β形スターリングエンジンのオーバーラップ容積について


 β形スターリングエンジンにおけるオーバーラップ容積の導出式について説明する。
 図1に示すβ形スターリングエンジンの圧縮空間容積VCを考える。各ピストンの運動が正弦状であると仮定し、ディスプレーサピストンの上死点をクランク角θ=0(rad)とすると、圧縮空間容積VCはディスプレーサピストンの行程容積VSE、パワーピストンの行程容積VSC、ピストンの位相角α、圧縮空間無効容積VDC及びオーバーラップ容積VDを用いて次式で表される。
  (1)
ここで、VCの最小値がVDCとなるようにVDを求めればよい。式(1)を変形して次式が得られる(途中省略)。
  (2)
すなわち、cos(θ-φ)=-1のときVCは最小値VDCとなる。
 よって、
  (3)
 なお、圧縮空間無効容積VDCは最小圧縮空間容積であり、ディスプレーサピストンとパワーピストンとが最も近接した際の隙間容積であると考えればよい。また、単クランク機構等を使用し、ピストン運動が正弦状でない場合には上式は成り立たないため、設計時には十分な注意が必要である。