What is C.A.S.E.?

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1996/01/28改

パソコン計測を安価に、簡単に行う方法を紹介します


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コンピュータによる簡単な物理実験

−C.A.S.E.の提案−  1990.8.28(Ver. 2.0)

         東京都立上野高等学校    北 村 俊 樹
         元東洋英和女学院      沓 沢 謙一郎
         東京都立羽田工業高等学校  瀧 上   哲
         東洋英和女学院 高等部   橋 詰 正 治

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   C.A.S.E.(Computer-Aided Simple Experiments)の定義


 コンピュータの、マウス、RS-232C 、プリンタ端子を使用した、高校生程度の手軽で安価な、理科実験や測定の方法である。
 C.A.S.E.では、規格化したインターフェースとセンサー部を用意し、コンピュ ータを実験装置 または、多機能の測定器として利用する。
 C.A.S.E.は、授業で利用できるように再現性のある装置や使いやすいプログラ ムを用意する。


§1.C.A.S.E.とは

 C.A.S.E.は、生徒の自由な発想による「創造的な学習」のための、重要な道具の一つになることを目指す。パソコンを使った実験の方法として、普通、パソコンの拡張スロット内の汎用バスに PIOの 8255 を接続したインターフェース基板が用いられる。計測での標準入出力規格はないため、一つのパソコン実験を行う場合、特定のパソコンの機種にあわせそれぞれ独自のハードウェアとソフトウェアを、その都度製作することが行われてきた。しかし、学校で使用するには、市販の製品はかなり高価であるし、自作の場合はハードウェア・ソフトウェアの詳細な知識が必要とされ、かつ配線も複雑で一般の理科教員が個人のレベルで簡単に行えるようなものではなかった。
 画像表示・データ処理・実験時間の短縮などのパソコン計測の利点がある一方で、これらが普及を妨げる要因となっていた。

 そこで、パソコンに共通に付属しているマウス端子、プリンタ端子、RS232C端子などの規格化された端子を使うことを考えた。これらの共通端子は、どのパソコンでも信号レベル、制御法などがおおむね同じである。このため、これらの先につなぐインターフェースとして、どのパソコンでも同じものを使うことができる。インターフェースの統一することで、プログラムの開発の負担や、機種依存性も減らすことがでる。教員が苦労してつくったプログラムが、他の機種でも実行でき、教員全体の財産として活用が可能となる。

 また規格化インターフェースを、理科実験での単純な機能に限って設計すれば、安価で簡単に作ることができる。安価なものであれば教員だけでなく生徒も手軽に実験を行え、パソコン計測の利点を授業で使うことが可能となろう。


 この方法を、
「コンピュータによる簡単な物理実験」

または、
Computer-Aided Simple Experiments

    (C.A.S.E.)


とよぶことにする。

 C.A.S.E.ではマウス端子、プリンタ端子、RS232C端子を利用して、高校物理での測定や実験を行う。これにより、従来の大がかりで演示実験中心のパソコン計測システムと異なり、生徒が実験机の上でより簡単な方法で測定や実験を行うことができる。パソコン計測の利点を教師だけでなく生徒自身が手軽に利用できる。


図 CASE接続図

 これらの端子に、入出力用の安価なインターフェース部モデュールと計測用のセンサ部モデュールを接続し、パソコンで時間、電圧、計数などの測定を行う。適当なセンサを利用して自然現象を取り込むことにより、速度、加速度、力、変位、抵抗、電流、電気容量、温度、圧力、pH、震度などの測定を行う。測定だけでなく、モーターやスピーカー、ヒーター、リレー、電磁石などをつなげて簡単な実験も可能である。

 C.A.S.E.により、パソコンは汎用測定器、あるいは多目的実験装置となる。ソフトウェアとセンサの組合せで、光電スイッチ、ストップウォッチ、電圧計、容量計、pHメーターなど多くの機能を実現できる。パソコン利用することにより、高価な単機能の測定具を使わずに、手軽に実験が可能となる。


