Oct.26. '96   (c)1994-96 桐谷育雄

第75章 正規NIKEの二級品を買うのは?


 やはり、NIKEブームはすごいようです。NIKEの話題になってから、ホームページアクセスと、購読申し込みが激増しました。
 今回も、NIKEの話題ですが、より広く工場物を扱います。

 様々なE-Mailが殺到しました。安い場所を教えて欲しいというものや、励ましのお便り、NIKE談義……。中には、とても大切な問題についての質問もいくつかありました。ファクトリーバーゲン品を買う姿勢について僕自身も考え続けてきた問題で、NIKEだけではなく、全てのブランドに関係するので、今回は、このテーマについて考えてみようと思います。

 問題は、メーカーが正規店で販売する商品と、正規品と同じ工場で作られてもファクトリー・バーゲン関連で売られている商品との違いについてです。
 まず、ファクトリー・バーゲンは、二級品が多いのですが、余剰生産品の場合も多く、正規店で販売する品質と同じ場合が多いと思います。夏に僕が入手したAIR MAXは、その好例だと思います。

 偽物は、こういった正規工場で作ったものとは、全く違います。偽物は、なんとか本物に似せて作ろうとしたものであって、パーツも似せて作ったものですし、パーツを作る型も、正規のものではありません。何より、履き心地、使い勝手が違います。
 話は脱線しますが、他メーカーの製品を、一流メーカーが真似て作る場合も多いと思いますが、消費者の要望もあって取り入れられた機能も、使いやすさ、使い勝手までは真似られず、外観は同じになっても、似て非なるものである場合も多いですね。

 次に、ファクトリー・バーゲン品も、正規店で正規販売している物ではないから偽物の一種だという考え方もあると思います。正規店で販売する、厳しい検査を通過して合格した商品とくらべれば、ファクトリー・バーゲン品は、検品の印やサインがない場合がほとんどですから、確かに、厳しく考えればその通りですし、製造メーカーの立場からすれば、そのような考えになるのは、もっともです。
 僕自身十年以上ファクトリー・バーゲンと付き合う間、この問題では悩み続けてきました。自分は、偽物を買う人と同じ罪を犯しているのではないかと苦しみました。

 最近では、自分なりに納得できる考え方がかたまって、以下のように判断しています。
 世界には、様々なブランドがあって、中には、自分達の製品に最高のプライドを持って、自分達の基準に満たない製品は、すべて裁断・処分してしまい、二級品そのものが存在しないブランドがあります。
 地球環境を考えれば、製造失敗品も、二級品として販売した方が望ましいのですが、このような頑固なブランドを、僕は限りなく最大級に尊敬します。そのような生き方を選ぶ厳しい製造の姿は、完璧を目指す人生の模範であり、そのブランドを使うたびに深い敬意を感じます。ほとんどの場合、そのような会社では、工場は本国の故郷の地域にのみあり、長年働いてきた職人さんたちが、誇り高く作り続けています。

 現代の多くの企業では、他の企業にこちらのブランドで製造した商品の供給を依頼する、いわゆるOEMが盛んですし、より人件費の安い地域を求めて、工場を移動し、いわゆる産業空洞化をまねいています。第三諸国で製造することは、一見本国の経済発展のためになり、素晴らしいことのように見えますが、僕の考えでは経済侵略の一つです。昔、奴隷売買が当時の価値観では間違いではなかったように、今、正当な経済活動とされていることも、対等な交易についての考えが進めば、侵略であると考えられるようになると思います。
 本国では、それだけの経済的価値があるものについて、製造国では対等な金額が支払われていませんし、昔の不平等条約のような契約も結ばれています。企業が世界で競争していく為の選択肢の一つなのでしょうが、他には真似が出来ない物を作り続けて高くても売れているブランドも存在するので、唯一の生き残りの道ではありません。

 企業は製造過程での歩留まりも定価の計算に入れています。つまり、二級品の分の金額も、僕たちは正規品を買う時に支払っている訳です。ところが支払い済みの二級品も金額が安いとはいえ、直営店で売るならば、二重にお金を受け取ることになってしまいます。
 そこで、直営のファクトリー・アウトレットで二級品を販売する企業ならば、ファクトリー・バーゲンに流れる物を使うことも罪ではなくなると思うのです。その場合、僕は条件をつけていて、現地の庶民の生活にとってプラスにならないようなファクトリーバーゲンには、手を出さないようにしています。この問題は、そのうち"Kirium"で扱います。

 という訳で、今回のNIKEの場合は、安心して買うことが出来たのですが、写真を送ってあげようとして連絡したら、なんと早くも圧力がかかってきたそうです(NIKEブローカーの動きも始まったとか)。この国ではairmax97は、来年もう買えないか、高くなっているかもしれませんね。

  今回は、お便り紹介コーナーは、お休みして、 いよいよ、香港ガイドブックを始めます。
 以前から予告していた、香港ガイドブックの連載を、いよいよ始めようと思います。このお正月に、四泊五日のわがまま個人旅行を手配してあげた時に、作ったシナリオが、旅行中止でお蔵入りしてしまっていたのですが、よく考えてみると、これは、僕独自の情報から出来た香港ガイドブックでした。

 ホームページ上で、週に一回を目標に連載して、最終的には旅行を思いついてから日本に帰国するまでの初心者向けマニュアルで、上級者もしらない情報満載のガイドブックにします。タイトルは、「香港街道指南」という地図帳をもじって、「香港探検指南」(仮題)としましたが、何かよいタイトルがあったら、教えてください。
 この『旅のTips & Tricks』Wired!版は、ホームページ版と同時進行で、改訂の速報をお伝えしますが、『旅のTips & Tricks』同様、両者は全く同じではないので、両方の版の購読をお薦めします。
 ホームページ版は十一月にお読み下さい。

 さて、着陸後入国審査までにしなければならないことを一つ紹介します。ぶらさがっている香港観光協会のB5サイズの紙袋を取って下さい。春までは、ビニール袋に入って、入国審査後の所に置いてあったのですが、夏から今のようになりました。
 中身は、週刊の香港情報誌や公式ガイドなどですが、もちろん、町中でも入手することが出来ます。ここでしか入手できないものは、様々なクーポン。
 日本語版には、DFS(香港の免税店風のデパート。昔は、Duty Free Shoppersと名乗っていました。)のクーポンが入っています。何かを買えば、ニナリッチのミニ・コロンが貰えます。五千円分買えば、チョコレート・ボックスが貰えるクーポンは、香港公式マップの最終ページについています。二万円分買えば、ピエール・カルダンの3600円のメイクアップ・キットが貰えて、五万六千円分買えば、何とHK$600の金券が貰えてしまいます。
 実は、英語版と中文版もあって、僕は英語版をいくつか貰うことにしています。何と、英語版だけのクーポンの中には、アメリカ製やイギリス製のCDやLDを世界一安く買うことの出来る、クーポンが入っているのです。次回は、この話を。

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