2000年1月29日(土)

教研三日目:いろんな分科会をまわろう

一夜明けて、桐谷の発表「スピーチ・議論・小論文・世界に発信!」への反応

 やはり、じわじわと効き始めているようで、いろいろな方が、感想や感動の言葉を伝えて下さいました。自分でも、ちょっとすごいことをしているつもりなので、自信はたっぷりあるのですが、一つ一つの言葉は、本当に励まされます。教研で元気が出ることには、二種類あって、一つは、他の先生たちの様々な姿に、驚いたり、すごい人もいるもんだと感動したりすることですが、もう一つは、桐谷に対する評価の言葉を受けることです。

 すごいという言葉が一番多くて、ちょっと傲慢なことを書きます(でも、実は謙虚なのですが)。桐谷の発表がすごいのは、技術的に、普通の人には出来ないことや、普通の人が知らない部分を深く掘り下げたりする点ですごいのだと思います。決して人間的にすごいとか、そういう意味ではありません。

 レポートの本質的な部分は、伝統的な国語教育の表現の流れの中に十分含まれると思うのですが、技術的な「すごさ」の中に見えなくなりがちなようです。そこが、素直な形にあらわれる場合には、「すごい」となって、生徒や教師の「レベルの違い」の問題のように見えてしまいます。

 逆に、そこでとまどうと、とんちんかんな御批判も生まれます。ある年取った共同研究者の方は、生徒の文章をインターネットに掲載することを、インターネット上で集めた情報を適当に合成することと勘違いされたようで、具体的なイメージがつかめなかったようです。いつも過ごす生徒たちを見ていると、もうインターネットなんて、家庭に普及した(伝統的な)電話のようなものになり始めています。

 僕たち、国語の教師は、印刷された(書かれた)文字という、伝統的な形だけにこだわることなく、画面に表示された文字が集まって出来る文章や、映像と一体化した言葉という、すでに生徒たちが慣れ親しんでいる部分に取り組むことが、今必要なのだと思います。年取った方が多い、この業界で、啓蒙活動につとめなくてはと思いました。

昨日おもしろかったこと

 昨日は、国語科の全体会で、おもしろい議論が生まれそうになりました。ある先生が、「この集まりにいる人が国語の教師とは思えない」という挑発的な発言をされて、問題になりました。真意は、発音、話し方が、日本語として不充分であるということでした。何かの研究会を組織していらっしゃる方々が数人出席されていて、いろいろと挑発的なことをおっしゃっていて、その中の一つでした。

 時間がないということで議論は出来なかったのですが、このことは議論をしたかったなあと思いました。

 僕自身は、十代最後の年に、「テレビ・タレント・センター(TTC)」という、地元の全ての放送局とデパートと電通が開設した、アナウンサー・俳優養成所で、最高水準の「標準語」「発声」「発音」教育を受けていて、日本語を言語として扱う研究もしているので、まさに、専門分野。

 その方々は、音声の訓練そのものに、教育的な意義を認めていらっしゃって、僕自身とは違う立場でした。僕の立場は、自分が専門家であるが故に、時代によってどんどん変わる日本語の姿を大切にして、生徒に発声発音の訓練を提案するのではなく、逆に、どんな発音の日本語でも受容できる幅広く理解できる人になってほしいなあという立場です。

 埼玉の方が、とても鋭い質問をされて、要点は、なぜ訓練が自己を解放することにつながると言えるかと、クラスに障害を持つ生徒がいた場合に授業はどのような形になるか、の二点でしたが、一番知りたかった第二点めについては、お答えがなかったのが残念です。(ちょっと脱線。その埼玉の方の発表は、平和教育の分野で、図書館を活用しながら、原爆の体験記録文を学習して現代の核時代について考えるもので、幅広い視点から、誠実な姿勢で取り組む素敵な授業です。)

 僕も、発言したくてたまらなかったのですが、十分な時間がないということは悲しいことですね。

 一つ思い出したことがあって、それは、僕が以前勤務した学校の同僚のことです。僕にとっては、あまりに自己中心的な所が多くて、出来るだけ深くかかわらずに過ごしたのですが、その方が転勤してきた時の第一声は、僕の机の上にあった、日本語発音アクセント辞典を見て、国語の先生で持いる人は初めてだという内容で、発音の訓練を受けた方特有の、よく通る、年より若く聞こえる声でした。つまり、国語の教師は日本語そのものを話す力がなく音声アクセントを大切にしていないということを言いたかったようでした。