 学校で利用するには、ハードウェアができるだけ安価で、回路も簡単でなければならない。また簡単に測定ができ生徒が工夫できる実験を行うために、ソフトウェアの工夫が必要である。従来の実験以上に生徒の学習、概念形成を触発、支援、強化するためには、どんな実験にどのように用いるべきかを吟味が必要不可欠である。C.A.S.E.ではこれらの検討・授業実践を行う。
 C.A.S.E.では、パソコンを生徒の測定・実験を助ける汎用の測定器あるいは環境の一部として位置づける。生徒は問題解決のための「道具」として、パソコンを利用する。パソコン計測が主人公の物理ではなく、物理をわかりやすくするためにパソコン計測を利用するのである。パソコン計測以外で学習効果の期待できる実験に、わざわざC.A.S.E.を利用することは無意味である。C.A.S.E.によりどんな実験が可能でありどのような学習効果があがるのかを検討し続けるべきであると考える。
 近い将来、ラップトップ型やノートブック型(または、より小型の)パソコンの価格が下がり、生徒の実験机に、1台ずつ置くことが可能になるだろう。その際、C.A.S.E.は、生徒の自由な発想による創造的な物理の学習のための、重要な「道具」の一つになることを目指す。

§2. C.A.S.E.の方法

 C.A.S.E.を実現するための3つの柱がある。
 第一はハードウェアの開発で、コンピュータに接続するインターフェース部分とセンサ部の製作である。
 第二は手軽にできわかりやすい実験を可能とするソフトウェアの開発である。
 第三は授業実践を通してのC.A.S.E.に適した測定や実験の方法の開発である。

2-1 ハードウェア
  C.A.S.E.のハードウェアの設計方針は、次のようにする。
  (1) インターフェースは、数百円から数千程度で簡単に自作可能なものとする。
  (2) センサ部は、極力簡単で生徒が使いやすい構造とし、インターフェース部に送る出力電圧はなるべく規格化(0−5V)する。
  (3) 測定精度を求めるより、実験の手軽さやわかりやすさを優先する。
  (4) 回路は再現性のあるものとし、使用部品は入手しやすく安価な物を使う。
  (5) 回路図、プリントパターン、制御方法を公開する。発表した回路やソフトウェアに関しての利用は自由とする。


2-2 ソフトウェア
  ソフトウェアについては生徒が手軽に使用できるために
   ・難しいキーボード操作をしない
   ・画面との対話形式による実験進行
   ・画面形状の統一
   ・メニュー選択とワンプッシュキー操作による実行
を実現している。また、実験が自動計測に陥らぬよう留意し、ある程度の生徒の手作業の部分を残してある。あわせて生徒が時間測定・電圧測定などの基本部品プログラム(モデュール)を組合せることにより、実験にさまざまな工夫をすることも可能とした。
 これを実現するためのプログラムは、

 A)入門用プログラム
 電圧・計数・時間計測などの基本的測定と、電圧などの画面表示などの最小限の基本機能を持ったプログラム。プログラム初心者の教師でも簡単に修正ができ、汎用である。
 B)授業用生徒実行型プログラム
 実際に授業で生徒が実験に使うプログラム。特定の実験に対応している。プログラミングの知識がなくとも画面の指示により実験を行える。提供の形は、ソースプログラムおよび EXEファイル(実行形式)を考えている。
 C)開発用サブルーチン集
 授業用プログラムで使用したプログラムのサブルーチン(基本部品モデュール)。センサからの情報のデータ処理を含む。自作のプログラムに組み込むことにより、C.A.S.E.の応用的な使い方が可能となる。ある程度のプログラミングの知識が必要である。サブルーチンは機種依存性の少ないプログラムとし、他のパソコンでの使用も考える。

 これらに用いる使用言語は、A)の入門用では主に、PC98に付属のN88日本語BASIC(86)または N88日本語BASIC(MSDOS版)を使う。これは普及(多くの学校で多くの先生に使っていただく)を目的とするためである。また B)、C)ではこれらの他に、Quick BASIC、PascalおよびCでのプログラム作成もあわせて行う。機械語の使用は、必要最小限にとどめる。

