2000年1月8日(土)

メトロポリタンオペラの新作"The Great Gatsby"

"The Great Gatsby"

 毎年、うまくスケジュールの都合をつけて、新作は、出来るだけ見るようにしています。九月下旬からゴールデンウィーク過ぎまで公演が続くので、秋の旅、冬休み、春休み、ゴールデンウィークと何度もチャンスがあります。毎年、まるで日本人に配慮するかのように、ゴールデンウィークに、指輪が通しで見えてしまうのも、うれしいことです。

 レパートリーが豊富なことに加えて、日替わりで公演するので、たとえば、クリスマス休暇に一週間滞在すれば、六公演見えてしまうと言う、オペラファンにはたまらないうれしさです。自分の住む町にあったらなあと思いませんか? ニューヨークは、将来暮らす街の重要候補です。

 今年の新作は、"Mefistofele"、"Tristan und Isolde"、"The Great Gatsby"、"The Merry Widow"の四作ですが、言うまでもなく、一番の見物は、世界初演の"The Great Gatsby"です。John Harbisonが八十年代から取り組んでいたというオペラが、ついに完成して、12/20に世界初演を迎えました。もちろん、まだ授業があって見ることが出来ませんでしたが、ヨーロッパからの帰り道にNYに立ち寄って、そこで、しっかりと鑑賞しました。古い映画ファンなら、『華麗なるギャツビー』をご存じかもしれませんし、文学ファンなら、必読図書でしょう。僕も、見る前に、読みなおすか観なおすかしようかなあと思ったのですが、幸い時間がなくて、初めて見る感じでストーリーが展開しました。ストーリーが展開すると、そこで、ああ、そうだったと思い出すのです。

 音楽は、現代感覚があふれていましたが、もちろんJazzの香りがしていて、原作の素晴らしさもあって、最高の作品に仕上がっていました。今年は八公演しかなくて、1/15を最後に、もう見ることは出来ませんが、今年の元旦のマチネが、この作品で始まったことからもわかるように、これから、末永く、The Metの重要なレパートリーとして育てられていくことでしょう。

 一応、英語の字幕(Mettitle)も出ましたが、演劇のようなセリフが多いので、英語がわからない方には、ちょっと、つらいものがあったかもしれません。音楽的には、美しいアリアもあるのですが、現代曲風の部分が多いので、最初に聴いたメロディーやハーモニーを覚えている方でないと、もしかすると、美しさを感じにくいかもしれません。

 実際会場にいた人々も、あれだけ素晴らしい公演なのに、とまどいも見られたような感じでした。今、僕たちが美しいと感じる二十世紀初頭の音楽も、その当時は、まだ、みんなに美しいとは感じられなかったわけだし、バッハの対位法さえ、理解されなかったり、逆に時代遅れなんて言われたりしてしまったわけなので、今の評価はさほど気にする必要はないと思いますが、新しい傑作が生まれたことは間違いありません。他のオペラ座が、どのように、この作品を扱って、どのように上演するか、二十一世紀の楽しみが生まれました。

シャガールを忘れずに

 正面からオペラハウスを見ると、右に黄色っぽい、左に赤っぽいシャガールが見えます。ニューヨークを書き込んだ、素敵な作品で、シャガールの人生を思うと複雑な思いにもなりますが、ニューヨークに住むことになって、よかったなあと思います。

 幕間には、噴水の傍らで、近くの食品スーパーで作ったサラダとベーグルを食べるのが楽しいのですが、タキシードでおめかししている時は、この黄色のシャガールの真下にあるレストランに予約します。二皿のコースで、演目に応じて、最初の幕間で、二皿食べて、次の幕間でデザートとカプチーノを楽しんだりします。

 支払いは、食べ終わってからなので、最初の幕間で、メインの食事だけたべて、消えてしまったらどうするのだろうとか思うのですが、そんな人は、誰もいないのだと思います。チケットを窓口から買う時も、寄付をする制度があって、当日行けなくなった時も、チケットを寄付する制度があって、そんな、みんなが少しずつお金を出し合う気持ちが、この世界最大のオペラハウスを育てているのですから。

 僕もスケジュールが決まったら、すぐにチケットを確保するのですが、もちろん、寄付をおしみません。いつか$3,500以上寄付できるような身分になって、Season Bookの最後に名前が載ったら、うれしいなあ。

 今年は28の演目が上演されます。今シーズンは、四回は訪れることが出来るだろうから、半分の14は見たいなあと思っています。


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12/31「いよいよMillennium生中継開始」 の内容を読む
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12/29「12/22からのミニ補足集」 の内容を読む
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