旅の Tips & Tricks 第072章
Sep.12. '96   (c)1994-96 桐谷育雄

第72章 Milletのザックは、ベトナム工場から


 これまでの歴史について充分扱ったわけではありませんが、詳しくは次のチャンスにまわして、今回からは、いよいよ現在の工場流れ品を買うべき地域を紹介しようと思います。
 僕の考えでは、工場流れの法則は、常に、新興工業国を追え、です。その国の労働賃金が高くなったら、企業はつぎの安い国に移動することしか考えていません。今、世界中の投資を最も集めている国は、もちろん、ベトナムです。

 ベトナムは、今どんどん変わっています。今なお、人々のやさしい笑顔に接することの出来る国ですが、ベトナムを旅した人なら、五行山のおばさんたちのような、逃れるのが難しい物売りに一度は会ったことがあることでしょう。

 一番の原因は、ドイモイ政策ですね。経済活動を活性化した特効薬は、同時に人々に、お金を基準として人生を生きることを示したのだと思います。よく言われることですが、学校に行かない子どもたちが生まれました。親たちも、子どもを働かせた方が儲かるので、物売りの子どもが、うんと増えました。もちろん、ストリートチルドレンの問題も大きくなりました。

 先進国の多くの企業が、乗り遅れるなと、競って投資しようと、現地法人を設立しています。訪れるたびに、急激に変わる姿を見せる国です。アメリカさえ関係修復をしたわけで、昔から深い因縁のある国など、深く深く浸透しています。

 もちろん、筆頭はフランス。もう二十年以上も昔のことですが、フランス語を勉強したときに、多くのテキストに、ベトナム人と間違えられて、日本人ですよと答えるスキットがありました。日本人観光客が多いのに、まさかと思ったのですが、実際にフランスに出かけてみて、僕も何度もベトナム人と間違えられました。

 かつての植民地支配国のフランス語は、今でも多く使われています。英語が出来る人もどんどん増えていますが、複雑な話は、フランス語の方が、正確な返事が帰ってきます。もしかすると、対価格おいしさグラフでは、フランスをしのぎそうな、あのフランスパンの味に象徴されるように、フランスとベトナムの結びつきは、『インドシナ』で描かれたような、深い深い因縁があるようです。

 やはり二十年以上昔の話ですが、僕たちバックパッカーのあこがれはMilletのアタック・ザックでした。とてもお金がなくて、日本製のオリジナルものを使っていても、いつかは……と心に決めていたものです。その人の体型にだんだんなじんできて、重い荷物を重く感じさせない仕組みは、様々な会社に真似をされたものです(Macの「ゴミ箱」等が、Windows95で数多く真似されたように)。

 今や、登山の中心をなす中高年登山愛好家の背中もMilletです。ここ数年、容量の小さな構造がシンプルなMilletはベトナム製造が増えてきました。丁寧な作りは、フランス製と比べても遜色ありません。昔はフランスの倍くらいで売っていた日本の登山用具店でも、最近、少しずつ安く売るようになりましたが、送料や関税や必要経費を考えても、まだまだ高いと思います。

 ホーチミンに数多くあるリュック屋さんでは、ノーブランドものにまじって、品質の高いベトナム製Milletが売られています。正直なお店では、表示以上の値引きはききませんが、日本のディスカウント山岳店の、ほぼ半額、フランスで免税で買う金額の三割引、といったところでしょうか。

 さて、買うときの注意ですが、リュックの命は背負いやすさです。出来れば、重りをつめて背負って、少し歩いてみることです(お店の人が、重りとつめものを詰めてくれます)。如何にリーズナブルな料金で売られているかに感動するためにも、日本での価格調査を忘れないようにしましょう。今では本体に名前が刺繍されていますから、見分けは簡単。どのモデルをベトナムで売っているかは、日本のお店で、本体の裏側の製造国表示を見ればすぐにわかります。

 ちなみに、僕は、約80万ドン(約八千円)で、TREK 55を自転車通勤用にGETしました。一泊二日の山にも使えて、テント、シュラフ、調理具、防寒具、Newton、お酒がらくらく入ります。