2-3 インターフェース部の機能
 インターフェースの入出力は
  ディジタル入力(D入力):電圧有無を判定 0Vまたは5Vのスイッチ信号
  アナログ入力 (A入力):電圧値を測定  0−5Vの任意の電圧
  ディジタル出力(D出力):電圧有無を出力 0Vまたは5Vの制御信号
  アナログ出力 (A出力):電圧値を出力   0−5Vの任意電圧
  発振器出力  (F出力):任意周波数の方形波を出力
とする。

 また、各端子用のインターフェースは次の入出力を備える。
  マウス端子用 :2ch D入力、2ch A入力
  RS232C端子用 :2ch D入力、2ch A入力、2ch D出力、1ch F出力
  プリンタ端子用 :1ch D入力、1ch A入力、8ch D出力、1ch A出力
 なお、マウス端子用のみPC9801専用で、RS232Cおよびプリンタ端子用インターフェースはPC9801以外に使用可能である。

2-4 パソコン計測
 センサ入力とインタ−フェ−ス部(入力用)によりパソコン計測を行う。センサ部は各インタ−フェースに共通で使えるように、オペアンプ等を用い0−5Vに規格化する。
 計測の基本機能は時間の測定、現象発生回数のカウント、電圧の測定で、ソフトウェアにより実現している。インターフェース部とセンサ部の組合せは次のようになる。

  (1)ディジタル型:D入力使用
    時間、および、カウント数の測定
    センサ例:マイクロスイッチ、リ−ドスイッチ、音センサ、光センサなどスイッチ型センサ
    実験例  時間、周期、速度、加速度、発生回数等の測定

  (2)アナログ型 :A入力使用
    電圧の値の測定
    センサ例 マイクロフォン、温度・磁気・圧力・力・pHセンサなどアナログ型センサ
    実験例  波形表示(メモリスコープ)、抵抗、電流、温度、圧力、磁界、音、震度など電圧に変換できる量の測定

2-5 パソコン制御
  インターフェース部の出力信号を使い、外部機器と組み合わせて簡単な実験を行う。
  (1)電圧出力  :A出力使用
     音の合成、基準電圧、モ−ター制御など
  (2)機器のON・OFF:D出力使用
     ヒータによる温度制御、LED 表示、パルス出力、リレー・電磁石による弦の共振など
  (3)発振器出力 :
     任意周波数発生、ストロボ・オシロスコープ用同期パルス、超音波実験

2-6 機能と画面案
  ・時間  大きなディジタル表示
  ・電圧  アナログ式表示(例:針)にこだわりたい。
  ・実験方法の表示
     画面で装置の接続法や実験方法を指示する。この際、一太郎や花子で作ったファイルを利用を可能とする(予定)
  ・CAI的利用 
     FCAIなどのCAIソフトでもC.A.S.E.を可能とする(予定)

2-7 使用するコンピュータ
 主として、高等学校によく導入されているPC-9801 系(NEC:PC9801または EPSON:PC286/386シリーズ)のパソコンを使う。ただし、プリンタ端子とRS232C端子を使用するものについては、FM-RなどのMS-DOSを利用できる他のパソコンでも利用できるよう目指す。

2-8 C.A.S.E.と授業実践
 C.A.S.E.では、パソコンを実験のための「道具」、あるいは問題解決のための「道具」として利用する。パソコンを使うことで、従来の実験の一部をより手軽に行える。さらに進んで、パソコン使用により従来行えなかった実験、方法が可能になるのではないか。われわれはこの面から実験に取り組みたいと考えている。  C.A.S.E.に適した実験とはなにか。生徒の学習、概念形成を助けるにはどのような実験法とすべきか。実験の際の測定・データ処理で、どこまでを生徒が行い、どこまでをパソコンに受け持たせるべきか。授業実践を通してこれらの問題を検討し、C.A.S.E.の改善に役立てる。







