スターリングエンジンはどのように回っているの?


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1.空気の性質

 空き缶にゴム風船をつけてみましょう(図1)。そして、空き缶を暖めるとゴムは膨らみ(図2)、冷やすとゴムは縮みます(図3)。これは、空気が暖められると、図2の矢印で示すように、空気の圧力がゴム風船に働くためです。


2.ディスプレーサピストンとは

 次に、空き缶の中に、空き缶よりもやや小さめのピストンを入れてみましょう(図4)。このピストンは、空き缶の中の空気を、上下に移動させる働きをします。そして、空き缶の下を暖めて、上の部分を冷やしてみます。十分に温度差がついてから、ピストンを上下に動かしてみます。ピストンを上に動かしたとき、暖かい空気が多くなるので、図2と同じように、ゴムが膨らみます(図5)。逆に、ピストンをしたに動かしたとき、冷たい空気が多くなるので、図3と同じように、ゴムは縮みます
 スターリングエンジンにおいて、このように空気を移動させて圧力の変化を作り出すピストンのことを、ディスプレーサピストンと呼んでいます。


3.クランク機構(回転運動と往復運動)

 空気の性質とディスプレーサピストンの働きがわかりましたか。これらはスターリングエンジンがどのように動いているのかを理解するために、とても重要です。
 まず、図4に示したピストンと折り曲げた針金とを糸でつなぎます(図6)。針金をまわすと、ピストンは上下に動きます。これをクランク機構と言います。
 先ほどと同じように、空き缶の下を暖めて、上の部分を冷やしてみましょう。針金を手でまわすと、ピストンは上下に動き、ゴムが膨らんだり、縮んだりします(図7)。


4.パワーピストン(ゴムの働き)

 このゴムの動きを利用して、針金をまわすようにしたのがスターリングエンジンです。ゴムと針金とを棒でつないでみましょう。このとき、ゴムが膨らむときの力、あるいは縮むときの力が、針金をまわす方向にならなければいけません。つまり、ピストンが一番上にあるときに、ゴムの膨らむ力が針金をまわす力になるようにするので、ちょうどピストンと直角の位置で針金を曲げておく必要があります(図8)。このような角度で針金とつなぐことで、ゴムが縮むときの力も針金をまわす力になります(図9)。


5.フライホイル(スムーズな回転のために)

 これだけでは、まだまわりません。このままの状態でまわしてみると、ゴムは膨らんだままになるか、あるいは縮んだままになるでしょう。連続してスムーズにまわるようにするためには、針金に回転するおもりをつける必要があります。それがフライホイルです。
 普通のフライホイルは、丸い形をしています(図10)。しかし、ここでは簡単に作るために、針金のはしを曲げて、その先におもりをつけてみます(図11)。このおもりはフライホイルの働きをするのと同時に、ピストンのおもさと釣り合わせるような働きをします。ですから、ピストンと反対の位置につける必要があります。


6.スターリングエンジン

 これでスターリングエンジンは完成です。

 スターリングエンジンを理解するためには、空気の性質(熱力学)、クランク機構(機構学)さらにフライホイル(材料力学・動力学)の知識が必要です。これらをなるべくわかりやすく書いたつもりです。わかりづらい点やお気づきの点、御意見などがありましたら、ご連絡ください。なお、このページはご自由に印刷、配布をされて構いません。

Koichi Hirata (khirata@gem.bekkoame.ne.jp)

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Koichi Hirata