都理化教育研究会 物理専門委員会研究発表抜粋



 このページはあくまでも北村俊樹(たまきち)の得た情報とその抜粋・要約によって作製されています。したがって東京都理化教育研究会の公式な見解を示すものではありません。各情報の詳しい内容をお知りになりたい場合は、直接、発表者や委員会あてにおたずね下さい。

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1994年度(平成6年度)研究発表抜粋


 「物理専門委員会氏名」
 委員長 :黒田楯彦(都立竹早高校)
 副委員長:橋本道雄(都立大泉高校)
 委 員 :荒川 博(都立高島高校)
      飯野 誠(都立大山高校)
      岩谷直之(都立町田高校)
      金子雅彦(都立青井高校)
      草野秀昭(都立小山台高校)
      小林雅之(都立片倉高校)
      高崎征峰(私立桐朋女子高校)
      土屋 博(都立新宿高校)
      西島宏和(都立北高校)
      福田泰正(都立蔵前工業高校)
      萩原 清(都立保谷高校)
      増淵哲夫(私立中大杉並高校)
      三沢利晶(都立綾瀬聾学校)
      吉岡一秀(都立葛西工業高校)

テーマ:「物理の理解を深める生徒実験や演示実験」
−−魅力的で活力のある授業をめざして−−

 理科離れがさけばれるなかで、特に物理は「抽象的で、理解しにくい科目」、というのが生徒のみならず社会人一般の、物理に対する見方のようです。理科離れの背景には、日本の社会の、理科教育あるいは科学技術教育に対する姿勢の変化もあると思いますが、現場の教師としては、また魅力的で活力ある授業をする授業をする努力が必要と思います。とくに、「具体的で、分かりやすい科目」といわれるようにしたいと思います。
 そこで、今年度は力学、波動、熱、電磁気・原子の四分野のグループに分かれて、それぞれ上記の研究テーマにふさわしい「物理の理解を深め魅力のある、生徒実験や演示実験の開発」を行いました。
 各分野に分かれたとはいえ、毎回の会合でそれぞれの分野の研究について進行状況と内容を発表し、意見を出し合いながら絶えず全体で検討し、議論をしながら進めてきました。
 私達の、この1年間の研究成果が、先生方の授業にいくらかでもお役に立てば、幸いです。


1.力学:「剛体のつり合いの生徒実験」
  土屋 博(都立新宿高校)、福田泰正(都立蔵前工業高校)、三沢利晶(都立綾瀬聾学校)、吉岡一秀(都立葛西工業高校)

 (1)割り箸による簡単なモーメントの実験
 割り箸に等間隔に切れ目を入れ釘などの支点を使って水平に置く。切れ目にバネばかりを吊るし力のモーメントの関係を調べる。構造的に簡単で、生徒が直感的にも理解しやすい。

 (2)ボール紙による剛体の釣り合いの実験
 ベニヤ板に方眼紙を張り、適当な図形を画鋲(支点)で止める。図形の任意の2点をバネばかりで引き、支点回りの力のモーメントと合力の釣り合いを調べる。

 (3)剛体に於ける重心の運動
 透明チューブの両端に重りを固定し、中に乾電池と豆電球を入れる。電球の位置は重心の位置とする。部屋を暗くしてこれを回転させながら投げあげると、重心が放物運動をする。また、電球の代わりに重心の位置を蛍光塗料で塗り、これにブラックライトを当てても良い。

 (4)剛体の釣り合い
 テニスラケットなどの不均一な物体の重心を求める。剛体の両端に糸をつけバネばかりで引く。糸の張力比から、重心の位置を求める。

 (5)剛体の釣り合いの生徒実験
 壁に立てかけたはしごに見立てたモデルを作り垂直抗力などを測定する。よく見かける現象であることから生徒が理解しやすい。

2.波動:「気柱の共鳴と実際の楽器」
   萩原 清(都立保谷高校)、増淵哲夫(私立中大杉並高校)、岩谷直之(都立町田高校)、草野秀昭(都立小山台高校)

 (1)開管の共鳴実験
 低周波発振器とアンプ・スピーカを使い音を出し、長さ54cm、内径5.2cmのパイプで気柱共鳴を行う。これをマイクをつないだオシロスコープで観察し、振動数と強めあう回数(番目)をグラフに描く。なお、20Hz程度から周波数を上げていくと、パイプの基本振動数以下で共鳴することがあるが、これはスピーカの固有振動のためである。

 (2)リコーダーを用いた実験の展開例
 リコーダーは開管であり、振動数は開管の共鳴条件によって定まる。リコーダーの窓は開口端に、またもう一方の開口端は窓に一番近いふさいでいない穴となる。リコーダーのヘッドジョイントに塩化ビニル管を差し込んで長さを変えてその時の振動数を調べる。発振器等を使うほかに、他のリコーダーと音程をあわせることで調べても良い。

3.熱力学:「熱の学習における熱機関の原理としくみ」
   高崎征峰(私立桐朋女子高校)、金子雅彦(都立青井高校)、飯野 誠(都立大山高校)、西島宏和(都立北高校)

 (1)生徒実験に使える「ビー玉式スターリングエンジン」
 試験管にビー玉5個を入れ、3-5ml程度の注射器の針側と水風船で接続する。試験管は支持台の支柱に口側が下になるようにやや傾けて輪ゴムで固定する。注射器のピストンは両面テープで支持台に固定する。アルコールランプを試験管の先の方に炎がくるようにおいて点火すると、試験管と注射器は一体となって往復運動を繰り返す。(以下原理説明省略:北村)

 (2)演示実験で使えるスターリングエンジン
 湯と水の温度差で動くスターリングエンジンを製作した。上部中央にディスプレーサーがあり、その中央から下部にかけて注射器がとりつけてある。これがパワーピストンの役割をする。注射器と容器の接続部分は風船が用いてあり、動いても気密性が保たれるようになっている。これを1)熱機関における高熱源・低熱源の必要性の説明、2)p−V線図の測定、などに用いる。


4.電磁気:「視覚で理解する電磁気・原子の演示実験」
   荒川 博(都立高島高校)、黒田楯彦(都立竹早高校)、小林雅之(都立片倉高校)、橋本道雄(都立大泉高校)

 (1)交流回路の実験
 RLC回路の例。R=1kオーム、L=1.5H、C=1.0マイクロF。

 (2)テスターを用いたプランク定数hの測定
 光電効果の実験をより実感してとらえるために、hを測定する。光電管をはじめとして配線の様子など、装置全体が見えるようにした。ディジタルテスターを用いて日常感覚で実験を演示し10から15分の短時間で行えるよう実験パネルを作った。

 (3)電磁波の実験  トランシーバー(430Mhz,10W)、八木アンテナ、針金に豆電球をつけたもの(長さ40cm、中央に6.3Vの豆電球をつける)で示いっっけんする。トランシーバーのアンテナから出る電波に対し、豆電球を近づけ点灯、消灯の様子を見る。アンテナと平行では点灯するが直角ではしない。また黒板(金属製)に向かって電波を放射して定常波を作り、その中で豆球の点灯具合を見る。

 (4)UHFテレビを用いた光速度の測定
 秋月電子のUHFテレビトランスミッタを使い光速度を求める。黒板から4m離れた机上に送信機と1波長ダイポールアンテナを置き、この間でテレビを移動し、画面が乱れ雑音が大きくなる位置を調べる。この位置を定常波の節と考える。

 (5)レーザー光で描くリサージュ図形
 レーザー光源と旧式の記録タイマー2個を使いリサージュ図形を描く。





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