「簡単なパソコン計測について」

 (三省堂 高校物理教科書「詳説物理TB」教師用指導書より)
1993.10  北村俊樹



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 下図のような簡単なインターフェースを作ることで、安価に手軽にコンピュータを使った物理計測を行うことができる。ここでは、ディジタル入力の例として光センサによる時間測定およびGM管による計数を、アナログ入力の例として探求実験「音の波形の観察」に使えるメモリスコープをとりあげる。なお、プログラムリストはNECのPC9801用のプログラムである。*注)

1.ディジタル入力

 図1は入力信号があるか(ON)ないか(OFF)をコンピュータに取り込むディジタル入力型のインターフェースである。インターフェースに5V前後の信号が入るとプリンタ端子の11番busyにONの信号が送られ、0Vの入力または無入力のときはOFFの信号が送られる。busyの信号がONかOFFかはプリンタ端子の入力用のポート&H42番地の8bitの値を読むことで判る。0bit〜7bitのうちbit2がbusy信号に対応している。

図1 ディジタル入力型インターフェース

  すなわち 5V入力  bit2=1
       0V入力  bit2=0
となる。そこで、ソフトウェアでこの部分を取り出せば、入力があったかどうか判断できる。これはリスト1で ((INP(PORT) AND 4)/4) の部分である。5Vの入力をソフト上ではスイッチONと見なせる。
 ディジタルインターフェースは入力側と出力側はフォトカプラを用い光で結合しているので、過大入力があっても、出力につないだパソコンを破壊しないようになっている。このインターフェースの部品代は2000円以下である。

(1)時間測定 リスト1
 図2のような光センサを取り付けて入力が最初にONになってから、次のONになるまでの時間を計る。光センサはフォトトランジスタTPS601を黒ビニールテープで卷いた筒(例:ボールペンの筒など)に入れ、光源は豆電球を使っておこなう。
 信号がONまたはOFFでWHILEのループを何回もまわるが、このまわった回数をTIMECOUNTに記録しておく。まわった回数は経過時間に比例するので、最初のONから次のONまでのTIMECOUNTを、機種のクロック数に対応した定数KCONSTで割れば経過時間が出る。KCONSTの値は例えば1分を計り実験より決定する。


図2 光センサ

 実験例として、光センサを使い振子の周期を測定する。この場合は、光源と光センサの間を横切るときOFFになるので、振子の往復を考えて、OFFから2回目のOFFまでの時間を計ることで、振子の周期が求められる。また、いくつかの光センサをダイオードを通して並列に接続し、各センサ間の距離を決めて、多点の光電スイッチとして速度、加速度を求めることもできる。更に、入力信号に、5V出力の音センサを使えば、音を使ってたとえば反発計数を衝突間の時間から求められる。
 センサの出力をアンプなどを通して0または5Vになるようにさえしておけば、いろいろな物理現象の時間との関係を調べることができる。


       リスト1
100 'プリンタD入力(H=5V)の時間測定プログラム FILE NAME=PTR_TIME.BAS
120 'プリンタ入力ポート番地&H42:(11)BUSYの信号読む(bit2の取り出し)
160 '    D入力H(=5V)のときパソコン側の&H42のBIT2=1
170 '    D入力L(=0V)のとき         BIT2=0
180 '
190 PUSH=1:NOTPUSH=0 :PORT=&H42
200 KCONST=100!:'タイマー用の時間定数でパソコンのクロックにより値を変える。
210 'プリンタ用ポート &H42の入力(bit2)があるかどうかを調べる関数。
260 TIMERCOUNT=0                 :'ループの回数の初期値
270 WHILE ((INP(PORT) AND 4)/4)=PUSH   :WEND  :'初期化
280 WHILE ((INP(PORT) AND 4)/4)=NOTPUSH :WEND  :'初期化
290 WHILE ((INP(PORT) AND 4)/4)=PUSH :TIMERCOUNT=TIMERCOUNT+1
                    :'入力Hの間のカウント
300 WEND                :'入力Lならループおしまい
310 WHILE ((INP(PORT) AND 4)/4)=NOTPUSH:TIMERCOUNT=TIMERCOUNT+1
                    :'入力Lの間のカウント
320 WEND                :'2度目に入力Hでおしまい
330 PRINT TIMERCOUNT/KCONST      :'かかった時間を表示
340 END


