スターリングエンジンの理論と設計

Theory and Design of Stirling Engines

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→ 付録CD-ROMの紹介


書名,概要

スターリングエンジンの理論と設計(1999年7月発行)
山下 巌・濱口 和洋・香川 澄・平田 宏一・百瀬 豊:著
ISBN4-381-10122-7
定価 4600円+税(予定)
山海堂

 本書は,スターリングエンジンの基礎理論,熱力学的解析手法や内外の開発状況はもちろん,熱交換器,シール,出力取出し機構などの構成要素についてもできる限り詳細に記述することにより,スターリングエンジンに対する基礎知識とその設計手法を提供することを目的として著わされました。特に,設計手法については,できる限り具体例を示すように留意しましたが,高度なスターリングエンジンを設計しようとすると,むろんこれだけでは不十分でしょう。その場合には,挙げられている参考文献,資料としてCD-ROMとともに提供されている設計例や内外情報の収集方法が役立つものと思われます。


各章の紹介

第1章 スターリングエンジンの概要

 本章では,基本構造,動作原理,開発経緯などを紹介することにより,スターリングエンジンの全体像を示した後,熱効率,出力特性,圧縮比などで代表されるエンジン特性における特徴,用途を考える際にポイントとなる多種燃料・熱源への適応性や環境への適合性,実用化を進める際に問題になる技術的課題などについて述べています。

スターリングエンジンの基本形式

第2章 基 礎 理 論

 本章では,熱再生の有無に注目しながら,スターリングサイクルの特徴を示すとともに,再生オットーサイクルなどのより現実的なサイクルについても言及しています。その後,スターリングエンジンの特徴を近似的に予測する上で有効な等温モデルあるいはSchmidtモデルが計算例とともに示されています。

再生スターリングサイクルの実現

第3章 エンジン特性

 本章では,エンジン特性を把握しようとする際に推奨される測定項目,解析方法および特性の表示方法について述べるとともに,これに基づいて実施された実用形エンジンの運転試験結果とその解析結果を紹介しています。また,既存エンジンについては出力の評価,新たに計画されるエンジンについては出力の予測に利用できる出力特性の相似則についても述べています。

実用形エンジン(ムーンライト計画)

第4章 熱力学的設計・解析手法

 スターリングエンジンの内部に封入された作動ガスの流れは複雑な往復流れであり,その熱伝達や圧力損失を取り扱う熱交換器の設計がエンジン性能に大きな影響を及ぼします。本章で述べるような数値解析モデルに基づく熱力学的設計・解析手法を用い,高精度なエンジン性能予測を行なえば,エンジン開発を効率的に進めることができます。

SETMAによる解析結果

第5章 熱交換器の設計

 スターリングエンジンの性能は,ヒータ,クーラ,再生器といった熱交換器の設計の適否に大きく依存しています。本章では,各熱交換器の基本構成,材料,圧力損失および伝熱性能の評価に必要な摩擦係数やヌセルト数等の実験式を紹介するとともに,熱交換器の設計指針について述べています。

バヨネット式ヒータの外観と断面

第6章 加熱および冷却システムの設計

 スターリングエンジンの実用化をはかる場合には,外部熱源との熱交換システムすなわちヒータに付属する加熱システム,クーラに付属する冷却システムの最適設計が不可欠で,応用システムの成否を左右します。本章では,現在,最も実用性が高いと考えられます燃焼ガスと太陽熱を利用する加熱システムおよび循環水を利用する冷却システムの設計法の概略について,実例に基づきながら述べています。

太陽熱発電システム(宮古島)

第7章 シール機構の設計

 スターリングエンジンには運動部を密封する動的シールと静止部を密封する静止面シールが用いられますが,前者の方が特有の問題点があり重要性も高いと言えます。そこで,本章では,動的シールに重点を置いて,シール機構の開発の現状と設計指針について述べています。

W形ピストンリングの外観

第8章 出力取出し機構の設計

 スターリングエンジンでは,熱力学サイクルにピストンの往復運動の発生と回転運動への変換を行なう駆動機構系を組み合わせることにより,作動ガスの膨張・圧縮から機械的仕事の出力までの一貫したサイクルが完成されます。したがって,十分な検討に基づいて設計された出力取出し機構を用いることにより,はじめて高性能なエンジンが実現できると言って過言でありません。

