スターリングエンジンの構造


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 スターリングサイクルでは、等容加熱、等温膨張、等容冷却、等温圧縮の各過程を繰り返すことによって外部に動力を取り出しますが、これを1つのピストンで行うことは実際にはできません。それゆえに一般的なスターリングエンジンは、高温の空間と低温の空間を2つ用意し、これらの空間内のガスを移動させることによってこの過程を近似的に実現しています。このガスの移動を2ピストン形スターリングエンジンでは2つのピストンによって、またディスプレーサ型スターリングエンジンではディスプレーサピストンによって行っています。

 高温空間や冷却空間を直接加熱することは伝熱特性上あまり好ましくないので、さらに実際的なエンジンでは、加熱器、冷却器を別に設置し加熱器を通過したガスが高温空間へ、冷却器を通過したガスが冷却空間へと流入するようになっています。

 再生器は高温空間と膨張空間を作動ガスが往復する際に熱を蓄える働きをします。この再生器の効率が100%のときスターリングエンジンの理想的な効率はカルノーサイクルの効率と等しくなります。


一般的なスターリングエンジンのモデル

VE:膨張空間
H:加熱器
R:再生器
C:冷却器
VC:冷却空間


ディスプレーサ形スターリングエンジンの構造

 ディスプレーサ形スターリングエンジンは、高温空間と低温空間の間の作動ガスの往復をディスプレーサピストンと呼ばれる1つのピストン行い、これにより生じた圧力変化をパワーピストンにより外部に動力として取り出します。ディスプレーサ形スターリングエンジンにはβ形、γ形と呼ばれる2つの形式があります。

β形スターリングエンジンの構造

 β形スターリングエンジンは、ディスプレーサピストンのシリンダとパワーピストンのシリンダを一つのシリンダによって共用する構造となっています。このためディスプレーサピストンとパワーピストンは同径のボアを持つことになります。各ピストンの動きにオーバーラップ(重なる部分)を付けることで、機関の圧縮比を上げγ形スターリングエンジンより高い出力を得ることができます。反面、ディスプレーサ軸とパワーピストンの軸が同軸上になるため、駆動機構は複雑になります

γ形スターリングエンジンの構造

 γ形スターリングエンジンはディスプレーサーのシリンダとは別にパワーピストンのシリンダを配置した形式を取ります。β形に比べ機構は簡単になり、また圧縮比等の設定に自由度が大きく、伝熱面積を増やすことなども比較的簡単なため、低温度差スターリングエンジン等によく用いられます。


2ピストン形スターリングエンジンの構造

 2ピストン形スターリングエンジンはα形スターリングエンジンとも呼ばれ、スターリングエンジンの基本的な3形式の一つです。この形式のエンジンは、高温(膨張)空間と低温(圧縮)空間にお互いに90°の位相差の付けられたパワーピストンを持ち、両空間内のガスを2つのピストンによって往復させるとともに、2つのピストンより動力を取り出します。


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