(2)回数測定 リスト2
 ディジタル入力で、現象が何回起こったかを数える。例として、小型GM管を使った秋月電子通商(FAX 03-3251-1779)のポケットガイガーカウンタキットの出力に、図3の回路をつけてディジタル入力につなぐ。放射線の入射回数をパソコンがカウントする。高価なカウンタの機能をパソコンで実現できる。


図3 GM管キットとの接続


         リスト2
100 REM プリンタ端子によるカウント  FILE NAME =PTR_CUNT.BAS
110 REM  
120 REM プリンタ端子11番BUSY のON:OFF判定
130 COUNT=0:PORT=&H42:SWON=1:SWOFF=0:REM 計数 PrinterPORTの入力ポート番地
140 REM 端子の(11)の信号読みだし(bit2の取り出し)
150 SW=((INP(PORT) AND &H4) /4)
160 IF SW=SWON GOTO 150      :REM D入力信号がONかどうか
170 COUNT=COUNT+1:PRINT COUNT   :REM OFFのときカウント増やす
180 IF ((INP(PORT) AND &H4) /4) =SWOFF GOTO 180
190 GOTO 150           :REM 繰り返す


2.アナログ入力

 連続的な物理量を計測するために、アナログ量ををパソコンが取り扱える信号である1と0のディジタル量に変えなければならない。この役割を果たすのがADコンバータ(変換器)である。ここでは、市販の高価なAD変換器のかわりに、安価で構造が簡単であり、どのパソコンにもあるプリンタ端子を利用したものについて説明する。
 プリンタ端子はディジタル入力用として、busy信号1つ(1bit分)しか使えない。このため、1bitだけでデータの取り込みができるシリアル型の8bitADコンバータ素子であるテキサスインスツルメンツ社のTLC548または549を用いる。この回路を図4に示す。このインターフェースの部品代は3000円以下である。


図4 アナログ入力型インターフェース(音の実験用)

 このAD変換素子はH(5V)とL(0V)の信号からなる8回のクロック信号をパソコンから送る間に、AD変換された8bitのデータを1bitずつパソコンに送り出す構造である。マシン語を使った場合、最高10kHz程度の現象まで取り込める。
 入力はDCで0〜5V、ACで-2.5〜+2.5Vである。音の実験に使う場合には、マイクの後に増幅器をつけAC入力に入れればよい。これを、もっと簡単にするには、増幅器の代わりにウォークマンのマイクと録音時のイアフォン出力を使うとよい。

(1)Basicによる遅い取り込み
 Basicによる取り込みプログラムを、リスト3に示す。 1kHz以下の現象の場合はBasic言語だけで作製できる。音の実験には遅いので余り向かない。520行と540行でTLC548にHとLの制御信号を送り、530行でAD変換された1bitのデータをコンピュータが受け取る。変換されたデータは01100011のような8bitのシリアルデータなので、560行でbitごとの重みを掛けて0〜255のディジタルデータに復元する。またこの際、AD変換素子から送られたシリアルデータは、パソコン側では1と0が逆転しているのでこれを元に戻している(bit反転:550行)

