2000年11月13日(月)

老いての幸せ



老いること

 年を重ねること、つまりエージングについては、"What's New"では何度も扱ってきました。その中で、基本的には、老いていくことは幸福なのだというのが、僕の幸福観です。

 この日は、通学途上の公園で、老夫婦を見かけました。小春日和(時期的にはそうなのですが、今の気候では、その言葉がしっくりくる寒さがないのが残念。)の朝、公園のベンチに腰をかけて、おじいさんが、鳩に餌をまいていました。二人の様子や物腰から、長年連れ添ってきた夫婦かなと思ったのですが、二人は、この直後、一緒に立ち上がると、自宅の方に帰っていきました。もちろん、しっかりとした歩き方ではありませんでしたが、二人で支え合って生きている感じが滲み出ていて、ああ、これが、老いる幸福なのかなと思ったのです。

 人間は、どんなに若くても、老いることから逃れることはできません。たぶん、外観の部分に、自分にとって望ましいとは思えない変化が生まれて、ショックを感じることがあるのだろうし、かつては出来たことが、こんなに簡単に出来なくなって、ショックを感じるのでしょう。

 今でも、思い出すのは、高校時代に、先輩が、自分の体が部を引退してからなまってしまって、老化が始まっていると嘆いていたことです。決して大げさではなく、まさにその通りであって、本人が気がついているかどうかだけの問題ですね。大学の時に、上級生が、中年太りを嘆いていましたが、それも、その通りでした。毎日働き続ける生活を続けて、今にして思えば、ものすごい運動量だったので、太ってはいませんでしたが、自分の基準の中では、ちょっと、ぶざまになってしまったと思う体型になっていました。

 今、自分がそこそこに年をとって、保護者の方と、そんなに変わらない年になってきて、年輪を重ねる素晴らしさをつくづく感じています。敏感で、早熟な人間のつもりでしたが、やはり、年を重ねて醗酵させないと生まれないものは、否定できません。

 人生で、様々なことをたくさん経験することについては、若い頃から目指してきたので、普通の旅が好きな方の十倍以上の旅をしてきましたし、普通の読書好きの方の十倍以上の本を読んできましたし、映画好き、舞台好き、酒好き、食べ物好き、様々な部分で、うんとすごい経験をしてきたように思います。それなりに、量だけではなく、深みも十分深く味わってきましたが、人生で大切なことは、そんなものではありませんね。たぶん、年を重ねて生まれる魂そのものが重要なのでしょう。最近、その魂の呼び声が本当に、大きく強くなってきました。呼び声にしたがって、これからの人生を生きていこうと強く決意しています。



索引の続きの逆引きの話

 昨日書かなかったこと。もう四半世紀も前のことですが、英語の単語を逆引きで並べた辞書に出会いました。高かったけれど、語彙力を高めるために便利だったので、奮発して購入しました。

 使い道は、語尾が同じになっている単語を簡単に検索すること、英語の詩を書くときに、韻を踏む単語を簡単に見つけること、言葉遊び、等でした。実際便利で、塾の先生や家庭教師をしながら、新しい単語が出た時に、このパターンと同じ単語には、こんなものがあるから、一緒に覚えておこうねと、活用したものです。

 当時は、まだ大型電子計算機しかなかった時代で、そのうち、数年して、自分が「マイコン」の次に、「パーソナル・コンピュータ」を使うように出来るようになってからは、自分のデータベースを自由に検索できるようになって、言葉の勉強は飛躍的に進歩しました。それから間もなく、Macの世界でいち早くCD-ROMが普及すると、膨大な電子辞書が生まれて、ますます多様な活用が出来るようになって、今では、PowerBookに辞書ファイルをたくさん記憶させて、暗記から解放されたように思います。

 最近、強く思うのですが、その時に意味があって便利なものが、技術が進歩すると、ちょっと意味のないものや、あまりに時代遅れなものになってしまうことがありますが、今度は、逆に、人類が今の生活を続けた結果、一時的にしろ、電気を失った時に、時代遅れの逆引き辞典が逆に、意味を持つものになって、書庫の奥から復活するのかもしれません。

 さて、うれしいことを一つ。いよいよ森の退陣もカウントダウンが始まりました。でも、残念なことは、世間の人々の多くは、小渕も森も、次期総理も、全て、同じ穴の狢であることに、気がついていないことです。確かに、森はあまりに失言が多すぎるけれど、小渕の時代に成立した悪法の数は、森時代よりも更に多く、将来、奇跡的に日本が民主的な国家になった時に、暗黒時代の始まりとして位置づけられることでしょう。



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