2005年第57回正倉院展の紹介

このページは、2005年第57回の正倉院展の解説です。今年のものではありません。

今年のコンテンツ:蘭奢待明治天皇献上の容器 !

観覧券お分けした話 updated(Nov.15)

図録送りますupdated(Nov.15)

 毎年、奈良国立博物館で開かれる「正倉院展」を、これまで"Kirium"では、毎年高校生に紹介してきました。

 今年(2005年)の第57回の会期は、10月29日(土)から、11月14日(月)までで、これまでと全く同じ17日間です。毎年、同じパターンなので、2006年は10月28日(土)から、11月13日(月)ではないかと想像していますが、毎年八月下旬に正式に発表されます。

今年のテーマ 1:囲碁

 毎年、テーマが明確に示されています。今年がどのような年であるかということにちなんだものではありませんが、今年は、囲碁や舞に示されるような、「遊び」のものや、素材を珍しいもので作るという遊びの心が際立っていますね。

 まず、今回の目玉は、ポスターで一目でわかるように、囲碁関連のものです。

 12年ぶりの展示なのですが、とても美しい碁盤の、木画紫檀棊局(もくがしたんのききょく)は何度観ても感嘆のため息が出ます。(11/6放送の新日曜美術館は見逃さないで下さい。碁石を入れる引き出しは、片方を引き出すと反対側も自動的に引き出される仕掛けになっているのですが、前回の展示では、その映像が放送されたので、今回もその姿を見ることが出来ると思います。よく言われることですが、一度展示すると十年間は展示しないという内規があるそうですよ。)正倉院では、宝物を保存するための容器まで宝物なので、碁盤のケースの、金銀亀甲棊局龕(きんぎんきっこうききょくのがん)という亀の子模様の見事な箱が、前回同様セットで展示されます。

 碁盤があるなら、碁石や碁笥(碁石入れ)も展示されます。碁石入れは、銀平脱合子(ぎんへいだつのごうす)です。

 碁石は、蛤の白石と那智の黒石が普通ですが、この碁盤と共に使われたのは、紅色と紺色の象牙の彫り物で、紅牙撥鏤棊子(こうげばちるのきし)と紺牙撥鏤棊子(こんげばちるのきし)が十ずつ展示されています。もちろん、白と黒の碁石も展示されていますよ。

今年のテーマ 2:珍しい素材

 今年は、珍しい素材のものが多いのですが、まず、サイの角です。有名な犀角如意(さいかくのにょい)は、いわゆる孫の手です。置くと倒れてしまうので、ずっと持っているしかない犀角坏(さいかくのつき)で飲むお酒の味は、格別だったことでしょう。

 素材そのものも、馴鹿角(となかいのつの)や、象牙が初展示されます。

 瑠璃と呼ばれたガラスも貴重で珍しいものでした。瑠璃壺(るりのつぼ)の形の美しさ、深黄、黄、緑、碧、黒の、それぞれの瑠璃の玉の色が、とっても微妙な味わいがありました。毎回感じるのですが、こういった色合いは、NHKの、強い光を当てた映像でないと、細かな色合いを感じにくいので、放送が楽しみですね。

 さて、今回の展示物は、最近落ち着いてきた例年の展示数の69点。初出展は減少に歯止めがかかり、今回は20点で、このところの調査結果を反映して増えています。

観覧料金は値上げのままの据え置き

 四年前、小泉「改革」による「痛み」の先取りとして、六割ほど値上げされた金額は、値下げされることはなく、大人千円、高校生・大学生700円、小学生・中学生400円となっています。9/21から奈良国立博物館窓口や近鉄ステーションサービス、近鉄・JR東海・JR西日本の主要駅の他に、イープラス、電子チケットぴあ、サンクス、ジェイアール東海ツアーズ、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンチケット(以上五十音順)、9/29からJTB、JTBツアーズ、JTBトラベランドで、前売り券を発売していますが、写真入りの窓口の前売り券と違って、プリンタで印刷した味気ない発券になってしまいます。そこで、100円引きで、当日に写真入りの前売り券を買う方法や、安く入る裏ワザについては、正倉院展へ、安く行くには?に詳しく解説してあります。

