都理化教育研究会 研究発表集録抜粋



 このページはあくまでも北村俊樹(たまきち)の得た情報とその抜粋・要約によって作製されています。したがって東京都理化教育研究会の公式な見解を示すものではありません。各情報の詳しい内容をお知りになりたい場合は、直接、発表者や委員会あてにおたずね下さい。

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1990年度(平成2年度)研究発表抜粋



1.「物理」としてのコンピュータの教育
    −物理1Aの場合の私案−
        東京都立松原高等学校 伊藤 操

 物理1Aについて、コンピュータの扱いの視点を模索した。展開令は、)作動は電流という物理現象、 2)構造と働きの概要、 3)各ユニットの構造と働き、 4)周辺機器の働き、 5)プログラミングの概要、である。コンピュータを解剖していく流れである。



2.コンピュータによる簡単な物理実験
     −マウス端子を利用する−
        東洋英和女学院高等部 橋詰正治

 拡張スロットにボードをいれる代わりに、マウス端子や、プリンタ端子、RS232C端子を利用してこれらに接続できる安価で自作可能なインターフェースとセンサを使いパソコン計測を行う方法「コンピュータによる簡単な実験」CASEの紹介。マウス端子を利用したアナログ、およびディジタルインターフェースの回路がある。利用例として、ストップウオッチ、振り子の周期、重力加速度、台車の速さ、はね返り係数、CとR、電圧、コンデンサの充放電の測定を行った。



3.運動エネルギーの測定
        聖ドミニコ学園高等部 竹中福太郎

 一定の力を発生する「力発生器」(定力装置)とこれを使った運動エネルギーの検証実験の開発。力発生器は、プラスチック製滑車、ごむひも、糸巻き、糸で作れ、ゴムと滑車の間の動摩擦力を利用して力学台車を一定の力で引くことができる。これを用いて、1)運動エネルギーの絶対量の測定、 2)運動エネルギーの式1/2mv2の値の測定、を行った。



4.物理に関心を持たせるための一つの試み
     −「物理通信」を発行して−
        芝高等学校・中学校 松本節夫

 「物理のおもしろさ」を教える方法の一つとして、「物理通信」を発行した。内容は、1)身近な自然現象・機械に関する話題(フェーン現象、電子レンジ、ものはなぜ見えるかなど)、 2)時事的な話題の解説(フロンガスの環境破壊、温室効果)、 3)生徒の博物館の見学記・感想文、 4)科学の本の紹介、 5)その他(コンピュータの基礎、原子力を考える)などである。2週に1回、中学生全員に配布、執筆は物理科3人で分担。また、生徒に「物理通信」に対するアンケートを行い、結果を検討した。



5.教材用放射能の授業への活用について
        東京都立玉川高等学校 名古屋光男

 131Iを用いた放射能の授業の紹介。131Iは原子力事故の際検出される他、疾病の治療によく用いられる半減期8.04日の放射能である。これを用いて、1)131Iのγ線のエネルギー測定、 2)逆2乗法則、 3)各種放射能との比較(エネルギースペクトルの測定)、を行った。特に、各放射能のエネルギースペクトルの形を知っていれば、核事故の際の核種認定に役立ち、適切な対応、公衆の混乱防止に役立つ。



6.落下運動による力学的エネルギー保存の法則の指導
        東京都立八潮高等学校 大室文之

 力学的エネルギー保存則の生徒実験の開発。落下運動を使い、生徒の探求の過程を重視し、データ処理、考察、実験操作を1枚のワークシートで行う。実験は、記録タイマー、質量200gの鉄球、テープ、スタンドを用いる。簡単に実験ができる。
 1)鉄球が落下する時の打点を記録する。
 2)打点間隔からv−tグラフ作製。グラフから打点毎の速度を求める。
 3)鉄の質量をm[kg]として運動エネルギーUkを求める。
 4)落下点の位置をを位置エネルギーの基準点とし、各打点毎の位置エネルギーUpを求める。
 5)各打点毎に位置エネルギーと運動エネルギーの和Up+Uk(力学的エネルギー)を求める。
 6)求めた位置エネルギー、運動エネルギー、力学的エネルギーの時間的変化をグラフにする。
 7)これらの3つのエネルギーの相互の関係に付いて考察する。



