2000年8月14日(月)

竹林は風に語りかけながら



散歩の楽しみ

 昔から、散歩は本当に大好きでした。幼少時の僕の特性の一つとして、誰もが指摘したのは、風のように、すぐどこかに行ってしまうというものです。

 さっきまで、ここで遊んでいて、何かをしていたかと思うと、はっと気がついた時には、もう、他の遠くで、他のことをしていたと、よく言われました。もちろん、自分では記憶はないのですが、それなりの思い当たるのは、風の声を聞きながら、あちこちに流れていった自分の姿です。

 最近でも、時間が許すときは、散歩が好きで、自分の生活圏内のつまらない場所でも、ふらふらとさまようときは、自分に帰っているような気分です。

 京都ではよく、竹林の散歩をします。月並みな嵯峨野よりは、西山の方が好きなのですが、どこまでも竹林が続く所で、哲学しながら歩き続けると、自分でも驚くばかりの、様々な思想が頭をめぐって、たぶん、多くの人が既に考えていることばかりだと思いますが、自分だけの、生きることに根ざした何かが生まれた気分になります。

 前にも書いたと思いますが、そんな散歩を楽しんでいたことを、忙しい日々に思い出す時には、頭の中を、King Crimsonの"I Talk to the Wind"が流れます。中学の時に発表されたアルバムで、かのThe Beatlesの"Abbey Road"を売り上げ第一位から引きずり降ろしたという伝説の作品ですが、一度見たら忘れられない赤色系と青色系が基調になった、精神異常風に見える男の叫びのような顔が透明水彩で描かれているBarry Godberのジャケットです。

 一番好きな一節で、散歩を楽しむ姿に流れるのは、

Said the straight man to the late man,

Where have you been

I've been here and I've been there

And I've been between.

 という所です。フルートのソロが美しい、本当に風が流れるような曲で、Ian McDonaldの美しいメロディーが、Peter Shinfieldの奥深い詩にぴったりな、完璧な歌曲の一つです。



the late manでありたい

 最短距離で到着してしまう人には見えない、風と語り合うことが出来るような、そんな、回り道をする人になりたいなあと思っています。人生は短く、本当は、回り道をする余裕などないのでしょう。でも、限られた生を大切にしようとするとき、回り道は、短く限られたものを、深く豊かにします。

 そんな時に、僕はここにずっといたし、あそこにだっていたし、ほら、間にもいたんだよ、と答えるような歩み方をしたいなあと思います。

 若い頃、人生の夢とビジョンを持って生きていました。実際に生きてみて、世間からの評価や、自分が成し遂げたことを振り返ると、そのあまりの違いに驚くのですが、自分が生きている人生の質を評価してみると、深さと豊かさに驚きます。人は、どんな環境の中でも、生きることを、深く豊かにすることが出来るのだなあと、改めて感慨がわいてきます。

 さて話を、その詩に戻して。

 この作品が入った"In the Court of the Crimson King"は、完璧なトータルアルバムで、何度聴いても、よくこんなに完璧な作品が生まれるなあと驚きます。でも、初めてこのアルバムを聴くときにA面に針を落とした時に、聞こえてきた一曲目の激しさには、本当に驚いたものです。この曲は二曲目ですが、その"21st Century Schizoid Man"という曲の後だけに、静かな美しさが対比されて、より一層際立っています。来週、学校に出校する時に、聴いてみなくては。今でも、時々思い出したように聴くアルバムです。

 自分自身が、音楽に生きようと決意するきっかけになった作品の一つです。いまだに、日本盤CDが出ていて、「クリムゾン・キングの宮殿」の名前で売られていますが、今の若い人が聴いたら、きっと、ぶっとぶだろうなあと思う作品の一つです。何種類か、二三枚LPがライブラリーにある作品があるのですが、この作品もその一枚。

 今日の画像は、京都の竹林の一枚。QVで撮影すると、真夏の太陽も、こんな感じになります。この一枚を見ると、あの暑い日の散歩が、昨日のように思い出されます。九月下旬出荷のQVの新製品を購入することに決めたので、秋の京都をどしどし撮影しようと思います。



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