 同じく四年前に始まった、日本語と英語のオーディオガイドも、継続されていますが、簡単な奈良時代の歴史をご存知の方なら、図録を購入されて、読みながら観れば、特に、必要ないのではないでしょうか。

開館時間

 毎朝九時から午後六時までの開館ですが、金曜日の閉館時間は、2001年に一時間短くしたままで、午後七時までです。(小泉「改革」は、教育・福祉・文化予算を削る方向で進んでいますね。イタリアでは映画・オペラなどの劇場芸術への補助金の削減を計画した所、反対の声があがり24時間ストに突入しました。日本でも、弱者や文化を切り捨てる小泉「改革」に反対する意見を発言しないと、国立博物館や国立美術館等の統合を図って、さらに文化予算を削ろうとする動きに歯止めをかけることは出来ません。言うまでもなく、一時間開館時間を短くしたのは、経費削減のためで、博物館の役割が黒字を出すことに変えられてしまったからです。そう言えば、九州国立博物館が開館しましたが、来賓祝辞で、麻生総務相が、「一言語、一文化、一民族の国は探しても日本のほかにはない」と発言して、内閣の文化に対する無知をさらけ出しました。人権意識の欠如も明白で、二十年前の中曽根首相の単一民族国家発言から政府自民党が何も変わっていないことは、悲しくなります。ひどい政府を支える国民たち……。日本の文化の夜明けは、まだまだ先のようです。)金曜日の七時過ぎは、ゆったりと鑑賞できる黄金の時間だっただけに残念です。入館は閉館三十分前までなので注意してください。

 観覧料金は、大人1000円、高校生大学生700円、小学生・中学生400円で、このチケットで常設展も見ることが出来ます。前売りと、20人以上揃う団体扱いは、100円引きとなります。もちろん会期中は毎日開館しているので、休館日はありません。

 もちろん、僕が強くすすめるのは、友の会の入会(三千円)です。特に三人以上の家族で出かける方は正倉院展に二回行くだけで元をとってしまいます。全国の国立博物館に合計六つまで無料入場出来るのは魅力ですね。

公開講座
 毎年恒例の、午後一時半から三時まで、無料で先着二百名が聴講できる講堂の公開講座は以下のように発表されています。開場は午後一時です。

 10月30日(日) は、「 正倉院文書の調査 ―原本から何がわかるか―」(宮内庁正倉院事務所保存課調査室員 飯田剛彦氏)、11月 5日(土) は、「玄奘帰朝のインパクトと唐代宮廷仏教 ―正倉院聖語蔵『大毘婆沙論』出陳によせて―」( 奈良国立博物館学芸課企画室長 稲本泰生氏)、11月 12日(土)は、「正倉院の遊戯具」(遊戯史学会会長 増川宏一氏)となっています。2002年から一回減ったことも残念ですね。

イベント

 11/11(金)五時から、正倉院展を記念して新館講堂で南都楽所による「雅楽の夕べ」が開催されます。全自由席二千円。管弦は盤渉調音取と青海破。舞楽は、抜頭と落蹲です。さらに、11/5(土)七時半からの、回廊ホールで上演されるオペラ「仏陀」は、正倉院展の入場券付きで五千円です。

 ボランティアによる作品解説も、すっかり定着してきました。毎日十時、十一時、十二時、午後一時半、午後二時半からの、三十分間講堂で行われます。ただし、10/30(土)と11/5(土)と11/12(土)は、公開講座の関係で、十二時までの三回だけになります。

 さらに、こちらも、恒例となった野点お茶会も、午前十時から午後四時半まで、西新館南側ピロティで、五百円です。受付が博物館の出口西新館一階にあるので、正倉院展に入場しないと参加できません。