        リスト3
100 REM プリンタAD変換テストプログラム FILE NAME=PTR_ADTS.BAS
400 READPORT=&H42:WRITEPORT=&H40
420 GOSUB *ANALOG
430 GOTO 420
440 '
450 *ANALOG
460 OUT WRITEPORT,&H1   REM AD=OFF:CLK=L AD停止(機能停止)
470 FOR T=1 TO 1000:NEXT
480 OUT WRITEPORT,&H0   REM AD=ON :CLK=L AD準備(AD初期化)
490 FOR T=1 TO 1000:NEXT
500  V=0
510 FOR J=1 TO 8
520 OUT WRITEPORT,&H2   REM AD=ON:CLK=H J回目のクロックH
530 DAT%=INP(READPORT) AND 4  REM  AD変換した(8-J)BITのデータ取り出し
540 OUT WRITEPORT,&H0   REM AD=ON:CLK=L J回目のクロックL
550 DAT%=(DAT% XOR 4)/4  REM BIT反転し右に2BIT移動しBIT0に入れる。
555 PRINT "BIT";: PRINT (8-J);: PRINT" = ";: PRINT DAT%
560 V=V+DAT%*2^(8-J)   REM AD変換後のBITの重みをかけADDATAの復元
570 NEXT J
580 VOLT=5*V/255
590 PRINT "  VOLT=";:PRINT VOLT:PRINT
600 RETURN

(2)C言語による音の取り込み
 音を取り扱うには比較的速い取り込み速度が要求される。人が普段話す声の振動数は1KHz程度であるのでサンプリング速度は数KHzは最低必要である。機械語を使えれば良いが文法が難しい。C言語を使えば、文法がBasicに近くて、ある程度の取り込み速度が出る。C言語による音の取り込みと表示プログラムをリスト4に、表示例を図5に示す。この場合の取り込み速度は5kHz程度である。
 信号の取り込みと表示が行えるならば、コンピュータはメモリースコープとして利用できる。時間とアナログ量の変化が表示できるので、上のディジタル型のセンサを接続して、時間計測をアナログインターフェースでも行うことができる。


図5 「ア」の音の表示


      リスト4
/* プリンタ端子用AD変換サンプルプログラム file name=ptr_san.c
PC9801用 Turbo C ver.2.0用 Medium Model,graphics.lib ON, use pc98*.bgi
シリアル型ADコンバータTLC548/549を用い、プリンタ端子の入力データをAD変換し表示する*/
#include "dos.h"
#include "conio.h"
#include "stdio.h"
#include "math.h"
#include "graphics.h"
#define PRN_in_port 0x42 /*Printer用data入力port busy端子よりAD data得る*/
#define PRN_out_port 0x40 /*printer用data出力ポート AD変換器TLC548制御*/
int wave[513];      /* AD変換後の波形データ格納場所 */
int AD_data[513*8];    /* serial bitデータの格納  512個×8bit分  */
void PrinterAD()     /* プリンタポート1bitによるAD変換を行う  */
{ int i,j;

  printf("何かキーを押すとAD変換します。 \n");getch();
outport(PRN_out_port,0x01);/* ADコンバータの接続を切り初期化 */
outport(PRN_out_port,0x00);/*ADコンバータを接続 */
for(i=0;i<513;i++){   /*512個分のAD変換データを取り込む*/
  for(j=1;j<9;j++){/*8回clockをHとLにしシリアルデータを読み取る*/

outport(PRN_out_port,0x02);/* clock=H */
AD_data[i*8+8-j]=inport(PRN_in_port);/*データ取り込み*/
outport(PRN_out_port,0x00);/* clock=L */
}
}
outport(PRN_out_port,0x01);/* ADCの接続を切る */

for(i=0;i<4105;i++){  /* printerのbusy信号(Addata)の取り出し*/
  AD_data[i]=(AD_data[i] ^ 0xff); /*ビット反転 */
AD_data[i]=( AD_data[i] & 0x04)/0x04;/*ビット2の取り出し*/
  }
for(i=0;i<513;i++){/* シリアル8bitdataを0〜255の値に変換 512データ */
wave[i]=128*AD_data[i*8+7]+64*AD_data[i*8+6]+32*AD_data[i*8+5]
  +16*AD_data[i*8+4]+8*AD_data[i*8+3]+4*AD_data[i*8+2]
+2*AD_data[i*8+1]+AD_data[i*8+0];
}
}

