旅の Tips & Tricks 第69章
Aug.24.'96   (c)1994-96 桐谷育雄

第69章 時差ボケ対策番外編:MELATONIN


 夏休み。例によって、何度も何度も飛行機に乗りながら世界を飛び回っています。一筆書きの世界一周ですめばよいのですが、逆行することもあって、大西洋を何度も往復することや、予定外の突然の香港十八時間滞在の為の往復とかあったりして、体内時計は狂いっぱなしでした。

 前から予告してあった、時差ボケ対策の番外編として、そんな時の僕の特効薬を紹介してみようと思います。


 もうかなり前のことですが、この連載で、時差ボケの対策について扱いました(第58章「時差ボケ:概略」、第59章「出国の前に」、第60章「機内にて」、第61章「入国の後に」、第62章「滞在の充実」)。その時、最後まで迷っていて、誰かから紹介されたら触れようと思っていて結局最後まで誰にも指摘されずに、ほっとして扱わずにすんだのが、メラトニンです。

 いつか、旅の薬についての章で扱うつもりですが、薬には本当に注意しなければならないと思っています。熱や頭痛の薬などは、その国のものが、とてもよく効くので、現地調達を原則にしていて、医療が充分発展していない国では、輸入した薬が多く、有効期限に気をつけるのですが、もう一つ、他の国では使われなくなった成分や、禁止されている成分を使う薬ではないかも心配になります(関連する話ですが、Lonely Planetの"Cambodia a travel survival kit"に、"... so for serious ailments the best advice is to get on a plane and head for Bangkok."と書いてあって、初めてカンボジアに行くときは、びくびくしたものです。)。

 新しい薬も、その段階では安全と言われていても、後になって問題点が見つかることがありますし、日本のような薬害大国に暮らしていると心配になり、この連載が安全第一を目指していることもあって、メラトニンも、完全に安全であることが示されるまで、扱わないつもりでしたが、最近の世界的なブームの中で、扱わないのも不自然なので、今回番外編として扱うことにしました。もちろん、Tips & Tricksが服用を推奨するわけではないのは、言うまでもありません。

 去年の夏休みにUAの機内で読んだ"Newsweek"に、メラトニンの様々な効能の一つとして、時差ボケ、"Jet Lag"が挙げられていました。癌が治るとか、寿命が延びるとか、様々な効能も記されていて、一応無害と書いてあったので、自分用に買って帰って、人体実験が始まりました。

 十一月には、なんと"Newsweek"のカバー・ストーリーにもなりました。ただ、その時に気になったのは、まだテストが継続中であり、もっと様々な効能が見つかるだろうという表現から、逆に、まだ充分なテストが行われてきたわけじゃないんだという印象も持ちました。

 今手元にあるペパーミント風味のビタミンB-6入りのメラトニンの注意書きを読むと、眠る前にだけ飲むことの他に、子ども、ティーンエージャー、妊婦、授乳する女性は飲んではならないとあります(その他にも、いくつかの病気の人は飲んではいけません)。

 価格も充分安く、2.5mgのメラトニンと0.5mgのビタミンB-6の3mgの錠剤が60粒入ってUS$5.99からUS$9.99位です。入手先は、アメリカが一番で、いろいろな製薬会社のものがあって、ビタミンの置いてあるスーパーマーケットなら、どこでも置いてありますし、空港の売店にも置いてあります。この春、UAの機内誌には、ある会社のものの割引クーポンつきの広告がついていて、少しでも安いならと思って、そのブランドを探したのですが、他のものが安く売られていて、結局、安い方を買ってしまいました。

 最近では、アメリカ以外の様々な国で、アメリカ製のメラトニンが売られていて、自然食品ショップやビタミンショップで、見かけることが多くなってきました。日本では、まだ見かけたことがないのですが、僕が歩き回らないだけかもしれません。そのかわり、個人輸入代行や、アメリカからの、日本語で出来る個人輸入は増えてきました。薬ということで、そのような形をとっているのでしょうか。ただし、送料の他に、三倍以上の定価をつけているものもあるので、要注意

 さて、飲み方ですが、3mgのものはかなり強力なので、より少ないものがあれば、そちらから始めた方がよいと思います。ちなみに、僕は0.5mgのものから飲み始めました

 まず、口に含んで、舌の下に錠剤を置いて、溶けている間に、一ヶ所だけで溶かさないように、場所を変えながら味わいます。なぜ、舌の下なのかはわかりませんが、Horizon National Productsの容器に書いてあったので、以後それに従っています。分量が少ない場合には、この注意書きはないので、そのまま水と一緒に飲み込んでいます。

 僕自身は、メラトニンのおかげで、アメリカやヨーロッパの旅が、とても楽になりました。特にアメリカで、夜眠れないときに、眠りやすくなったように思います。副作用もないことになっていますが、実際には、悪い夢を見たり、翌朝起きにくかったり、頭痛やめまい等の話も聞きます。僕は、そんなに副作用はないのですが、まだ、使い初めて一年なので、もう少し、使い続けてデータを集めなくてはなりません。みなさんで、使ってらっしゃる方は、是非様子を教えて下さい。

 今後は、出来れば、全く何の成分もない錠剤を使って、目隠しテストもする必要があると思います。僕の場合は、薬に関しては、暗示にかかりやすいタイプなので、そういう働きがあると思うだけで、すぐに寝付いてしまうので。

 最後に、日本での評価について紹介します。健康についての雑誌には毎号のように、癌、心臓病、白内障に効き目があると書いてありますが、健康雑誌では、これまでも、様々な薬や食べ物が、ブームになると大々的に扱われてきたので、どこまで効果があるのかは、わかりません。ある記事では不老長寿の薬として、大袈裟に扱っていました。

 "Newsweek"の他に記憶があるのは、『日経Trendy』、『週刊文春』です。『日経Trendy』は、かなり落ち着いた扱い方で、新しいブームとして解説を加えていて、好感が持てました。この報道が、Tips & Tricksで扱っても大丈夫かなと思うようになった、大きなきっかけです。

 インターネットでも、95年のメラトニンブームが実感できました。"melatonin"で検索すると、たくさんのホームページがヒットします。驚いたことに、メラトニンについてのニューズグループまであるのです。様々な疑問点についての解答も集まり、熱心な議論が続いているそうです。

 もちろんメラトニンについてのFAQ(Frequently Asked Questions)もあって、これを読めば、メラトニン評論家になることが出来そうです。

 もしも、時差ボケが激しい地域で、どうしても眠らなければならないときには、試してみてもいいのかもしれません。僕も、もうしばらく、安全性と人体への影響について実験を続けてみるつもりです。


 夏休みの出国前は、体調を崩したり、たまった仕事を片付けたり、例によって、地獄の日々でした。出国後も、寝不足のせいで、風邪をひいてしまい、発熱の様子に、マラリアではないかと心配になりました(今年は西行きで出発したのです。)。まだ鼻がおかしくて、せっかくの御馳走の味もわかりにくいのですが、少し元気になりました。

 今回からは、旅先で書いているので、帰国するまで、「おたより紹介」はお休みしようと思います。通信費の節約の為に、九月までは、緊急最重要E-Mailアドレスだけにアクセスしているのです。九月には読みますので、どうか、何か感想があったら、これまで通り、E-Mailを下さい。

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