 さらに本館の常設展では、唐招提寺金堂の十年にわたる大修理の関係で、国宝の木心乾漆薬師如来立像が、特別公開中です。言うまでもなく、金堂から外に出るのは、今回が初めて! 明るい光の中で、自由な角度から鑑賞できるのは、今回だけ。常設展の「仏教美術の名品」だけでも、十点以上の国宝を鑑賞することが出来ます。チケットの半券で無料で入場できるので、是非、ご覧下さい。

映像でも正倉院展を

 毎年、NHKデジタルハイビジョン(BS-hi)の新日曜美術館(今年は11/6日曜日が終わる24時からの放送です。)は、「天平人、動物とあそぶ〜第57回正倉院展」と題して、今年の正倉院展を特集します。多くの展示品が四十五分間ハイビジョン映像で紹介されます。リクエストと感謝のお便りが集まった成果でしょうか。以前はハイビジョン放送がない年もありましたが、2002年から復活しています。(これまで収録されたハイビジョン映像を活用しながら、一日正倉院展特集なんて、うれしくありませんか? 僕も放送された番組を全て録画しているのですが、ハイビジョン部分だけで、二十時間近い映像が蓄積しています。正倉院展ファンのみなさん、一緒にリクエストしてみませんか? 11/3朝九時から夕方六時まで、東新館入り口前にブースをかまえて、名品の数々を紹介しながら、それぞれの方が正倉院を語る。天平の音楽やダンス、遠くシルクロードからの映像、正倉院以外に残る同時代の建築、仏像、書、開封の儀の録画に続いて、正倉院内部からの生中継。夢のまた夢ですが、一万人のリクエストがあれば、NHKも企画を考えるかもしれませんね。わくわくしますね!)

 地上波のNHK教育(地上波デジタルでも画質は大幅に落ちますがハイビジョン放送をします。)では、11/6(日)朝九時から、再放送は、午後八時からです。今年のゲストは、奈良国立博物館館長の湯山賢一さんと、猿沢池近くの料亭で生まれた画家の絹谷幸二さんです。(ちなみに、アートシーンでは、東京の国立博物館で開催中の北斎展。伊万里とならんで、友の会の会員の方は、無料入場に使うべき素晴らしい展覧会です。北斎の人生そのものを回顧できる展示品は素晴らしいですよ!)

 奈良ファン必見番組だった民間放送最長寿番組真珠の小箱は、2004年3/27の第2314回放送で終了してしまいました。毎年必ず正倉院展の特別番組を放送していたのに、残念です……。


 正倉院展へは、もっと安く!

 正倉院展の楽しみ方

 「正倉院」も見てみよう

 正倉院周辺の散歩道:裏参道(十月中に掲載予定)

 2003年(第55回)の情報

 2002年(第54回)の情報

 2001年(第53回)の情報 

 2000年(第52回)の情報 

 1999年(第51回)の情報 

 1997年(第49回)の展示品

 1995年(第47回)正倉院展案内

奈良国立博物館正倉院展リンク集

年度

宮内庁:正倉院ホームページ

 正倉院についての様々な解説、収蔵品の鑑賞・検索、『正倉院紀要』の1999年23号から、2005年27号までのPDFが掲載されていて、正倉院ファン必見のサイトです。

"Kirium"掲載正倉院展関連記事一覧


日付 ページ タイトル
2001.10.27 TNG16 161-164 第53回正倉院展特集"Kirium"TNG16号(PDF)
2000.10.31 TNG13 153-156 第52回正倉院展特集"Kirium"TNG13号(PDF)
99.10.16 TNG07 129-132 第51回正倉院展特集"Kirium"TNG07号(PDF)
97.10.25 26 105-106 第49回正倉院展
96.10.31 18 71-72 行ってみよう! 第48回正倉院展
95.11.12 12 48 Speakers' Corner 「バンコク新さん」
95.11.10 10 40 Speakers' Corner 生徒の保護者の投稿
95.10.22 9 36 第47回正倉院展案内

作者桐谷育雄のホームページも見る

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