2000年12月03日(日)

若い人への手紙:本物 その3「情報を捨てる」



情報源

 一回分で書くのは難しいのですが、情報の取捨選択は、その人が、それまでに蓄えてきた、直接情報の質と量が問われることになります。

 今の若い人には想像も出来ないことですが、四半世紀以上前、オイルショックの時に、トイレットペーパーや、様々なものが買い占められましたが、何と、塩まで、主婦によって買い占められました。海に囲まれた日本列島で塩がなくなっても、すぐに生産が出来ることに思い至らなかったためでしょう。正確な知識があれば、情報に振り回されることは、少なくなるはずです。

 関東大震災の時の、朝鮮人虐殺の場合も、事実無根のデマを信じた人々によって大惨事が生まれました。「朝鮮人が攻めて来るぞ」、「朝鮮人が水道に毒を入れているぞ」というデマが流れても、日頃から朝鮮人差別に加担しなかった人なら、すぐに見破ることが出来るデマなのに、それを信じてしまった人は、そんなことをされても当然だと思えるような行いをしてきたのでしょう。

 今は書きませんが、現代の情報の中には、TV番組や新聞の報道写真など、一般の方が客観的事実であると当然視しているものも含めて、修正や合成がされているものも増えてきました。このような時代には、情報の送り手が、どのような方法で情報を操作し提供しているかに関する深い知識と洞察が必要になります。また、マスコミに頼らない直接の情報を質量ともに豊かに持っている必要があります。



 フィルターを見抜く

 たぶん、「情報に振り回される」とき、その「情報」と言うのは、直接信頼できる誰かから得た情報ではなく、不特定多数を相手にした、TVや新聞やインターネットなどの情報のことを言うのでしょう。そんな情報は、必ず何らかのフィルターを通ることによって、生の形ではないものになっています。

 典型的な例を三年前のApple Computerに見出すことが出来ます。マスコミは、倒産するとか、買収されるとか、言いたい放題で、中にはマイクロソフトに買収されたと信じている人もいました。ところが現実には、現金保有率の高さ、無駄な部分が多くとも、Mac OSという消費者に愛される財産を持つ企業なので、株が15ドルを割る水準だったのにもかかわらず、正当な評価を得るようになったのは、まだ記憶に新しいことですね。(残念ながら、この前の四半期は売り上げが低かったので、また16ドル台まで株価が下がっていて、また、Apple株購入のための絶好のチャンスになってきました。職場のMacを愛する友だちは、もう購入したよとE-Mailで知らせてくれました! 僕はクリスマス休暇に底値で購入する計画です。)

 もちろん、僕は、インターネットを通じてリアルタイムで得た直接情報をもとに、Appleの復活を当然視していたことは、言うまでもないことでしょう。

 むしろ、今のように、人々が「情報に振り回される」時は、正確な情報を蓄積する人にとっては、大きなチャンスです。世界の出来事は、何が起こるかわかりませんが、歴史と現代の様々な分野について正確に学び続けて育まれた世界観は、その人が人生で接する様々な情報の真贋を、簡単に見抜くことが出来るでしょう(多くの場合、情報を大切にしようとすると、それは蓄積することではなく、いかにして情報の多くを捨てるかということが重要になります。)。その意味で、人生をよりよく生きることは、人生を通じて生涯学び続ける喜びを意味します。

 まだ、書きたいことは、あまりに多いのですが、今回は、これくらいに。これからも、このような企画を続けていきたいと思います。もしも、何か、桐谷からの回答を知りたいなあと思うテーマがある方は、遠慮なくE-Mailで質問して下さい。直接返信で答えますが、もしも長文でも読みたいときは、このような形で「人生論メモ」の一部として、書きます。

 今日の画像も、香嵐渓の、ずっと毎年狙っている、苔と紅葉と灯りの画像です。実は、この週末は鼻と喉を痛めて、風邪に苦しんでいて、更新作業が遅れました。みなさんも、お大事に。



前回12/02 「若い人への手紙:本物を求めて その2 『本物を決定』」を読む
12/01 「若い人への手紙:本物を求めて その1 『何が本物か』」を読む
11/30 「処刑……。」を読む
11/29 「掃除」を読む
11/28 「若い人への手紙」を読む
11/27 「PCBその後」を読む
11/26 「いよいよBSデジタル」を読む
次回12/4「次は33年後」を読む
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