 その方の標準語に対する姿勢と、教育に対する自負が、昨日の方々と、とても共通点があったのです。様々なことを、自分の成果と考える点も共通していて、ある時、こんなことがありました。

 御自身の前任校から自分が転勤したからコンクールの全国大会に出場できなくなった、とか、今自分の指導のおかげで、生徒が全国大会に出ている、といった話がえんえんと続きました。僕の教育理念は、様々な活動は生徒の力なんだ、教師は適切に刺激したり相談に乗るのが大切で、教師が生徒を訓練してしまっては、自分のミニチュアしか生まれなくなってしまって、青が生まれなくなってしまう、というものなので、つい、「教師は生徒に『教え』すぎてはいけない」ということを言ってしまいました。色々な点で、相容れないことが多く、特にその方が組合をやめた時には、桐谷も義憤を感じたりしたものです。きっと、桐谷と同じ小部屋で二人きりになって、その方も複雑な思いで過ごしていたのだと思います。

 話を前に戻して。桐谷も、スピーチや作文で、生徒にいろいろなことを強いている教師なので、大きなことは言えませんが、音声の訓練をして、のってきて楽しんでくれる大多数の生徒よりも、その部分で傷ついてしまう生徒たちの姿が、気になってしまうのです。桐谷がスピーチの授業を続ける中で、一番心配なのは、本当にスピーチが嫌で嫌でたまらない生徒たちを、どのような形で楽にしてあげるのがいちばんよいのかという問題です。

国語分科会を飛びだそう

 昨夜、愛知県のメンバーの反省会があって、その時に、それぞれの出席した分科会の報告があって、びっくり! 国語の分科会とは、全く違う、魂をゆさぶる、その人の生き方に根ざす、すごい報告がたくさんありました。

 これは、三日間を国語分科会だけで過ごしてはいけないと思いました。いろいろな分科会のこれはと思う発表をはしごして、感動しようと思いました。僕は、今回、交通費も宿泊費も組合に出してもらって山口に来ています。ホテルは温泉一の旅館「西の雅 常盤」。五人部屋とは言え、夕食も朝食も豪華なので、団体割引でも一人一万円にはなりそうで、たぶん、交通費参加費宿泊費昼食費を合計すると、八万円を超えるのではないかと思います。桐谷の参加した部分を体感生中継するだけでは、不充分ですね。桐谷が、一番すごいと思った発表に関しては、発表者に転載の許可ももらいました。このサイトにアクセスした方が、僕の感動を共有できるようなページを作らなくてはと思います。

 ところで、平和教育に関して、僕の前任校の同僚の菊川先生は被爆体験があって、彼の話は生徒の魂をゆさぶってきました。1991年に、菊川先生が生徒に話した講演は、生前に彼の許しを得て、活字に起こして、このサイトにも掲載しています。まだ読んでいない方は、是非、菊川亨先生の講演をお読み下さい。近い内に、このサイトに掲載する、その、桐谷が魂を揺さぶられた発表は、菊川先生の講演と共通点があります。

 というわけで、桐谷は国語の分科会を飛び出して、知っている人が発表する他の分科会に向かいました。今日の画像は、移動中に撮影した、高田公園の中原中也の詩碑です。大学院の時に、ここに来て以来なので、とても懐かしくて。同時に公園そのものや、周りの景色の変わり様にびっくり!

桐谷の授業への誘い

 ところで、このサイトを御覧の業界の方(つまり先生)に一言。もしもよければ、桐谷の高校(名古屋駅から地下鉄20分、徒歩五分)を訪問して、桐谷の授業を見学しませんか? 僕は、Visitorと呼んでいますが、ゲストは大歓迎。お昼ぐらいは、ご馳走しますよ。もちろん、同業者でなくても、大歓迎です。遠慮なく、E-Mailで知らせて下さい。

 もちろん、呼んで下されば、世界中どこでも出かけていって、日本語か英語で授業をします。その場合だけは交通費をご負担下さい。

 生徒サイトリンク集は、御覧になりましたか? 全て、力作です。是非見て下さい。


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1/23「生徒のサイトへのリンク集スタート!」の内容を読む
1/22「QV Millennium 始動」の内容を読む
1/21「今年初めて梅の花を見つけた」の内容を読む
1/20「伊吹おろし」の内容を読む
1/19「全国教研結団式」の内容を読む
1/18「新年最初の徹夜」の内容を読む
1/17「胃検診とセンター処理」の内容を読む
1/16「本当に何もしなかった日」の内容を読む
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1/11「気管支喘息の疑い」の内容を読む
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