DrawWave()       /* 波形表示のプログラム  */
{ int i,Gd,Gm;
int X0=80,Y0=200+128;     /* X座標原点 */

detectgraph(&Gd,&Gm);       /* 最適ドライバーを探す*/
  initgraph(&Gd,&Gm,"");         /* ドライバーセット*/
cleardevice();   /* グラフ初期化*/
setcolor(LIGHTGRAY);setbkcolor(LIGHTBLUE);
rectangle(X0,Y0,X0+512,Y0-256);  /* グラフの枠を引く*/
for(i=0;i<512;i++){
  line(X0+i,Y0-wave[i],X0+(i+1),Y0-wave[i+1]);/*波形を描く*/
}
printf("波形の表示 何かキーを押すと終了 \n"); getch();
closegraph();  /*グラフ終了 */
}
void main()  /* メインプログラム */
{
  PrinterAD();
DrawWave();
}

参考文献など

1)マウス、プリンタ、RS232C端子などを用いた安価で手軽なパソコン計測について、
  北村俊樹、橋詰正治:物理教育学会誌 vol.40-3(1992)p.180
       「コンピュータを利用した簡単で安価な物理実験」
2)ADコンバータ素子TLC549の入手先は 
  中村理科工業(tel03-3833-0741) 1000円程度
3)音の取り込みはできないが1KHz以下の安価なAD変換器としてRS232C端子を使ったものにパピーのAD232がある。これは2万円ほどである。
 また、CASEのすべての機能をそろえ、プリンタ端子につないで音の実験もできる高速型のインターフェースは、(株)マリスより「音の分析・合成ボード」 CASE-PRN01として商品化されている。
(高校理振対象品「実験測定処理周辺装置」 マリス25-5111 価格40,000円)
両者とも取り扱い先は、
  (株)マリス(旧東京前川科学)(TEL 3252-0691)である。
4)CASE実験ソフト「音知」「振駆郎」で上記のTLC548/549AD変換器の場合は、AD変換器の機種設定を、「大阪マイコン部タイプ」あるいは「音の分析・合成ボード」にする。


*注:他機種のプリンタ端子を使う場合は、同じインターフェースがそのまま接続できる。しかし、ソフトウェアは、機種に合わせてプリンタのポート番地と、busy端子の読みだし用bitの値を変更する必要がある。







「物理におけるコンピュータの使い方」

(三省堂 高校物理教科書「詳説物理TB」教師用指導書より)
1993.10 北村俊樹



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 新指導要領でコンピュータを使った物理教育の導入が計られている。導入の望ましい姿について簡単に述べる。
 コンピュータを導入すれば、従来のほとんどの分野の内容を網羅できる。しかし、従来の実験法や説明法などに利点がある場合、わざわざ置き換えてまでやるべきではない。逆に、コンピュータを利用することで、初めて可能になったり、理解が進むのならば、導入すべきである。
 導入の際は、時間的な配分も考慮しなければならない。使う回数が少ない場合は目新しさも手伝って学習効果が上がる場合が多いが、多くなると生徒もなれてきてしまう。またあまりに使う回数が多くて、実験や教師の説明よりも多くなってしまっては、考えものである。

1.シミュレーション

 動きが速すぎたり遅すぎたりして観察できない現象、実験が危険で行えないもの、小さすぎて観察できない現象についてはシミュレーションは有効である。また波動など、動的な変化をともなう現象についても有効である。しかし、簡単に演示実験や生徒実験ができるものを、わざわざシミュレーションに置き換えてまでやるべきではない。
 シミュレーションを行う場合は、いつ行うかも大切である。導入に用いるのか、応用に用いるのか、またはまとめや理解の定着に用いるのか。それぞれ使うプログラムが異なってくる。また、学習の際に他の実験や、説明をどうとりいれるか。1時間コンピュータを使って授業をやるのか、それとも5分程度にするのか。学習の際にワークシートに記入すると効果的であるが、これはどうするのか。
 また、生徒自らがプログラミングをすれば、現象に対する理解が深まるが、限られた授業時間の中で、物理ではないプログラム指導をどのようにするか。これが、課題研究やクラブ指導になると、大いに導入すべき場面もある。
 シミュレーションのプログラムでも、他の教材と同様、指導する教師が、自分の指導方針にあったものを自らが作るのが一番良い。しかし、どの物理教師もプログラムができるとは限らないし、その時間がとれることも少ない。その場合には、良く吟味された市販のソフトを使用することも考えられる。例えば、以下のものが考えられる。