クロスヘッド・クランク機構

第9章 出力制御装置の設計

 スターリングエンジンは外燃機関であるため,内燃機関に比べて,出力の制御性は本質的に劣りますが,適切な方法を採用すれば自動車用エンジンとしても使用できる程度まで制御性を上げうることが実証されています。また,出力制御範囲の指標とされるターンダウン比(最大出力と最小出力の比)も比較的容易に10程度を達成できることが知られています。

出力制御システムの一例

第10章 スターリングエンジン応用システムとその可能性

 本章では,近い将来におけるスターリングエンジン応用システムの発展の手がかりになることを期待して,空調システム,地上用・宇宙用太陽熱発電,コージェネレーション,自動車,海中動力源などに関するこれまでの開発状況について述べるとともに,検討中の応用システムとして,寒冷地用コージェネレーション,ごみ焼却炉廃熱回収システム,冷熱の動力変換,極限作業ロボットを紹介します。

寒冷地におけるスターリングエンジン利用システム例

資料 A1 “SCM20”スターリングサイクル機器設計プログラム

 再生スターリングサイクルを基礎とする機器は,エンジンとしてばかりでなく,冷凍機・ヒートポンプとしても動作します。また,同種の機器にヴィルミエサイクル機器があります。本章では,これらをスターリングサイクル機器と総称し,いずれのSCMにも適用できる共通的な熱力学的設計プログラムSCM-code Ver.2.0“SCM20”を紹介しています。

SCM20によるエンジン特性の計算例

資料 A2 100W級スターリングエンジンの設計・製作例

 本書に述べられている設計手法の適用例として,(社)日本機械学会RC127研究分科会(1995〜1997年度)の研究活動の一環として実施された100W級小型スターリングエンジン“Ecoboy-SCM81”の設計・試作について紹介しています。

Ecoboy-SCM81

資料 A3 ヴィルミエ機関とスターリング冷凍機

 ヴィルミエ機関とスターリング冷凍機(ヒートポンプ機能を含む)はいずれもスターリングサイクルをベースに作動しています。したがって,これらの構成はスターリングエンジンに極めて類似しており,設計要素にも共通する項目が多数あります。また,構成が比較的シンプルで,条件によっては蒸気圧縮式など他のサイクルに比べて高い効率を持つため,極低温の分野では既に多くの実績があります。

SD01冷凍機(東芝)

資料 A4 内外情報の収集方法

 スターリングエンジンに関する情報は,国際会議や学術雑誌,ニュースレターなどを通じて手に入れることができます。また,インターネットを利用すれば,最新の開発情報をいち早く収集することもできます。

資料 A5 付録CD-ROMについて

 付録CD-ROMには、資料A1で紹介した熱力学的設計プログラムSCM-code Ver.2.0 “SCM20”や第4章で紹介した熱力学・機構解析モデルSETMAをベースにした解析プログラム、さらにSchmidtモデルや簡易的な熱交換器の伝熱計算プログラムなど、多数のプログラムが収録されています。

付録CD-ROM(詳細)


正誤


著者のプロフィル

山下 巌(やました いわお):東京電機大学 工学部 機械工学科 教授
 機械技術研究所在職中にスターリングエンジンの研究に着手し,ムーンライト計画における研究開発に貢献。現在も循環流式エンジン,空調用冷凍機などの研究を継続。
濱口 和洋(はまぐち かずひろ):明星大学 理工学部 教授
 在学中からスターリングエンジンの研究を開始し,再生器に関する研究で学位。熱工学や設計など工学教育での利用に成果。最近ではコージェネレーション・システムなどの実用化にも熱意。
香川 澄(かがわ のぼる):防衛大学校 機械工学教室 助教授
 東芝においてNS03Tエンジンおよびヒートポンプ応用システム(SEHP)の研究開発に従事。SEHP,ヴィルミエサイクル,圧縮式などヒートポンプの分野で国際的にも活躍中。
平田 宏一(ひらた こういち):運輸省 船舶技術研究所 研究官
 埼玉大学在学中から数々の個性的なスターリングエンジンを開発。独創的な機構を持つEcoboyの研究で学位。主宰しているスターリングエンジンのホームページは情報が豊富なことで海外でも有名。
百瀬 豊 (ももせ ゆたか):アイシン精機株式会社 主査
 アイシン精機において,NS30Aを中心とする数々のエンジンおよびヒートポンプ,自動車,太陽熱発電,コージェネレーションなど応用システムの研究開発を担当。


問合わせ先

(株) 山海堂
〒113-8430 東京都文京区本郷5-5-18
Tel:03-3816-5178 Fax:03-3816-1607
E-mail:
mech@sankaido.co.jp