
 上のインターフェースで使える音の生徒実験用の音のソフトを開発した。作製ソフトは、1)マイクからの音の取り込み(AD変換)、2)FFTによる倍音への分解、3)振幅、位相の異なる1から16倍音のサイン波を重ね合わせて波形合成、4)音のデータのファイルの入出力、5)音の出力再生(DA変換)、6)音の編集、などである。
 なお、ソフトは、大阪マイコン部、新潟NADVインターフェースなどに対応している。



4.ボイルの法則実験装置
        東京都立小松川高等学校  前田幸正

 プルドン管式の連成計、10mlメスシリンダ、水槽用の十字ジョイント、加圧用にプラスチック注射器、水槽用ビニル管を使ってボイルの法則の実験装置を製作した。1)圧力は圧力計で、体積はメスシリンダーで直接測定するため、複雑な計算が不要で直感的に理解しやすい 2)水を下部からいれ圧力を加えるので気体が洩れない 3)圧力を自分の手で実感できるので生徒実験によい などの点で将来の測定法より優れている。



5.誰でも作れる「必ず戻る学園ブーメラン」
        創価中学高等学校  片桐 泉

  今回考案した紙のブーメランは、2枚の厚紙を十文字にして止め、紙の一部をディジタル的に折るだけで完成する。小学生から大人まで、誰でも簡単にでき、本の少し練習するだけで必ず戻ってくる。
 図のように厚紙(板目紙)を約3cmかける24cm程度に切りとって、十字にして、両面テープかホチキスでとめる。そして、図の斜線部分を、下に少し折れば完成である。(図省略:十字にしたぷーめらんの4つの長方形部分を1/3ほど十字と平行になるように曲げる。十字の交差する中心部分は切り込みを入れる(北村補足)) 図のブーメランの左右両端の矢印は、ブーメランの回転の方向を示しており、また投げる際にブーメランには表裏があるので表側に校章を印刷した。ブーメランを右手で縦にして校章が見えるように持ち、回転させながら並進の速度を与えると軌道直径約2mの円を描いて戻ってくる。
 以下ブーメランの飛ぶ原理の解説と、理論値と実験値に対する考察が触れられている。


5.誰でも作れる「光通信」
        創価中学高等学校  片桐 泉

 レーザーポインターと小さなラジカセを用いて、確実に100mは伝達できる光通信演示装置を開発した。送信側はレーザーポインター(安価な半導体レーザー発生装置)の乾電池から2本の線を外部に出し、コイルを接続する。そのコイルの両端を携帯用テープレコーダーの出力端子に接続する。この結果、レーザーの光が音の振動のままに変化する。受信側は太陽電池の端子をラジカセのマイク入力かライン入力にいれ、レーザー光を太陽電池で受ける。くすると、ラジカセのスピーカーからテープの音が鮮明に大きな音で流れてくる。コイルは1mHから1Hまで用いることができる。レーザー光と太陽電池の距離が100m以上離れていても十分伝達できる。また、コイルを用いる代わりに直接乾電池の+側と−側にテープレコーダーをつないでも音は小さくなるが可能である。コイルを学ぶ前の中学生にはこの方が説明しやすい。またコイルと直列に40オームの抵抗を入れたり、コイル無しの時に2つの電池の間に40オームの抵抗を入れることで、音量が落ちるが光の明暗(光度)を目で観察できるようにすることも可能である。





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