平田邦男 「新BASICによる物理」 1988 共立出版
平田邦男 「Turbo Cによる科学技術計算入門」 1989 共立出版 
吉沢純夫 「パソコンで見る物理シミュレーション」 1989 森北出版

2.データ処理

 記録タイマーを使う実験では、記録テープから、速度、加速度を計算し、さらにグラフ化する。この作業は一度は生徒が必ず行わなくてはならないが、方法を理解し取得した後では退屈な作業となる。このデータ処理部分をコンピュータに行わせ、あいた時間を考えることに当てるのは有効であり教育的である。
 コンピュータを使って、条件を変えて行った大量のデータを処理したり、得られたデータを2乗、1/2乗等に加工してグラフ化したり、最小2乗法でグラフを描かせたり、2つの量の相関関係を調べることが考えられる。
 その際には、LOTUS1-2-3などの市販ソフトにマクロを組んで生徒が使いやすくしたり、教師が特定の実験に合わせて入力用のソフトを作る必要がある。汎用ソフトを習得させるのは実験のデータ処理の目的から外れる。
 あくまでも、コンピュータはデータ処理のための道具にすぎないことを忘れてはならない。そのためには、電卓のように簡単に使える道具でなければならない。また、得られた結果については、生徒が自ら考えさせる工夫をしなければならない。

3.物理計測

 センサとインターフェースを使って信号の有無やアナログ量を取り込み、パソコンでデータ処理を行ってグラフ表示をする。短い時間内の変化量の記録、長時間の計測、大量のデータ処理などの利点がある。
 従来の様々な測定器を使った実験が、センサの交換で1台のパソコンで安価に簡単に実現することも可能である。この場合はパソコンが汎用測定器となる。光電スイッチ型センサなどは比較的自作しやすいしまた市販品も安いので、従来の単目的で高価な測定器の一部がパソコン計測に変わっていくと考えられる。
 また、従来できなかった実験がコンピュータの使用で可能になる。たとえば、取り込んだ音を倍音に分解したり音声を合成する、 超音波センサーによるリアルタイム位置・速度・加速度を測定する、実際の運動をVTRから取り込み重心の運動を表示する、シンチレータからのデータを処理し放射線のエネルギースペクトルを求めるなどは、コンピュータ利用により高校レベルでも利用できるようになった。
 しかし、測定の原理がブラックボックス化しやすいこと、高校教師が自作し実験するにはハードとソフトの広範な知識が必要であり市販品以外は実験しにくいこと、などの欠点もある。一方、超電導体を焼く炉の制御に高校のクラブが取り組んだなど、クラブ指導や課題研究において実験のための有効な道具ともなりえる。
 パソコン計測についても、どの場面で、どんなパソコンを使った実験法を採用するのかを常に吟味していかねばならない。

4.CAIについて

 物理を学ばせる上で、実験は切り放すことができない。CAIやシミュレーションにおいてもこのことは忘れてはならない。しかし、単なるドリルまたはページめくり型のCAIではなく、学ぶ者の物理上の概念の形成に考慮したり、学習者が陥り易い間違いに注意をくだいて作製したCAIは有効であろう。このことはCAIのみならず、授業の方法、実験方法、配るプリントなど教師や生徒の活動全般にも当然あてはまる。
 使い方としては、初めて学習する際よりも、学習のまとめや、補習に使うほうが有効である場合が多い。また、他人の作った1連の長いCAIを利用すると、細かい部分で自分の教え方と異なり、使いにくい場合が多い。しかし、自分で作るには、時間が膨大にかかる。授業で使うにはやはり自分で作るか、他人のものを手直しして使う必要がある。一方、場面によってはシミュレーションなどと同様に、項目を特定の物に絞った短いCAIを利用するのも有効である。


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