第49回:97年の展示品

 毎年、違った収蔵品が展示される正倉院展ですが、それぞれの年には、テーマと言ってもよいような、特色があります。初公開のものが多い「正倉院古文書」、九点を数える法具も、今回の中心ですが、今年は何と言っても、「香り」ですね。

 黄熟香と全浅香が、同時に展示されるなんて、初めてのことです。

今年の目玉は「両種の御香」(黄熟香と全浅香)

 黄熟香と言っても、ぴんとこない方も、蘭奢待(らんじゃたい)と言えば、ご存じの、正倉院で、というよりも、日本で一番有名な香木です。「蘭」の文字の中には、東大寺の「東」が含まれていて、「奢」の中には「大」、「待」の中には寺。このことを初めて知ったときには、深く感動したものです。

 ガラス越しなので、匂いを嗅ぐことが出来るはずはありませんが、展示されるときは、何度も何度も、くんくんと、犬のように嗅いでしまいます。

 時の権力者も、蘭奢待を、少しずつ切り取らせていて、足利義政、織田信長、明治天皇が切り取った所に付箋が貼られている写真を見たことがあるでしょう。付箋はありませんが、義満や義教も、切り取らせた記録が残っています。

 黄熟香も全浅香も、鎌倉末期以来、焚いて楽しむ聞香が行われるようになったいわゆる沈香(じんこう)に分類されます。樹脂が豊富で、水に沈む香木という意味で、沈まないものを浅香(せんこう)と言いました。

奈良国立博物館(第49回正倉院展)の画像

 著作権の関係で、僕のサイトには画像を載せることが出来ませんが、奈良国立博物館第49回正倉院展のサイトでは、五枚の画像を見ることが出来ます。

 蘭奢待、沈香木画箱、桑木木画碁局、臈纈屏風<鸚鵡>、天平宝字二年十月一日献物帳の五枚を、是非、ご覧下さい。

 もちろん、展示品の一覧もあるので、詳しくは、そちらをどうぞ。

正倉院展ホームページへ戻る

作者のホームページも見る