第51回:1999年の展示品

 今年は、今の年号の天皇の十周年記念ということで、会期も長く、展示品も豪華です。今年の特色は、聖武天皇・光明皇后の身の回りの物が多く展示されていることと、東大寺開眼会関連のものが多いことでしょうか。今年は76点展示される中で、八点が初公開です。

 去年は、西新館の展示面積が増えましたが、今年は、東新館部分も加わって、かつての倍の面積になって、ゆったりと見ることが出来るようになりました。

今年の目玉は「鳥毛立女屏風」全扇展示

 正倉院に伝わる「絵」の中では、一番有名なものではないでしょうか。いわゆる樹下美人図ですが、鳥の羽の毛を切って貼り付けた点がユニークです。天平美人の姿としても有名ですが、シルクロードに樹下美人図が多いので、輸入品と思う方も多いようですが、鳥の羽は昭和の材質調査によると、日本のヤマドリの羽であることがわかっていて、日本で作られたものです。

 第五扇の下貼りに使われた、使用済みの反古紙の研究から製作年代も752〜6の間であることがわかりました。正倉院では、下貼りの紙でさえ、研究対象として深い意味を持ちます。

 もちろん、本来の屏風の形ではなく、表具は江戸時代の天保の修理です。第六扇は、顔だけが本来のもので、顔以外は、天保に住吉内記が描いたことがわかっています。第六扇だけが、色が白く、タッチも違うので、すぐに気が付くと思います。

 本来の配列もわかっていませんが、今の第一〜三扇は、立った姿、第四〜六扇は、岩に腰掛けています。女性が左を向くのが四つ、右を向くのが二つです。たとえば、ニューデリーの国立博物館には、トルファンから出土した樹下美人図がありますが、右を向いています。本来の配列がわからない以上、何とも言えませんが、左を向いていて、左側の横顔を見せるのが、日本的なのでしょうか。

 最後に、「鳥毛立女屏風」の読みですが、奈良国立博物館によると、「とりげ りつじょ の びょうぶ」ですが、専門家は、よく「とりげ りゅうじょ の びょうぶ」と言います。また、専門家の中には、「とりげ だち」と言う方もあって、どれが、本当でしょうか?

奈良国立博物館(第51回正倉院展)の画像

 著作権の関係で、僕のサイトには画像を載せることが出来ませんが、奈良国立博物館第51回正倉院展のサイトでは、四枚の画像を見ることが出来ます。

 鳥毛立女屏風の第三扇、縹縷、衲御礼履、琵琶袋残欠の四枚を、是非、ご覧下さい。

 主な展示品の一覧も掲載されています。

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