京都駅

 去年の夏から、順番に京都の駅のビルの内部が少しずつオープンしていって、悲しい気持ちになっています。昔は、駅前の市電乗り場から、東寺の塔が見えたのに、もう、これで線路が地下にもぐることがあっても、完全に見えなくなりました。
 子どもの頃の「京都タワー」を思い出しますが、高さ59.8mの建造物を旧市街の真ん中に作ってしまう心が、わかりません。
 デザインとしては、とてもおもしろく、美しいものですが、パリの新凱旋門のように、多くの古い都では、このような建築物を建てる時は、旧市街ではなく新市街です。バスチーユ・オペラや、ポンピドー・センターの例がありますが、高さが違いますね。

 京都には、景観を大切にする市民も多いのに、残念なことです(拝観停止ムーブメントも、もちろん、僕は支持していました。)。
 京都タワーが出来た時は、幼い僕も真っ先にのぼりました。そこが、唯一、京都タワーの見えない景色を見ることの出来る場所でしたから。

 もっとも、高さ38メートルの、東本願寺の御影堂だって、建立当初は、今の京都駅のような異質なものだったはずなので、僕たちの愛する京都とは、その時その時の、最先端の新しいものを常に取り入れて成長してきた都市なのでしょう。確かに、僕の好きな京都の文化財は、様々な時代の様々な文化のものが残っています。
 非難ごうごうだった、ポンピドー・センターが、今市民の間に溶けこんでいるように、エッフェル塔が、パリ文化の象徴の一つになっていったように、いつの日か、自分の感覚の中に解け合う日が来るのを、待つことにします。


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