7.パソコンを用いた情報収集の試み
     −パソコンネットと物理の話題−
        東京都立上野高等学校 北村俊樹

 パソコン通信を用いた科学情報の収集の仕方の紹介。パソコン通信の1)電子掲示板、 2)電子メール、 3)キーワードによるデータベースの情報検索機能、 などを行える。紹介されている例は、1)朝日サイエンスネット(科学朝日などの情報)、2)アトムネット(原子力関係)、3)エナジーネット(エネルギーと環境)、4)NIFTY ServeのFSCI(科学関係のフォーラム)、毎日、読売などの新聞の記事情報データベース、5)PC−VANのSTS(教育とソフト)、6)JOIS(科学技術の国内最大のデータベース)、がある。



8.エレベーターの加速度について
  −ビデオ教材の開発と加速度測定の問題点について−
        白百合学園高等学校 馬目秀夫
        東京都立調布北高等学校
 八木一正

 エエベータ内の加速度運動を10分にまとめたビデオ教材を作製した。世界最速のサンシャイン60のエレベータを利用した。このビデオを元に1)エレベータ内の体重変化、 2)エレベータ内の速度変化、 3)なぜ体重計で本当の値が求められないのかについて考察した。



9.物理の基礎的共通概念のトレーニングについて
    −思考の枠組形成のための試み−
        東京都立調布北高等学校 八木一正

 物理教育における基礎的な学習能力は、論理的な思考の枠組みに結びついている。この枠組みを作る上で必要なものの一つが、「単位あたりの大きさ」であると考える。そこでアンケート形式のトレーニングを関東地区の8つの高校に実施した。このトレーニングを受けたほとんどの生徒は頭の中が整理でき、この方法が役にたったという結果がでた。詳しい内容は、日本物理教育学会紙で発表予定である。



10.中日物理教育セミナー報告
     −実験を中心にして−
        白百合学園中学高等学校 馬目秀夫

 中国南京市の東南大学で行われた中日物理教育セミナーの報告。
 1)回転運動:上下の円盤を逆回転させ落とすと両方が止まる、角運動量保存則。  2)渦電流の実験:磁石をバネで吊るし、アルミリングの中を上下に振動させての電磁制動や、アルミリングを上下させての磁石の振動。  3)熱力学の実験:半導体を利用した熱機関。  4)静電気・放電に関する実験:2毎の金属板中にピンポン玉を入れ2万Vかけると激しく振れる、他。  5)定常波に関する実験:枠にハった膜にスピーカーからの音を当てて定常波。こすると定常波により水しぶきが上がる鍋「漁洗」の紹介。



11.C言語による物理シミュレーションの開発
        東京都立赤坂高等学校 中川 浩

 シミュレーションを物理教育に導入する理想的な形は、生徒がプログラムを作り実行し考えていくことだろう。将来、生徒一人一人がシミュレーションプログラムを作り、物理を楽しむ時代がくるだろう。そのとき作るであろうプログラムを想定し、著者が40数種類のプログラムを開発した。



12.横波と縦波の造波装置を製作する生徒実習
        工学院大学高等学校 中山 恵

 昨年度発表の横波の造波装置を発展させ、生徒が過程にある廃品で作れる横波および縦波の造波装置を開発した。これらの装置は任意の位相で止めることができる。(実際の製作法が図入りでこのあと詳細に述べられています。必要な方は原論文に当たって下さい:北村)



13.マルチメディア教材の開発(パソコンとVTRの組み合わせ活用)
     −画像処理による運動解析システム−
        東京都立広尾高等学校 天良和男

 ビデオカメラをセンサーとして用い、物体の運動をコンピュータで解析・表示するシステムを開発した。背景と異なる異なる色を持つ物体をビデオカメラで撮影する。これを、パソコンに接続されたVTRでスロー再生する。移動する物体の重心位置を、製作した物体色認識画像処理ソフトを用いて自動的に算出し、時間に対する変位・速度・加速度の諸グラフを表示する。処理は1駒づつ行うので、最小1/30秒毎の運動を解析することができる。



14.使い捨てカメラの物理実験の活用
        元東京都立西高等学校 中込八郎

 ストロボ付き使い捨てカメラのストロボ装置とレンズについての原理と利用例を紹介。
 ストロボは単3電池とトランジスタを用いた発信をトランジスタで昇圧し(12KHz、560V)、ダイオードを通してコンデンサを充電する。利用例は、1)コンデンサのエネルギーが光のエネルギーに変換、2)箔検電気の箔に触れると箔が開く。
 レンズは球面収差をなくすため、非球面レンズの単レンズでできている。また、プラスチックを用いているため、ガラスの場合より分散度が小さく色収差が少ないはずである。レンズに関する実験に使い捨てカメラのレンズを使うと良い。





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