 前から、お知らせしたように、お便り紹介コーナーを復活させます。コメント、感想などの紹介の他に、質問への解答も扱う予定です。是非、どしどし、お便りを下さい。

「最近、送られてこないのでてっきりリストからはずれているものと思っていました。▼盆休みにアメリカ、メキシコに行っていたのでまたメールを書きます。」(Kokichi Katoさんから)

 アメリカとメキシコなんて、いいですね。僕も時々西海岸からメキシコへ行くことがあって、だんだん南下して、メキシコらしくなっていくのは、うれしいものです。メキシコ料理が大好物なので、僕も行きたくなりました。是非、旅の様子とか、お知らせ下さい。ご自身のURLの紹介も大歓迎。「お便り紹介!」からリンクします。

 突然送られなくなったら、それは、何らかのトラブルです。僕自身がリストから削除するのは、購読取りやめの連絡を戴いた時だけです。

 前回の送信時も、トラブルが発生したようで、配信されなかった方が複数出ました。請求して下されば、マニュアル配信しますので、お知らせください。

 「ところで、[第072章 今が旬! NIKEを買うならこの国で]の掲載を心待ちにしているのですが、まだなのでしょうか? [第071章 常に移ろふFactory Bargains]は、先生が実際にリーボックのスニーカーを高校の中で履いていた時代(つまりは僕の高校時代)を知っている自分にとって、とても納得しながら読むことが出来ました。先生が、「僕が買ってくるリーボックのスニーカーは数千円なんだよ。」と口癖のように言っていた頃が懐かしく感じられます。そのからくりを当時も聞いた記憶がありますが、断片的にしか知ることが出来ず、今回の連載ではじめて、その背景を知ることが出来ました。今はとにかく第072章が早く読みたい!!との思いで、ネットスケープを立ちあげるとすぐに先生のホームページをのぞいているのですが、掲載の予定はいつなのでしょうか?近日中の掲載を心より熱望しています。」(卒業生の笹敏くんから)

 本当は、今回がNIKEを$30でGETする方法を紹介する章のはずでしたが、間に一回Milletの話をはさむことにしました。詳しくは、次回に書くつもりですが、最近のNIKEブームは、やはり異常で、高校などでも、NIKEの盗難が相次いでいます。NIKEブローカーたちが、世界中から、「エコノミック・アニマル」のように買い集める様子も異常です。

 どこまで詳しく書くかで、悩んでいました。現地の人々にとって、一番よい紹介をするつもりですが、単なる紹介ではなく、自分なりの哲学も書きたいので、たぶん、二回連続になると思います。雑誌に広告を載せているNIKEブローカーたちに対抗して、適切な価格で販売される環境を作るために、いよいよ、このホームページも、大々的に告知しようかなあとも思っています。本当は安いんだということを知って欲しいと思うのです。

 卒業生からのメールは、本当にうれしくて、続けていく励みになります。共に過ごした三年間が、その瞬間に一気に甦って、教師冥利に尽きる一瞬です。ましてや笹くんのように、十年来の付き合いともなると、人生のパートナーのようなもの。期待に沿うことが出来るような、「073章」にしなくては! ただし、情報は、段階的な公開になるかもしれません。

 ホームページを更新するときに、カウンターが増えていると、やはりうれしい気持ちになります。まだ僕の連載の読者以外には、URLを公開していないので、読者の人たちがアクセスしてくれていると思うと、本当にうれしくなります。

 次号は、いよいよ、NIKEを安く入手する方法の紹介です。同時に、香港返還までの間、僕だけの香港の秘術を紹介するミニ・コーナーを始めるつもりです。ガイドブックやニューズ・グループでもわからない、すごいワザも紹介します!

What's New Kirium Wired! Home Books Music about us Back

旅の Tips & Tricks の目次へ戻る


ご意見やご感想はkirium@pisces.bekkoame.or.jpへどうぞ
* * * * * *
Presented by Ikuo Kiriya

(c)1994-6 桐谷育雄 All Rights Reserved.

<